高校教師2015

近頃、「高校教師」記事へのアクセス数がすごいことになってきてます。

先週木曜日から再放送が始まったのですね。
フジテレビでも野島伸司さん脚本の「プライド」が再放送されていることを知り、そしたらばどうやら4月からTBSで野島さん脚本の新ドラマが始まるということで。
他局でもそういうのに乗っかるんですね~。

「高校教師(1993)」の再放送ありがたいことです。
昔のドラマはいかに濃厚かっていうのを多くの方に知ってもらいたいものです。
特に昔のTBSドラマの濃厚さを。

DVDで持っているにもかかわらず、録画してまた見てみました。
本日は第5話「衝撃の一夜」。

あの、あれです、真田広之さんと桜井幸子さんが鎌倉で一夜を共にするという…。

そのシーンだけじゃなく、最初っから終始、涙をにじませながら見てました。
どっかでは、たまらず落涙。
他にそんな方っているのでしょうかね…。
いえ、第5話に落涙したのがこの世で私一人であっても全然かまいません。
何度見て味わっても、味わい尽くせてないもどかしさ。
まだまだ味わえる奥深さへの感慨。

第5話では真田さん=羽村隆夫のお兄さんが新潟から上京してくるというシーンがあるのですが、以前感想を綴ったときは、兄弟喧嘩の激しさばかりが重く印象に残って、お兄さんがどういうことを言っていたかがあまり見えてなかったようでした。
だけど「ん?」と、2人何か大事な会話をしていた。

お兄さんは、隆夫がもうすぐ結婚をするということで、お相手の女性の父親=教授に挨拶をするという目的でいらしたようでしたが、前話で父娘から屈辱的な裏切りを受けた隆夫は、婚約破棄を申し入れたんでしたよね。
だけどそのことはまだ家族には知らせてなくて。

挨拶に行ったお兄さんは恥をかいたというのもあるけども、弟が自分の好きな分野の研究者になっていずれ大学教授になるという夢を抱いて田舎を出ていったのを快く送ってやったのに、それがなんだ、このまま高校教師続けるなんて、お前の立派な夢のためにこちとら我慢して体の悪い父ちゃんの面倒見て、農家も継いで、ゴルフ場から土地を売らないかと持ち掛けられても、土地を守るために踏ん張ったり、田舎の面倒や我慢を、俺は、俺は引き受けて…。

という「我慢」を、なんとか「我慢」っぽくなく「日々の仕事」風に弟にアピールしてみるお兄さん。
そんなぎりぎりしたお兄さんに、弟・隆夫は気持ち逆なでするようなこと言っちゃうんですよね。
「兄ちゃん、自分の夢がかなえられなかったからって、被害者ヅラすんのやめてくんないかな」って!

そこでお兄さんはブチ切れて真田さんを殴る!
そのあともぶつくさ言う真田さんをまた殴って、最後は真田さんの全身絶叫ギレでお兄さんが頭打って、喧嘩終了。

ここに、野島さんが言いたいテーマが隠されているように思えたのです。

一見、真面目で抑制的な高校教師の真田さん=羽村隆夫なんだけど、実家の農家を継ぐ気なんて毛頭なく、大学教授という「夢」「自分のやりたいこと」に突き進むのは、やっぱり次男っぽい。

お兄さんは田舎の長男らしく、人生の自由な選択なんて許されないかのように土地とか親とかいろんなもの引き受けて、我慢の上に我慢、我慢が何段も積もっただけプライドも保たれる。
でもその中のどこかの「我慢」が、その甲斐もなかったかのような薄っぺらさに思えると、がらがらと崩壊してしまうような実は繊細なプライドで。

お兄さんはまるで、コツコツ働いている日本人の象徴みたい。

野島さんは「あなたが心から望むことはなんですか?」ということをいつでも見てる側に問いかけてくるようで、時に「親とか家とか環境とか、それらを”やりたいことの障害”にするな」「”それらのせいでできなかった”なんて言うな」みたいな鋭さも突きつけてくる。
いや、野島さんは「××するな」なんて言わないかな。
「多くの人がこうなんじゃないかな?」
「どうかな?」
というのを見せてくれているよう。

主人公たちはいつでもそれを突破する。
社会が敵に思えても。

「まともかどうか」のラインが、年々厳しめ設定になってるように感じます。
その判定はいったい誰がしてんだかよくわかんないけど、「空気を読む」ということと大いにかかわってるみたい。
お笑い番組を見てもドラマを見ても目につくのは、「イケてる」を探ろうとする制作者の意図。
一見おバカな番組でも雑誌でも、「イケて」れば、「まとも」な世界に鮮やかに滑り込める。
そんな意図を見いだせたら、たちまち自分もイケてるライン上にいる心地。
自分にもそんな自覚あるのです。
けど、「イケてる」で熱に浮かされたように好きになったものって、もう思い出せないものばかり。
あんなに好きだったドラマも音楽もコントも、きれいにスルーしていってしまったものってのは、「イケてる」優越感を楽しんでただけなのかなぁ。

「高校教師」って、真田さんも桜井さんもあんまイケてない(笑)
第5話のデートでの桜井さんの変装私服姿は、何年越しに見てもぞわぞわするほどのヤバさがあります。
いや、私服っていうより、なぜか男にプチ変装した繭のポーズ?
「行こうぜ!」
って親指立てて。

そして真田さんのズボンのタック。
真田さんが繭にからかわれて少し怒る「ちぇーっ」っていうむくれ顔。
徒競走で1位になったら映画に一緒に行こうっていう繭からのお誘いを突き放すわざとらしい冷たさや…。
教室を出ていきかけといて、少し振り返って「1位になったらな…」ってかっこつける真田さんの体半分に…。

どれもトレンディードラマに同じようにちりばめられてるだろうに、なんで真田さんがやるとダサく見えるのかなー。
でも、そういう真田さんの演技なのでしょうね。
すぐ息上がっちゃうような走り方とか。
ジャパンアクションクラブにいらした方が、体力ないわけないですからね。
それに、お兄さんに朝食を用意してる時の真田さんの背中に浮き上がる背筋から、JACの名残を見た気がしました。
形の良いお尻からもね。

鎌倉での2人は、やっぱりドラマ史に残る名シーンだと思うのです。
繭の心に大きな寂しさがあると気づいてからの真田さんがとっても優しい。
繭の手首をつかんで、それから両手で繭の手を覆うとこ、教師から男への境目ポイント、正直、境目エロポイントだと思ってた。
いや、男が盛り上がった瞬間には違いないのでしょうけど、「僕がいる」っていう心からの寄り添いに見えた。
「本当のあたしを知っても、嫌いにならないでね…」
繭のやけどの痕に口づけたのは、
「君の傷ごと愛したい」「癒してあげられたなら」
ってさぁ!
お酒も飲んでないのに、何かに酔っ払ってるように視線がぽわっとなってゆく真田さん。
「ひとつになろうか」
まともじゃないような決心をしたとき、ああいう表情になるのかもしれないなぁ。。

翌朝の鎌倉駅のホームで眠そうな2人は、今どんなに楽しいか。
入線してきた電車の窓ガラスがそんな2人をコマ送りみたいに捉えてる!
かぁ~っ!!
おんなじ物語の感想を2度書く私もまともじゃないねっ。

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