蒲田という駅には初めて降りました。
「万引き家族」上映スケジュールと今日の仕事終わり時間が、ちょうどよかったのがテアトル蒲田だったのでした。
オレンジがかった商店街が嬉しくなるほど昭和で、楽しみながら歩くこと5分。
がら空きでした。
お客は私入れて10人ほどで、しかも9割高齢者だった。
映画館のスタッフの雰囲気も街の商店街そのもので、足腰がつらそうなお年寄りへのサポートや、「膝掛け要りませんか〜」とわざわざ配りに来てくれたりとか、これから始まる映画とすでに地続きみたいに和やかでした。
なんといっても子役です。
祥太とりんちゃん。
2人を見てるだけですぐ涙腺が緩みそうでしたが、前半はなんとかこらえました。
Amazon小麦粉アレルギーのあの子を見ただけで(佐々木みゆちゃん)、しばらく泣けてしまうかもしれません。
祥太役の城桧吏くんは、これから「西郷どん」に出てくると!
あの子はすごかったです。
あの子が成長するに従って目に見えてくるような家族との境界が胸に迫りました。
樹木希林さん演じる狡猾で悟ったおばあさんにしても、リリー・フランキーさんの情けなさや無邪気さ、基本キツそうな安藤サクラさんににじむ幸福感や、松岡茉優さんの愛情、それから駄菓子屋の柄本明さんにしても、一つ一つ感じまくれば即・涙だらけです。
なんでだろう?リアルだと泣けてくるのかな。
「正しさ」は、人を安心させるかもしれないけど、人を排除もするのだろう。
簡単に人を絶望にも陥れる。
「なんか間違ったこと言ってる?」と言われるのが大嫌いな私ですが、そう問い詰められても口元ゆがめて泣くしかなかったいつかのことを、まるで引き取ってくれたような安藤サクラさんの”泣き”でした。
あのケイト・ブランシェットさんも絶賛されたシーンです。
この国は安全なんだけどさ、きれいに見えるし、それもこれも「正しさ」が整備されてるからと言えるのかもしれない。
「犯罪者と出会わない街に住みたい」と誰かが言った。
街が悪いわけでもなく、本当は何が悪いとかも曖昧で、ルールの中の安心をとりあえず選択してる自分はとても弱い。
映画の中の家族はそのあたりとても強そうに・図太そうに見えた。
けども、「正しさ」によって解体される。
「される」という被害語すら許されない社会かな。
ーー愛があったんだよ、確かに。
感じてるだけじゃ全然だめだったなんてね。
「ちゃんとしたもの」で証明できなきゃ愛着も簡単に解体されちゃうからみんな、正しくちゃんと得ることを頑張るのかな。
映画を見たあとは、マクロビ定食屋さんに入りました。
Hidamariカフェというところ。惣菜2品で1100円です。
蒲田でもう1軒、マクロビ定食屋さんがヒットしました。
卵・小麦粉・白砂糖を使わないお店。
蒲田ってそういうムードの街なのかな。
勝手にすごい下町だと思ってたら、映画館と反対側は発展してた。
京急蒲田駅もあんなに大きいなんて知らなかったな。
東京の南のほうはこれまで縁がなかったです。
タモリ倶楽部で人気の高い京急線に私、乗ったのかぁ。
「雑色」とか「梅屋敷」ね!はいはい!
そのうちいくつかの駅名が変わっちゃうらしいから、ちょっとでも触れられたのは嬉しかったです。
(映画の写真はいずれも万引き家族公式サイトより)