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2023初夏ドラマ(ラスト・日曜の・育休)

TBS「ラストマン」すごいですね。
すごい惹きつけられます。

サブタイトルが「全盲の捜査官」で、ドラマ始まる前は誰がその役なのかピンとこなかった。
なんと福山雅治さんでしたか!
しかもFBI所属。納得。

 

障害者のドラマって「マイノリティーの訴えの可視化」というイメージがあり、私はそこに怒りとか悲痛さ・苦労の要素を勝手に乗っけてた。それは偏見だった。
でもその偏見を福山さんが見事に塗り替えてくれるんですよね。

第2話でもまだ部署内での福山さん=皆実の違和感が浮き上がる。
それは「FBIから来た」ということの、やり方の差異への戸惑いでもあるし、全盲の人とどうやって働いたらいいかわからないという、仕事がひとつ増えたような面倒さを同僚たちは隠さない。
皆実の目が見えないのをいいことに、みんな表情に出しまくるけど、皆実は吐息などの雰囲気で素早くムードをキャッチする。
しかも「アイカメラ」が全部、情報を音声に変えちゃうしね!

Netflixのドラマみたいですよね。
・お金かけてそう
・人権意識が高い
・多様性への意識が高い

あと、善人一色にも悪人一色にも描かないとこ。
ずっと悪人っぽかった人も、「ただの一部分」であるように見せていく。
善人っぽい人からも時々トゲトゲしさが見えたりして。
ってかそういうふうに描いてくれないと、見る私としても疲れちゃうんですよね。

そうはいってもTBS日9時枠は、まだ男性中心っぽく見える。
半沢直樹の「支える女性」時代からすれば、男と肩を並べて働く女性が多く描かれるようになってるけど、「男性に持っていかれてる感」が拭えないのはもう、そういう枠と思って割り切った方がいいのかな。
TBS火金22時は女性中心っぽい。
ただ、スケールは日9時に到底及ばないですね。

それでも「ラストマン」
私が惹きつけられるとこがいくつもある。
・IT化が進んでることへの希望
・地味な今田美桜さん
・坊ちゃんっぽい永瀬廉さん

ニノと多部ちゃんのドラマにも、NetflixっぽいIT化を感じて感激したんですよね。
あれがどこまでリアルか、たとえ半分がフィクションとしても、視聴側のイメージにダイレクトに入ってくる未来という感じがして希望が膨らむのです。

今回なんたって今田美桜さんの役がいい。
いつも貧血寸前みたいな顔色で、髪型もなぜか昭和の事務員ふう。
ハローワークとか区役所にああいう人いますよね。
それがいい!
地下鉄車内広告での今田さんの強気な目ヂカラに、気圧されつつも「やらされてる感」を日々感じまくってました。
「おかえりモネ」でも気の強い役だった。
「美人に美人役」を当てるみたいな、「気の強そうな人に気の強い役」みたいなキャスティングには常々腹を立ててましたが、今回、今田さんを抜擢した人も同じなんじゃないだろか。
そんでもってIT大得意の今田さん=吾妻ゆうき。
デジタルネイティブならではの強みは、昭和生まれには通じなかったこれまで。
それがFBIから来た皆実にすぐ重宝され仕事にやりがいを見出し、はじけるような笑顔を見せる。

その吾妻をバリバリ意識してそうな距離感なのが永瀬廉さん=護道泉。
今回、永瀬さんにしては珍しく可愛らしい感じの役なんですよね。
それもいいと思った。
永瀬さんも「イケメンだからイケメン役」という、いわゆるジャニーズ枠みたいな突出した役が多い印象を勝手に抱いてたけど、今回の泉役は永瀬さんの中から「育ちの良さ感」を特にピックアップしたのかな?というような、それ以上でもそれ以下でもない感じがいいなぁと。

福山さん、大泉洋さん、吉田羊さんの存在の素晴らしさはもう言うまでもないことですがね。
特に福山さんは、演技の裏の目に見えない努力みたいのが勝手に感じられて、すごく胸打たれます。
大泉さんもSONGSであんななのに、どうしてドラマとなると陰が出せるのか不思議。

1話は、若者が街のあちこちに爆弾を仕掛けまくるストーリーでしたが、奈良の事件がイメージされたけど、それだけじゃないここんとこの数々の事件における若者の心理や背景が浮き彫りになり、FBIの福山さんだけが彼らに届く言葉を持っている。
それを日本の警察幹部・警部補たちが目の当たりにしたことで、ダイレクトに今後の変化につながりそうな1話。
Netflixみたいって思ったのは、「社会派だ」とも感じたからかも。
日本でもこういうドラマ増えてきましたね。

 

社会派といえばテレ朝ですが、テレ朝のドラマはどうも苦手なんですよね。
「相棒」ほかご長寿医療系・刑事系は特にハマれない。
テレ朝しばりが何かあるのかと思うほど、独特のパターンに収まっちゃう昭和な感じに「なんだかな」といつも思っちゃうんですよね。それこそが良い意味でテレ朝っぽさなんだろうなというのはわかります。
リアルな社会性や人権意識の高さは感じるのに、Netflixっぽさはない。
ない、とか言ってそりゃ全部は見てないけども。

そんな中、異色のドラマが始まりました。
「日曜の夜ぐらいは…」


日曜の夜ぐらいは…HPより)

