遺影選び

ヤプログ終了に伴って、2008年の日記を10年後の初日にひとまず移行させます。

 

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父は会社を退職してから、周りも驚くくらい痩せて、
がんじゃないかと思われるときもあった。

営業で毎晩のように飲んでた酒のつきあいがなくなっただけなのだが、
これといった趣味も
なく、また金銭的にも優雅に暮らせない状況だったこともあるだろう、
どんどん貧相になっていったものだった。

今年の正月に一時退院して、孫もみんなで撮った写真が、
それはそれはいい笑顔だった。
入院してた病院の看護婦さんもびっくりするくらいだった。
だけど、外に出すにはあまりにもオカルト的、バック・トゥー・ザ・フューチャーの
博士みたいで、却下された。

意見は2つに分かれた。

できるだけ最近撮ったもので一番ましなもの
もしくは、久しく会ってない人も驚かないくらいの現役に近いもの

家族としてはぜひぜひ前者を推したいものだった。
現役のときの写真なんて違和感がありすぎる。
あの頃とは性格だって別人みたいだったのだ。

本質は同じなんだけど、父に対しての家族全員の嫌悪感が
半端じゃなかった気がする。
もちろん、その嫌悪感も自分の思春期によるものが半分を占めてるのだけど。

兄は、同じ男だからか?凛々しかったときの(凛々しかないけど今よりは)
写真を推していた。

でも、男は兄1人。一番最近のでましなのに決定した。

それは姪っ子のバイオリン?ピアノ?の演奏会に行ったときのもの。
服装もそれなりにダークなものだったので、見ようによっちゃタキシードに
見えなくもないのだ。

別の候補として、3年前に姉の旦那の会社の草津の保養所に、
私も含めて両親と姉一家で行ったときのもの。
姪っ子と2人、笑ってる写真。
だけどこれはちょっと遠いし、首を傾げてる風なので候補から外れた。

小学校5年の姪っ子は、小さいときは本当に父を嫌っていた。
赤ん坊は母を見て態度を決めるというが、姉が嫌悪感を露骨に出してたのだ。

だけどいつからか姪っ子も年寄りを大事にするようになり、
歩くのが遅い父に付き添ったり、手をつないだり、
前よりも父の隣に行くことを嫌がらないようになっていた。

父は食べるときは必ず咳き込むし、私は結局それに慣れず
毎回文句言ってたぐらいで、母も食事中でも孫がいても
父親にこまごま注意するし、嫌われ要素はふんだんだった。

だから姪っ子は大人になったんだなあと思ってたのだ。

私だったらこんな年寄りに小学生の時分で興味も持たないし、
手なんか絶対つながない。
私だって中学まで祖父と一緒に暮らしてたのに、
おじいちゃんに対する感情は決して濃いものではなかったのだ。

遺影の話に戻るが、今まで見たことのなかった写真を奥から引っ張り出し、
最近母がやっと整理し始めたアルバムを一つ一つ繰っていく。
母の仕事中の写真もある。
母はベビーシッターをやっていて、孫といるより楽しそうな写真も多数あった。
(母の遺影も決まりだな。。)とそっと思う。

さて葬式が終わってずいぶん落ち着いた頃、
近所の写真屋も線香をあげに来てくれたらしい。
その写真屋いわく、遺影はやっぱり元気な現役のときがいいのだそう。。。

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