心を溶かす時

「SUPER RICH」はよくできたドラマだなぁと思う。

江口のりこさんを取り巻く男性たち、男性だけじゃなく女性も部下も取引先や祖母との関係がすごく丁寧に描かれてる。優しげで、なんかリアルで、現実的じゃないけど似たような体験を重ねられるというかですね。

とりわけ江口さんと祖母のやりとりがすごかった。
特養老人ホームにいる祖母の体調が悪いからと、久々に会いに行った衛(江口さん)。
衛のことを嫁(衛の母)と勘違いしたまま暴言を浴びせる。
祖母はふと我に帰り、「衛か!」と気づいたらもっと罵る。物を投げつけて。
その衛を体張って守る優くん(赤楚さん)。

優くんが運転する車の中で、衛は過去の話をぽつぽつ語る。
父が死んだとき、6歳の衛に「お前のせいだ」と言った祖母。
家に着くと優くんは衛を抱きしめ、「痛いの痛いの飛んでけ」と体をさする。

 

先日、カウンセリングというものを初めて受けに行きました。
家族のことでどうにも行き詰まった問題があったのです。
オンラインでのカウンセリングなら受けたことあったけど対面は初めて。
家族のことをこんなにあれこれ遡って人に話したことも初めてです。
「よくこれまで頑張ってこられましたね」と言われた。

「あ…」と一瞬思ったけど、心の深くまでは届かない気がした。
それだけ自分のプロテクトが硬くなってたというか。
衛が優くんに抱きしめられても優しく手を握られても、心を動かさないようにしてた衛に自分を重ねました。

 

私が10歳ぐらいのとき、とある家族から理不尽なビンタを受け、それを他人に話したのは初めてでした。
自分の中では「すごいでしょ?」みたいなドラマのワンシーンを切り取るくらいなもんで、そりゃあのときから始まるストーリーがあったとはいえ、思い出して語るくらいじゃ自分の心はもう動かないものです。

化石化してんな…と感じた。あのときの痛みとか恐怖とか、怒りとか。
でもあの体験があるから「不信」は今も続くのであって、それは家族内の人間関係に間違いなく影を落とす。
あれだけ理不尽な体験を、自分の気の持ちようで「なかったこと」にはできないんだけど、しようと頑張ってきた分の反動は必ず起こる。
「自分さえ我慢してれば…」の一方で、「自分が嵐を起こしてる…?」という罪悪感を一人で処理して、処理しきれなくなったのが2021年。
カウンセラーの方はすぐに私の歴史を感じ取って、それで「よく頑張ってこられましたね」と言ってくれたのだと思う。

泣くかな…と思ったけど、カウンセリング中は一度も泣きませんでした。
「わかってほしい」とか「わかってくれた」とか、癒やされるために来たわけじゃなく、とにかく全部をぶちまけて「どうしたらいいでしょうね?」と、絡まったひもを誰かにほどいてほしかった。投げ出したかった。
しかしカウンセラーというのはさすが「整理のプロ」と思いましたよ。
「これとこれは別の問題」と、汚部屋を効率的に仕切ってくれたような爽快感がすぐ芽生えました。

 

私が今年カウンセリングに行こうと思ったのは、好きな人ができたからでもあります。
家族の問題が横たわる以上は誰と恋愛しても「こんな自分」から抜け出せるはずもなかった。
この先、誰が恋人になってもシングルライフであっても、「いずれにしろこのままじゃだめだ」という切迫感があった2021年。
「SUPER RICH」では一回り年下の優くんが何かにつけ衛を支えようと奮闘するけれど、現実に優くんはいないわけで。
私は「好きな人」とか「恋人」にそもそも過大な期待を抱いてたようで、それこそ優くんみたいに何かにつけさすってくれるような人、それこそが理想と思ってたし、世の中の人は大体そういう人をパートナーにしてるんだと思ってた(!)
でもたとえ昔からの友人であっても、私の問題についてどこまでも親身になってくれる人はそうはいない、ということが整理された。これは大きかったです。
そういう重い問題はカウンセラーとかプロの領域なんだと。

ですよね…きょうび介護だって家族や娘・嫁が全部を背負う時代じゃなく、プロに介入してもらわないと身がもたないほどの大問題。
「恋人」「パートナー」だからって、私の重荷まで背負わせる必要はないのです。
私には「背負ったり分かち合えないのなら無理」という極端さがあった。しかしその極端さに無自覚だった。こわっ!

 

私がどうしても距離を取ってしまう人がいます。
その人はいつも笑顔で、その人を嫌う人なんて私以外いないんじゃないかと思うくらい親切な人。
その「親切」が私は嫌なのであって。
「自分でできますけど」というところまで踏み込んでくる。
今回こそは誰の手も借りずにできそうというある日、「今日は一人でやってみます」と言ってみた。
その人は笑顔で「ふふ、できなかったらどうするの?」と。
正体見たり!!とみんなに言って回りたかったけど、誰も私を信じないだろう。
「ほら、できなかったじゃない」ということもあったから。
この人はチャンスや成長の芽を奪う人だと思った。「ありがたや〜」と親切に乗っかり続けた人たちは何も自分で解決できなくなっていて、休日にまでその人に連絡をして指示を仰いでいた。

だから嫌い!とずっと思ってたけど、「信じられてなかったんだ」ということが根底にあったとカウンセリング後に気づいたんですよね。
私の人生でも、うまくいかなかったことの陰にはいつも「不信感」があった。
家族内でもビンタ以外に「信じられない」「自分一人で乗り越えるしかない」と思うに至ったあれこれがいくつもあり、しょうがなかったんだと思う。
「信じられない!!」のスイッチが一度入ると、ちょっとやそっとじゃ解除できないです。
私もまた、「ほらね!」を見つけようとした。
もちろんうまくいくこともあって、そこにはやっぱ信頼感あったよなぁとは思う。
チャット占いでも、「きっと浮気してるはず!」という不信感でせっかくの円満さを崩しかねないカップルが多かったです。
「浮気の兆候は何か見つかったんですか?」と聞くと、「いや、連絡くれないから浮気かな…」とか、「浮気してないでしょーね?」とカマかけたら3週間既読スルーとか。カマかけられたことを許せる人なんているのでしょうか。
みんなみんな、不信感を育てる何かがあったんだろうかね…

 

衛が優くんに「好きです」と言う表情泣けた…
江口さんの顔芸がすごい。心が溶けていくような顔にこっちまで泣き笑いです。
衛が宮村くん(町田啓太さん)の心を溶かしたときも泣けたけど。
「人生で出会った人の中で一番好き」って言ってみたいものです。
それって「信じられる人だ」ということでしょう。
やっぱ「お母さん」とかしかいないわけじゃないですか。
衛が男性陣から告白受けるたびに、「あれやろ、ヒヨコが一番最初に目にしたものを親と思うようなもんやろ」って言うのが笑える。食い気味に「違います」と男たちは言うけどさ、それを信じろってのが難しい。
そういうもどかしさがまた面白い。やっぱ月日をかけないと信じるとか不信解消とか、ないんじゃないでしょうか。

 

 

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