電車の中で目を疑った。
え?なに?「中山美穂」って…
急逝って…
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夕方、高校時代からの友人とLINEをして、ミポリンのニュースを悲しんだ。
友人は「50/50」の一節も送ってきた。
おっ?と思った。
それ来る!?という意外性を抱きつつ、「だよね〜」と。
小6ごろ、初めて買った明星には歌詞カード冊子がついていて。
ああいうのって楽譜とかコードもついてるんですよね。
「50/50」にも音符がついていて、ピアノでその旋律をたどってみた。
見つめる視線・・・
めちゃ複雑!!
でもなぜか攻略しがいがあり、正確に歌ってやろうと心が燃えた。
「カリプソ」という歌詞も謎ながら口ずさみたくなる中毒性がありました。
作曲者:小室哲哉と知ったのは、ずっと後だった気がする。
そうして歌っていると、兄が怒って「ミポリン禁止令」なるものを出してくる。
当時、兄は大学受験中。
自分を刺激する音楽を「悪」と決めつける極端な精神集中をしていた。
とかいって、兄のカセットテープには「色・ホワイトブレンド」が収められている。
なんでも、ヤンキー的なミポリンが許せないらしい。
清純っぽいのはOKと。
確かに隣室から「ワックワック〜」と歌う小6の声が聞こえたら集中できないだろう。
「アイドル、誰が好き?」という話題にクラスでしょっちゅうなってたけど、中山美穂を挙げるのは勇気が要った。
ちょっとませた子に人気だった記憶。
「毎度おさわがせします」など、エッチできわどいドラマに多く出てる印象だったし。
とかいって斉藤由貴のホームドラマにほっこりしつつ、「ママはアイドル」で永瀬正敏とどうなっていくかも密かに見届けていた。
歌が好きでしたね。
「 WAKU WAKUさせて」もそうだし、「ツイてるねノッてるね」「派手!!!」
高校入って、カラオケにしょっちゅう行ってましたが、「JINGI・愛してもらいます」や「C」を歌える人が羨ましかった。
あれをマスターする機会がなかったから。
「You’re My Only Shinin’ Star」も、自分がチョイスする曲じゃないと感じてました。
いかにも女性らしい子が歌い上げてて。
やっぱ「50/50」ですかね。
あれを歌い切ったときの達成感が半端なく、ドヤ顔でマイクを置きつつ拍手を期待する。
なんたって映画「Love Letter」と思うのです。
「お元気ですか…私は元気です」
そう叫ぶショートカットのミポリンに、初めて自分を重ねてもいい気がした。
あのショートカットには、本当伝説的な美しさがあります。
テレビドラマでは「眠れる森」が好きでした。
去年の再放送で再度見た。
中山美穂さん演じる「実那子」は、これまでのトレンディドラマとは違い、ひっそりとした美しさを放っていた。
家族に不幸があり、そのことを健気に乗り越えてきた実那子。
彼女の著書「なぜならやさしいまちがあったから」を持ってますが、そこで触れたミポリンと実那子はどこか重なる。
80年代に見た、日に焼けていたずらっぽく八重歯をのぞかせていたあの姿と実像は、だいぶかけ離れてたんじゃないか。
山口百恵の「蒼い時」を読んだときと似た感慨がありました。
実像はひそやかさを好み、芯が強くて知性的。
きっとそんな方だったのかなって。
ミポリンがあのECHOSの人と結婚したのには驚いた。
本にはそのあたりのことも書いてあって、空港で対面してタクシーで手を重ねた…その描写にうっとりしたものです。
その後、フランスへ渡って。
帰ってきたミポリンは一層明るくなった気がした。
まだ信じられないな。
ヒートショックじゃないかと報道されて、友人たちとも「気をつけようね」とLINEを交わした。
私は湯船で寝てしまったのかなとも思ってる。
私もうっかり寝てしまうことがある。
蛇口の「ピチョン」という音で「あぶねー」と我に返ることが何度もあるから。
「そうなのよ〜だから気をつけて!」って、明るく微笑むミポリンが浮かぶ。
うっとりするような永遠のきれいなお姉さんでした。
中山美穂さん。
安らかに…と願うばかりです。