脚本は岡田惠和さん。
やっぱ泣きましたよね…1話にして。

ヤングケアラーというほどじゃないんだろうけど、清野菜名さん=サチは母親(和久井映見)が車椅子生活になってから、母親と家事と仕事がサチの全部を占める。
その生活に笑顔が入る隙はない。
お母さんが笑顔で無邪気に話しかけてくるのもうっとうしい。
もう極力笑わないよう常に仏頂面。
「ごめんね」ってお母さんから言われると心は動きそうになるけど、打ち消すように悪態つく。

岸井ゆきのさんは過去ヤンキーだったタクシー運転手で、あのころと比してどうも虚しすぎる日々。
生見愛瑠さんはおばあちゃん(宮本信子)と2人暮らしで、勤務先の工場まで同じ。
どうやら実母は近所に住んでて、確執もあるみたいで、ひたすらおばあちゃんの愚痴を聞く日々。
そんな3人がラジオのオフ会に参加したことで、親友みたいに一気に親しくなるも、「LINE交換はやめておこう」とサチが言って、3人それぞれの日常に戻る。ここまでが1話。

何が泣けたって、サチが「楽しい」を感じないように封じてたこと。
オフ会の主催者・岡山天音さんが撮った写真内の自分の笑顔が意外すぎて、「私、こういうのだめなんだよね」って何度も何度も言う。
今「楽しい」を感じちゃったら、しんどいこと全部に背を向けそうな気がするから。

楽しいを封じないと成り立たない今の生活のことをサチはよくわかってて、LINEも「最初だけ盛り上がる」ってのが耐えられない。
自分が本当につらいときにもし誰かにLINEして反応薄かったら、あんなに楽しかった時間が嘘に思えてしまう。耐えられない。

岡田さんって、こういう普遍的な寂しさや虚しさを本当切なく描くんですよねぇ…
生活の背景が自分と違っても、「私と同じ」と強く思いたくなるストーリー。
サチと母親の生活描写も、本当に私の一部分と感じました。

岡田さんの脚本×清野菜名さん×岸井ゆきのさん+岡山天音さんなのだから、面白さは保証されてるんですよ。
生見さんもタレント業やCMより、役者の方がずっと輝きを放つってことを同時瞬間的に多くの人がきっと思ったとこで、見事に軽さと重さのコントラストが際立ってました。
またラジオがそろいもそろってポータブルラジオというね。
誰もiPhoneで聴いてない。
最近80年代ふうが流行りというけど、まんまとワクワクしてしまう。

 

ここまで書いてて思ったけど、私が感じるテレ朝っぽさって「落としどころの明るさ」なのかもしれない。
「結果、みんな笑顔でよかったね」という結末がいつも似たようなテレ朝パターンで、私はそれが好みじゃない気がしてきた。
このドラマで言えば、「大事な人とアイスを食べる」というとこにすべての癒やしや解決策が飲み込まれていきそうな不安が実はうっすらある。
失恋しても日々がつらくても、アイスさえ食べれば…
んなわけないだろってモヤモヤが解消されない展開が、ちょっとトラウマなのかもしれません。

 

ほか、楽しみにしてるのがNHK火22「育休刑事」


育休刑事HPより)

金子大地さんいいよ〜。
ちなみに前田あっちゃんは大地さんの姉役。
妻役は北乃きいさん。
タイトルどおり、大地さんは警察官だけど現在育休中。
赤ちゃんの蓮くんもめちゃかわいいし、育児に奮闘する大地さんの表情がいいんですよね〜。
決して表情の種類が多くない大地さんですよ。
一本調子な大地さんのあれこれを引き出すのが蓮くんであり、おふざけ大好きな姉であり…

かなりおふざけ要素満載ですよね。
育休中なのに仕事してるじゃん!って怒る人もいないと思う。
私は決して明るいドラマが苦手なわけじゃないと気づいた。
ベタも非リアルも全然ウェルカム。
それを改めて感じさせてくれるドラマですよ(そんなに?)

なんたって鶴見辰吾さんが脱力系の上司ってのがいいですよね。
「舞いあがれ!」でも鶴見辰吾さんいい人で、高橋克典さんもそうだけど、ここ数年悪役が怖すぎ・または本当はハマってないんじゃないか?という人がいい人役をやったときのしっくり感って爽快感にも近い。
逆に、いい人役がなんだかなぁ〜という人が悪役やったとき、「シビれるわ〜」ってこともある。佐藤浩市さんとか。
脱線しましたが、金子大地さんは鎌倉殿でもそうだけど、不遇の立場に置かれる悲しい役が続いた人。
週末の「犬神家の一族」佐清役だったし。
涙流して叫ぶ大地さんも魅力的だけど、育児に奮闘するほっこりパパもハマるなんてすごすぎですね。
あっちゃんもこれまでセクシー系とか清純派とかいろいろ演じてきたと思うけど、こんなぶっ飛んだギャグ系がしっくりくるとは。
大島優子もここまでぶっ飛ばないと思う。
…っていまだ大島さんと対決させようとするのもどうだかだけど、あっちゃんと私は同じ誕生日で、だから蟹×獅子のウザコミカルを心から楽しんじゃうのかな。

今、刑事ものが多いけど、刑事と障害者を組み合わせて描くTBSはさすがだなと思いつつ、刑事と育休を合わせるNHKも相当すごいなと思いました。

 

shikinemoli

2009年からホロスコープ・タロットを学んでいます。 ドラマ、ミュージシャンが好きなので、好きなものと星読みをつなぎ合わせてみた場所です。 鑑定の折にはよろしくお願いいたします。

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