映画「iー新聞記者ドキュメントー」

映画見に行ってきました。

森達也監督の「iー新聞記者ドキュメントー」
東京新聞社会部記者の望月衣塑子さんを追ったドキュメンタリー。

望月さんといえば、菅官房長官にいわゆる「食い下がる」ような質問スタイルが有名で、官邸からも目をつけられてしまうほど。
「ジャーナリストの異端児」と界隈から思われているようだけど、望月さんという女性記者がこんなふうに目に・耳に入ってきたことは、今のこの時代の中でとってもワクワクするような事態だった。私にとっては。

望月さんってすごいおきれいなんですよね。
なんたって声がいいのです。
そしてお洋服がいつも華やか。
森さんは望月さんと現政権を並べることで浮かび上がる何がしかを捉えたかったのもあるだろうけど、「絵になる」と思ったんじゃないでしょうかね。
望月さんが持ついろんなバッグをアップにしたり、派手なお洋服アップとか、「今日の衣塑子」みたいなコミカルさをのっけから感じたんですよね。
とても親しみやすさにあふれている女性です。
その辺が結構意外でした。

映画を見る前からいろんな著名人の感想はちょろっと読んだりしてましたが、まぁ個性的な人なんだな…というのがツイッタータイムラインからの予想。

けど映画を2時間近く見て、私は望月さんに異端児と呼ばれるような異様さは感じなかった。
シンプルにまっすぐな人です。
なんの色もついてない。
「ちょ、ちょ、待って!」「おかしくないですか?」って疑問に正直な人。
いろんな場所に取材に行っても、目の前のことを「どう記事にして国民にちゃんと知らせるか?」という構成をずっと考えてるようにも思いました。

そして私の目に映る望月さんは最初から最後までチャーミングでした。
市民に「望月さ〜ん!」って期待の声をかけられてもいつも「でへへへ〜」ってニヤつくだけ。
まるで優勝チームのキャプテンが凱旋中に恥ずかしがるようなボーイッシュさというか、可愛らしさ全開でしたよ。
望月さんは評価に全く頓着しない人で、っていうか人からどう思われるとか全然気にしてなさそう。
そんなことよりやるべきことがあるから。

神戸のラジオ局の代表?の方が、望月さんをゲストに迎えて、「現政権が何をやっているかを見ている・それを伝える」ことが自分たちの役割だというようなことを言っていた。
望月さんはなんでも噛みつくような人じゃなくて、「え?あれ?おかしくない?」「おかしいでしょ!?」ってところをうやむやにしない・それがジャーナリストだから、というシンプルなところにひたすら邁進する人だった。
だけどそれがなんで異端児になるのだろう…この時代では。

救いだったのは、森さんが菅長官記者会見場に入れるためになんとか知恵を絞ったりいろんな方策を考えるジャーナリスト仲間の方々(男性)。
とりわけ報道特集の金平茂紀さんの存在感が際立ってました。

 

私は映画始まってすぐに「羨ましい!」と強く思ったのです。
こんなに全身全霊で働かせてくれる場所があるということが羨ましいと。
そりゃ時に望月さんも、社が望まない方向にはみ出すほど過剰な何かはあるのかもしれません。
それに私だってがむしゃらに働けばいいだけの話、のはず。
けど・・・

結局そうできないと思ってしまう、何が自分にブレーキをかけているかといえば、私の中にも忖度があるわけで。
人の顔色を見たらば「おかしいよね?」のひとつひとつなんて到底つぶしていけない。
権力側は「守りたい」んですよ。守りたくなる。
でもそれじゃひずみが生じてくるし、現に生じてますけど!?ってとこを見て見ぬふり…するからストレスがたまるわけで。
権力でもない側は「何を言ってももう変わらない」と諦めて、そのうち自分を安穏と暮らすウサギみたいに思い込んだりね。
「枠の中に愛らしくいてくれれば、われわれはおいしくて栄養のある餌をどんどん与えますよ!」
そのウサギが多数にとって「普通」であり「あるべき姿」なんだとしたら、望月さんは確かに多くの人の目に異端と映るわけです。

