Categories: TV・ドラマ

「ライオンの隠れ家」

金曜22時TBSの「ライオンの隠れ家」見てます。

1話は見逃してしまったけど、さっきU-NEXTで見ました。
現在3話まで放送中。
さすが柳楽くん主演だけあって、今期一番の良作の雰囲気です。

(画像は「ライオンの隠れ家」HPより)

柳楽くんは茨城のとある市役所勤務で、弟と二人暮らし。
弟は坂東龍汰さんで、自閉症スペクトラム症。
両親は亡くなっている。
2人が住む家の軒下に、ある日男の子が隠れていた。
「ライオン」と名乗る彼はどうやら、かつて父の連れ子として短い時期暮らした姉の子どもで、その姉は行方不明、事件性がある。

物語はサスペンスの要素がありますが、ヒューマンドラマでもあるでしょうね。
男3人の暮らしっていう設定がまた珍しく、しかも障害を持つ弟と兄の話って「ギルバート・グレイプ」が思い出されるけど、坂東さんの演技はあのときのディカプリオのようで、すごく惹きつけられるのです。

また、この小さな男の子、佐藤大空くん。
まだ本当に小さいと思うんだけど演技が自然で、でも絶対演技でしか成り立たないセリフを曇った表情で言ったりとか、すごいんですよね。

なんたって柳楽くんですよ。
いつまで「くん」とか言ってんだという話なので、柳楽さんに言い換えますが、もう表情にいちいち胸打たれます。
佇まいがいかにも市役所職員で、ファッションも基本的にシャツインスタイル。

腕まくりしてるあの腕の見え方がいかにも中年に差し掛かっていて。
柳楽さんはまだ30代前半と思うけど、これからの人生に夢のような期待をかける、なんてことはとうに手放して枯れに向かっていく…という諦めみたいな演技がすごいんですよね。

こう見えるのは、親の介護に差し掛かってる自分を柳楽さんに重ねてるということもあります。
坂東さん演じる「みっくん」と2人で暮らしていかなきゃいけない人生。
みっくんの「正確性」へのこだわりに沿って生活をするという1日の流れにも、「今じゃすっかり慣れてきて」という「経過」が、柳楽さん演じる洸人(ひろと)からすごく感じられるんですよね。
万事スムーズに行くようになるまでどれだけ大変だったかが、なぜか滲む。
もちろん時々、過去にみっくんが暴れた映像は差し込まれるけど、みっくんをお迎えのバスに乗せてホッとする一瞬の表情から、「やっと受け入れてきて、今平和」という「山」を乗り越えた重さが柳楽さんから漂っている。

私は母親と2人で暮らしているわけじゃなく、まだ母は一人暮らしですが、母をデイサービスのお迎えに間に合わせるよう毎朝定時に電話して…という日々ではあります。
私もまた「そのルーティーンにやっと慣れてきて」という乗り越えた感がある。

洸人がまたみっくんに足並みをそろえる。
しかも丁寧に。
みっくんは時々わけのわからないことを言い出すけど、洸人は「そうなの?」と優しく受け止めたり、時には何も言わずにみっくんの次の反応を待つ。
一見、洸人はとても優しい。
でも学生時代の洸人はいつも弟と一緒にいること、それを仲間に見られることに嫌気が差していて、バスの中にみっくんを置き去りにしたこともあった。
そういう冷めた自分がいることも自覚している洸人が柳楽さんから滲むのが、すごいなぁと見てます。

誰から見ても愛があって優しいと映るのに、本人だけは「そういうんじゃないんです」と否定するようなこと。
「こうじゃないとうまく回らないから」
たぶんそれは謙遜5割、本心も5割。
自分の本来のエネルギーを数十%ほども落として家族に足並み揃えて。
でも今じゃその生き方こそが自分っぽいんだと受け入れてきた感、柳楽さんがホッと息をつくたびに自分にそう言い聞かせるような。
ところが、「ライオン」と名乗る少年と出会ってから生活が大きく変わる。

ルーティーンしかなかった生活に「予想外」が舞い込んできた当初こそ混乱と迷惑でしかなかったけど、みっくんの変化を感じた洸人は、その変化によって自分の気持ちにも光が差すような心地になっていく。
と同時に、ライオンの親が関係する事件にも足を踏み入れていくのだけど、たぶん一番変化するのは柳楽さんだと思うので、それをこれから見ていくのが楽しみです。

坂東さんのみっくんも魅力的です。
第3話で、みっくんが描いたライオンの絵に涙出ましたね…
みっくんが毎日通うのは職場、なのかな。
みんな何かしら障害を抱えてるんだけど、アート活動に励んでいる。
障害者の日常が描かれるドラマってNHKくらいしかないと思ってたけど、NHKのあのレベルに匹敵する良作にきっとなりますよ!偉そうだけど。

齋藤飛鳥さんが怖いですね。
優しくて物分かりがよくて、完璧女子じゃないか!と思ったところで、不穏さが現れ始める。
「よかった」と思ってしまった。
あんな可愛い人が洸人の良き理解者で、すんなりカップルかよと思っていたから。
あと、同僚役の岡崎体育さんの横のシルエットには、ちょっと健康状態大丈夫かなと思った。

ライオンの父親は多分向井理さんで、母親は尾野真千子さんで、すごい豪華なんですよ。
事件を追う記者役は桜井ユキさん。その部下は私は知らないけどアイドルグループの人。
でんでんさんに柿澤勇人さん、入山法子さんとか。
同じくTBSで日曜日、神木くんのドラマも見ましたが、びっくりするくらい「なんだったんだ」という印象。
まだ1話だから、1話ってそうなりがちなんだけど、あんなに豪華な俳優をそろえても「なんなんだろう」という印象しか持てなかったりするんだな。
なんか壮大で大事なことが描かれてるのはわかるけど、何も感じない自分に罪悪感を抱かせるほどの壮大さで疲れてしまった。
あの枠はプロジェクトXと似たようなものを感じる。
切り開くのはいつも男性で、すごいのはわかるけど「だから何?」としか思えない。
感動的に色付けをしたのは制作側でしょう、と冷めてしまうというか。

NHK火曜22時の「宙わたる教室」もいいドラマです!


shikinemoli

2009年からホロスコープ・タロットを学んでいます。 ドラマ、ミュージシャンが好きなので、好きなものと星読みをつなぎ合わせてみた場所です。 鑑定の折にはよろしくお願いいたします。

Recent Posts

  • 12星座・10天体・並列星座

自分にとっての〇〇座

天秤女性を見つめる自分の目は、ちょっと厳…

1週間 ago
  • TV・ドラマ

「おむすび」結構ハマってる

新・朝ドラ「おむすび」前回の「虎に翼」と…

2週間 ago
  • 相性・モテ・恋愛・人間関係
  • 12星座・10天体・並列星座

苦手意識とコンジャンクション

苦手な人。なぜ苦手なんだろうということを…

3週間 ago
  • 12星座・10天体・並列星座

月の底力時代

前回、月のストレスについて書きました。主…

4週間 ago
  • 12星座・10天体・並列星座

たまに自分の星を読む(月のストレス)

時々猛烈に転職熱が高まる。 お前いくつだ…

1か月 ago
  • 相性・モテ・恋愛・人間関係
  • 12星座・10天体・並列星座

自分の人間関係の基礎

人間関係の基礎はやっぱり家族にあるのだろ…

1か月 ago