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適応人生・40年

急に人生を振り返る。
適応してきたな〜と。
適応は自転車のようなもので、最初は全然乗りこなせなかった。
でもだんだん上手になり、狭いとこをひゅっと通り抜けたり、ぶつかりそうになってもかわしたり。
ただ40も後半に入ると、「無理しないどこ」と慎重になる。
「そんな適応することもない」とやっと思えてる。

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幼稚園のころから、「それダメだよ」「変だよ」というラインをわかってる子がいて、そういうお母さんみたいな人によく注意されていた。
例えば、首元のボタンを止めるときに下唇出すのおかしいよとか。
でも幼稚園なので、「は?」とか率直に思ってましたね。
「あんたも出てるよ」と指摘返し。
幼稚園にはもっと凶暴だったり激しい子がたくさんいたので、私のズレなんかはべつに目立つこともない。

小5ごろ、「おかしくないか?」ということをはっきり感じ始める。
女帝みたいな振る舞いの子の周りに「とりまき」っぽい子たちがいる。
なぜか違和感なのは、女帝の全てにとりまきは同調するから。
明らかに対等じゃない。
私は親友が転校してから、どのグループにも入ってなかった。
1人で休み時間を過ごすほど心臓も強くないので、「入れてください」といくつかグループの門を叩く。
その可否判断は大体女帝。
最初は入れてくれた女帝に「ありがたい…」と感謝しきりなんだけど、そのうち女帝に同調しないとやっていけなくなる。
グループ内の子の家に私1人で遊びに行ったことが判明すると、グループ退去通告を受ける。
あなたはルールを侵したんですよと言わんばかり。
私は「そのルールってどこに書いてあんの?」とか言えるタイプだったけど、「あ、そういうこと言っちゃうんだ?」と怒りを買ったらゲームオーバー。
論理的な説明もなく、「いじめられたくなければ出て行ってね。はい、決まり」という理不尽な宣告を受ける。

大人になっても、よく似た構図に何度出会ったことか。

自分はおかしくないと思っても。
時に周りの数人が同じ気持ちでも。
「大きな流れ」に合わせないと生きていけない。

自分たちの世代で「そういうものだよ」と受け入れてたことが、令和になって「やばいこと」に連ねられる。
もうそのオンパレード。
日々そういうのを目にする。
激務もスパルタもセクハラも男中心社会も、「そういうもの」と適応してきた自分は優秀適応賞くらいもらいたい。
適応手当をもらいたい!

集団接種ならぬ集団矯正の列に並んで、「揃ってますよ〜」なんて褒められても、抜いた八重歯が時々疼く。
って、これは例え。
私には今でも八重歯がある。
実際、歯も「揃えた方がいいらしい(外見的に・国際標準で)」ということになっている。
まぁ歯はね、噛み合わせとか自身の健康に影響するんだろうから、揃えるメリットはたくさんあるのでしょう。
歯の矯正の例えを続けるなら、「自分」というものが、まだ何もわからず集団の列に並んでたうちに矯正されて、気づいたらトンがってた部分も馴らされた。
後戻りする知恵も反抗心も目覚める前に。
自分達の世代はそういう「しょうがなさ」がそこかしこにあったと思うのです。
何かを責められたり愚かな選択と言われても、ほとんど洗脳に近いような「そういうものが」インストールされた。
一番はやっぱり結婚・恋愛思想で。

今読んでるさくらももこの「ひとりずもう」は自伝的エッセイ漫画。
ももこさんが漫画家を目指すまでの葛藤やあきらめきれなさ、世間とのずれが印象的に描かれる。
「短大に行く」と、周りの女子がほとんど言う。
「何しに行くの?」と、ももこが聞くと「わかんないけど、短大して就職して結婚して」という道が自然な流れのように示されて、「それで子ども生んでまともな大人になっていくんだよ」と母親に言われる。
そんなことに疑問を持つなんてしょうもない、くらいのことを母親に毎日のように言われたりしつつ、漫画家になる夢をあきらめられないももこ。
「漫画家目指すなんてバカだよ」とも言うこの母親が、当時の価値観を何度もももこにわからせようとするんだけど、「そうかねぇ…」と疑問を持ち続けたさくらももこさんだからこそ、大漫画家になったのでしょう。
なぜ染まらずにいられたのか。すごいと思う。

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人から言われて最もインパクト強い言葉が、当時大学のオープンキャンパスでいくつか受講してた30代の私に先輩が放ったこと。
「そんなに勉強ばっかりしてたら男の人、誰も近寄らなくなっちゃうよ」

バ、バカバカ!!!
と、腹の底から思った言葉は誰に向けてなのか今もよくわからないです。
先輩に向けてか、男どもか。
世間に向けてか、自分にか。
「何が正しいのだろう?」
適応アンテナも砂時計状態、「バージョンアップしてください」のあと小爆発。
ただ、それを言ってきた先輩も今独身で、ぶりっ子路線だった彼女もこのあたりどう感じながら生きてきたんだろうか。

加害っぽい側が今になって断罪される光景に、溜飲下がる思いもちょっとはある。
最近じゃ「それに適応してきた人たち」まで愚かみたいな言われ方してるのを見ると、死んだ方がいいですか?みたいに投げやりになるのは大げさだけど数%はある。
すんません、あのころ受け入れすぎちゃって。
適応しすぎてしまった。
女性活躍を退行させてしまった。
でも、生きてきたんだよ、としか言えない。
特別に評価されることもしてないけど、おしゃれしても恋愛感情抱いても、自己主張しても、律儀に「。」で終わらせても「イタい中年」とくくられる。
でも、それに何も言わないのもまたこの世代なんだ。
埼玉出身者が、埼玉をどんだけ茶化されても容認しちゃうのと似てるんじゃないのか。
なんなら「うまいこと言うね〜(当たってる)」とケラケラ笑う。
いい人なんだよ、この世代は・・・



いつも同じようなことで失望したり悔やんだりしてる。
人生をざっくりくくって被害者みたいに声を上げるのはもうやめたいと思いつつ、ポジティブを心がけたそばから押し込めた不快さがこみ上げる。
何度も何度も言語化していくんだと思う。
やるせないモヤモヤ。
誰のせいにもできない選択。
時に真剣に、時にはユーモア交えて書けたらいいのだけど。
そしていつかは激しい感情を抑えることなく綴れたらと思う。

トップ画像と漫画は、さくらももこ「ひとりずもう」(下)のAmazonサンプルページより抜粋。

shikinemoli

2009年からホロスコープ・タロットを学んでいます。 ドラマ、ミュージシャンが好きなので、好きなものと星読みをつなぎ合わせてみた場所です。 鑑定の折にはよろしくお願いいたします。

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