映画「勝手にふるえてろ」・主にニのこと

昨日は映画「勝手にふるえてろ」を観に行ってきました。
またまたアップリンク渋谷。

ただ正直、、いま私は綿矢りささんの表現に夢中なので、小説で描かれてないシーンや、「ファッ○!」といった台詞にちょっと違和感あり。
何より「勝手にふるえてろ」は、ニに向けられた言葉ではない。
イチへの言葉。3次元のイチへの決別宣言。
12年間ずっと育ててきた愛こそが大事、愛を想ってる「私」が大事。
ヒトなんて、ほ乳類なんて勝手にふるえてろ、、というような。
最初はつらつらその違和感のことを綴ってたのだけど、キリがないのでそれはやめて…
小説以上に胸射抜かれた「ニ」役・渡辺大知さんについて綴ってみます!

まず、「イチ」役の北村匠海さんも素敵だったのです。
中学時代のマッシュルームカットから、同窓会でがらりと変わったあの姿には、ヨシカならずとも私だってときめいた。
大体同窓会で「よくなってる〜」ってこと、かなり奇跡的なんですよね。
でも2人くらいは必ずいる。しかも中学のとき完全ノーマークの人。
小説の中のイチは異様に手を洗うとか、神経質に描かれてるのですが、映画でも「人の目を見ない」とか、細かにまばたきする北村さん。
実は臆病でイジられやすさを憂鬱に思う、闇の深さがあの映画に重みを与えてたように私には感じられました。

そう、そんで渡辺大知さん。よかったなぁぁ!
暑苦っ…!って演技は、予想以上に「ニ」だった。嬉しくなるほどです。
ヨシカの同窓会にエレベーターまでついてきちゃったり…っていうのは映画のオリジナルシーンですが、オートロックの扉閉まる寸前に滑り込んでくるとことか、エレベーターの中でヨシカとイチを交互に見る目線。
渡辺さんって演技上手い人だったのですね。
しかも、嬉しさで顔を歪めるほど出川の哲ちゃんにどんどん似てくるので、キモ一歩手前の妙なゾクゾクに何度も襲われました。
つきあいたい。私も胸に赤いふせんつけたい。

スーツ着た渡辺大知さんは、初めてお見かけした日経電子版CM・田中そのものだった。
なんだこいつは!?やたら上からくるけども…っていうこちらの怪訝さをすかさず敏感に感じ取り、哲ちゃんの表情で「いやいやいや〜」と懐に入ろうとしてくる。

確かにヨシカほど臆病でパーソナルスペース狭い女からしたら、「髪に触れんじゃねぇ」「二の腕つかむんじゃねぇ」と、馴れ馴れしさを払いのけたくなりますね。
でも、陰のかたまりのような私を、どうしてクラブの音楽も耳に入らないようなあなたが見出した?

小説では、赤いふせんを指輪っぽくプレゼントすることはしてなかったけど、それにしても渡辺さんは、小説の世界観を見事に映し出してくれた。
スーツ姿かっこいいじゃん!と思いきや、ふとした横顔の顎のあたりがまんまるかったり、角度によっては太って見えたりと、ついうっかり飲みすぎるサラリーマンそのもので、あの人、本当にロックバンドやってんですよね?

でもニが愛らしいほどに笑えたのは、それもこれも松岡茉優さんの拒絶っぷりや、かみ合わないときの「えっ、あっ、は?」っていう裏リズムみたいな間が絶妙だったからとも思う。
そういえば、ヨシカの部屋の隣人(片桐はいりさん)が吹くオカリナの音に合わせての壁たたきも、裏リズムだったような…。

すぐ顔を曇らすから、ヨシカは。
それ敏感に読み取って、すぐ気を使うニ、こと霧島くん。
「なんであたしのこと好きになったの?」
厳しい顔つきと拗ねたような甘えは紙一重、ってとこの松岡さんの演技も好きです。
「珍しい子だなと思って」
女なら誰しも、自分の珍しさを見出してもらいたい。
まさか自分大好き男に見出されるとは思わなんだ。ヨシカとて。

もっと、そういうんじゃなく!
自分好みにカスタマイズされたストーリーにこだわるあまり、遠のく恋愛。
絶滅危惧種好きのヨシカの考察としては、自分のこだわりこそが子孫繁栄の機会を阻害していると。だとしたらニこそが、ヨシカを絶滅から救う保護観察員なのでは…!
このあたりが映画で描かれてなかったのは残念だけど、もしかしたらいろんな反応に配慮して外したのかな。
だって未婚の私にもなんとも響くとこ。こだわりねぇ〜機会の損失ねぇ〜。

映画ではヨシカとニ・こと霧島くんのキスで終わります。
このキスシーンがなんともエロティックで良かったな。
玄関のあの狭い靴脱ぎ場にすっぽりはまった2人、抱き合ったまま。
足がどこへどうなってるか、パッと見わからないほどはまり込んだ2人が、化石みたいに見えた。
この間見た蒼井優さんの映画でも思ったけど、だいたい女のぼってりした靴下とセクシーさって合わないはずなんですよ。
なのになぜか、ちょっとのぞく素肌の少女性、そこにこだわる一定層がいるのかもしれなくて、私もその一人なんだと自覚しました。

 

 

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