望月さんも社内での戦いがとてもつらそうだった。
これを記事にすべきだ!と思っても、OKサインが出ない。
どぉして!?という怒りを同僚に電話口でぶつける望月さん。
不当な目にあっても、それを国民に知らせることができない。
1人で果敢に菅長官に食い下がっても、孤軍奮闘じゃ意味がない。

あと望月さんに感じた印象的なことは、「人の話をよく聞いてる」そのお姿。
本当に聞き上手な方と思いました。それが親しみやすさでもあるんですよね。
とある野党の党首の会見場に行ったらば、その党首がこれまた聞き上手というか吸収力のある方で(志位さんですが)、「あるべき姿ってこっちなんじゃん」とスーッとしました。
現政権が望月さんを見るときの胡散臭そうな目つき、それがあるべきと思ってる人は多いと思う。
敵対する者をちょっとおかしい人扱いするのがいつもの「やり方」。
まんまと「おかしい人」と思わされるようなやたらインパクトある報道の数々(前川喜平さんとか)。
だけど今、能動的に情報を取りに行かないと時代や政治をちゃんと知れない。
受け身でいるといつだって「多数の顔してる勢力」が正しいと思いがちだけど、流されることだけは本当に恐ろしいです。
それを何度も、悲惨な時代のあのときから警鐘を鳴らしてくれる人が現れては消え、それでもなんとかまた現れる。
その1人が望月さんであって、森監督であって。
そのなんとか私の目にも入る危機感をずっと感じていたいです。
結局流されるにしたって、感じてたい。
ないもののように認識をごまかすことはできないんですよね。

 

映画見てる間、望月さんって何座だろう…ということを野暮にも考えてしまったわけですが、お誕生日は不明。
けど私と同じ生年だった!!

これには驚きました。
私より5個くらい上の、バブルを経験した世代だと思っちゃった。
でも同い年だとわかったなら嬉しいばかりです。
それに既婚で母親でもある望月さん。
この映画を娘さん見たら、とってもいいだろうなぁ〜と感じちゃいました。
こういうお母さんの姿ってとってもいいよなぁと。
旦那さんが娘さんと望月さんのお弁当を作ってくれるとのことです。

とにかく望月さんはポジティブです。
それは森監督もどこかでおっしゃっていた。
あのポジティブさとスタミナとちょっとガサツな仕草には、気持ちが明るくなります。
あと望月さんの同僚女性がデモ会場で演説されてたお話にぐっときました。
ちょっと忘れてしまったけど…
ジャーナリストが使命とするところを、いろんな人がいろんな角度で語ってくれたことで、ますます何かが固められた気がした。
信じる方向性というか。

 

ちょっと長くなるけれど、今ね、政治についてなかなか語れないです。
ツイッターでも、政治界隈関係者は誰も見てないであろうこういうブログにしたって。
怖いのは時の政権・その権力とも言えるけど、その権力を守るために命かけるような周辺がとても怖い。
あと漠然と「多数が正しい」と思ってる人が怖いです。
だから私の中でポリシーがあったとしても、はっきり文字にしたり検索されるようなことは書けない。
そういう世の中と思う。
だから尚更望月さんの行動は、至極まっとうなことに観客から見えたって実は危なっかしいことかも知れず。
望月さんにも物騒な留守電が残されてました。

今本当に怖い人って、例えば政治関係なくても、とある著名人について非難したとして、それを著名人であるほど結構「さらす」んですよね。
あとその周りの応援部隊がものすごく怖い。
ものすごいフォロワーのいる人ってそれだけで政治的な力にもなりうるすごい影響力があって、それはただの影響力なだけなのに「正しい」とか「正義」になりうることをすごく恐れてます。
でも非難をひとまずでも受け入れない人はもうダメですよ…。

なんかもっと、いろんな角度から語りたくなる映画でした。
森監督はそうやって、「君はどう思う?」というところを投げかけてくる問題作が多いです。

 

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