「結婚しないんですか?」
「なぜ結婚しないんですか?」
「結婚しないって決めてるんですか?
これは昨年末のデートの折に好きな人から立て続けに聞かれたこと。
あのときの率直さと勢いに若干戸惑いはしたものの、「まんざらでもないな」という喜びも同時に感じました。
疑問をぶつけてくれたオープンさに感動したというか。
聞いてきた人が好きな人じゃなかったら「うるせーな」で終わる話ですけどね。
でもやっぱ、46で結婚してないと世間から「なんでなんで?」って思われるんだな。
「そういう人もいるっしょ」と表面的に振る舞うよう心がける、というとこまでいかないもんなんですね。
興味を持ってくれたことは喜ばしいんだけど。
「結婚、するつもりありますよ」と彼に最初に答えた。
「私の周りは同世代で未婚の女性、結構いるんですよ」とも。
「女性ばかりの職場だから、単に出会いがなくって…」
「単に」とつけちゃうあたりが隠せないプライドというかですね。
単にってこたねーだろう…とは誰も言わないと思うけど、「なぜ(その歳まで)結婚してないのか?」と聞かれたときいつもモヤるのは、「私に大欠陥があるんでしょうね」というポーズを取らないとなんとなくむずがゆいこと。
しかし先日のデートの際は自分の大欠陥を棚上げして、「何度も合コン行ったけどろくな出会いがなかった」と出会った男のせいにしてしまった。
あろうことか「合コンに行った時間を全部返してほしい」とまで。
でも彼が笑ってくれたからさ…
でも本当に。
合コンで出会いを求めるというのは私の性に合わないんだ、ともっと早く気付くべきだった。いつも、今回こそ…と思うんですけどね。
それにもし出会いが合コンでなければ・職場の同僚として出会っていたら恋に発展する相手だっていたと思う。
合コンという2時間かそこらの、しかも1人を束縛するわけにいかない空間で、さらに待ち合わせの瞬間に競争率ドン!と出るようなスタートダッシュ感。
小皿への取り分けがうまくできない自分はもうレースから半ば降りてるようなもんで、さりとて聞き上手に徹することもできない個性、興味ない人の長所を一生懸命見つけようとする努力、「すごーい」という空虚な褒め。
それでも私に興味持ってくれた人がいたとして、番号を交換して「会いましょう」となって、また気の抜けない取り分け。でも私を選んでくれたんだから多少の不器用さも笑ってくれるだろうという期待。
その期待がどう受け止められたのか、ふわっと腰を触られる不思議な合図。
どういう反応が正解だったかわからないまま「今日はもう帰るわ」と一方的なお開きからの音信不通。
はたまた過去の恋愛武勇伝オレ語り。やっぱろくなもんじゃないっす。
男たちははなから合コンに真剣な出会いなど求めてなかったのかも。
そういう5年、10年を本当に繰り返してきてしまった。
けども結婚してない理由は合コンだけじゃないはずで。
「なぜ結婚してないの?」と聞かれて、いつだって「自分の欠陥探し」みたいになるのが本当嫌です。
今回は好きな人からの質問ということで、「私への興味?」とうぬぼれる余地もあるけれど、この15年ほどなんべんもなんべんも聞かれてきて、逆になんて答えれば相手は腑に落ちてくれるんだろうと考えるのが怖くなった。
「合コンでろくな出会いがなくて」…違うだろー(人のせいにしてるぅ)
「女ばかりの職場で」…違うだろー(行動してないだけじゃーん)
「趣味とか好きなことやってたら時間ばっかり過ぎて」…違うだろー!!(自分の価値の低さ認めろー)
そういう目を親しい友からも向けられてるように思い込む被害者意識ばかりが育ち、でも実際ズバッと突っ込まれたりもした。
じゃあ何だったら良い?
「単にモテなかったんですよ…」…(この場合の「単に」は正解らしい)
「性格がおかしかったんでしょうね。彼氏もいたのに結婚までいかなかったということは」…(言いたかねーけど模範っぽい)
「家族関係とかでちょっとトラウマみたいのがあって」…(核心っぽいけどネガティブすぎるらしい)
私はどんなに譲歩しても、自分の性格を卑下するようなことはもう言いたくない。
だから性格以外のことを見つめようとするならば、自分の場合「家族」というのはやっぱりあると思う。
今回は多くをつまびらかにしないけど、最近自覚したのは「誰かの1番にはなれない」という生来の絶望感が備わってる気もします。
三角関係の中でもがくことが幼少の頃から男女関係・友達関係に至るまでとても多かった。
だいたい私が一歩引くんだけど、もう引かないと決めて初めて開くドアがあるんだと思う。
…でもね、どんなに自分を見つめたって「自分の問題点」ばかり探そうとしてしまう。
それは正しいかもしれなくても、他人にとってどうでもいいこと。
正直に話す必要もないだろうけど、何を話したって「そうじゃなくね?」とジャッジしてくる人はいる。誠実に理由を探っても傷つくことだってある。謎の励ましとか。
そして多分、「結婚しないことのメリット」を無意識で選択し続けた、ただそれだけの状態にいる人=未婚者だと思うんですけどね。「いわゆる普通」というラインにのってないだけで、酷な嘲笑にさらされやすい。でも生きている。
というわけで、どうか身近な独身者に「なんで結婚してないの?」と聞かないであげてください。
その問いには、「あなたのその普通じゃなさが何なのか知りたい」という無邪気さがあると思う。
でもお前の普通は俺の普通じゃないからさ。
くそつまらない普通観でお前を納得させてもしょうがない。
もし聞くのなら、どんなネガティブでも受け止める覚悟のときだけにしてくだせぇ。
ただし好きな人から明らかに興味津々モードで聞かれた場合。
自分の欠陥は大いに棚上げしてほしい。
好きな人の前で自分を「大したことない」と卑下するほど罪なことはない。自分に対しての罪。
自分を罰しちゃダメっす。せめて好きな人の前では!
桃井かおりくらい気だるく自己肯定できたらいいですね(あたし、そんなに自分ダメとか思ってないわけ!)