BS12で放送されていた「早春スケッチブック」の録画をやっと見終わりました。
正確には、1・2話の録画が間に合わず、最初の展開が不明です。
さほど問題なかった気もしますが、そのうちDVDを購入してしまいそうな作品・名作です。
脚本は山田太一さん。
主役は鶴見辰吾さんと言えるけど、岩下志麻さんでもあるでしょうか。
山崎努さんかな。
それぞれの星の「っぽさ」が浮き彫りになったように感じたので、ドラマを振り返りながら並列してみます。
鶴見辰吾さん(望月和彦・当時19歳)
太陽:山羊、月:蠍、水星:射手、金星:射手、火星:乙女
和彦の母親役は岩下志麻さんです。
一緒に暮らす父親(河原崎長一郎さん)は母親の再婚相手。
妹は父親の連れ子。
それでも4人平和に暮らしながら、いよいよ共通一次試験という直前に実の父親(山崎努さん)という男と出会ってしまう。そんなストーリーです。
実父と会ってすぐ、「ありきたりな生き方」を全否定するその生き様にガツンと影響を受け、共通一次試験をすっぽかしてしまう和彦。
一方、一緒に暮らす父親は学歴・経歴主義。
外では取引先にヘコヘコするけど家の中ではステテコ姿で一見ものわかりのいい父親、妻に対してはちょっと支配的。いかにも昭和の勤め人です。
和彦は実父に強く惹かれながらも、一緒に暮らす父親をちゃんと立てたり評価しようと努める。
この「揺さぶられ感」がいかにも太陽山羊・金星射手の鶴見さんなのです。
岩下志麻さん(望月都・当時42歳)
太陽:山羊、月:魚、水星:山羊、金星:射手、火星:蠍
岩下さん演じる都は今でこそ家庭的な主婦で、ママチャリでパートにも出かけ、常に掃除機かけたりご飯を作ったり、受験中の和彦のことも全面サポート。
連れ子の娘とも本当の親子のように仲が良くて、模範的母親。
それが和彦の父・沢田(山崎努さん)と再会して、都も揺さぶられるのです。
沢田の口癖といえば、「横浜を肩で風切って歩いてたあの都さんがね…」という嘆き。
岩下志麻さんはいかにも明るく元気な主婦ですが、この写真のように終始能面っぽい。
それは沢田が思い返す「あのころ」を封じ込めてる・もしくはすでに葬り去ったからなのですが、省一とのありきたりな結婚生活に飛び込んだからこそ、和彦をここまで順調に育ててこれた。
このあたりがまた太陽山羊なんですよ…。
そして岩下志麻さんも金星が射手で、ここも「あのころ」っぽいじゃないですか。
でもストーリーが進むにつれ、都の表情は豊かになっていく。
それは「あのころ」を取り戻したのではなく、一生懸命子育てして母親として家族を守ってきて、そうして育ったものは月星座魚っぽい全方向の優しさだったのですよね…。
岩下志麻さんのいかにも魚っぽいセリフに泣かされるのです。
山崎努さん(沢田竜彦・当時47歳)
太陽:射手、月:蟹か獅子、水星:射手、金星:山羊、火星:天秤、木星:射手か山羊
当時木星期の山崎さん。
山崎さんこそ射手と山羊の狭間で揺れてたんじゃないですか・・・
自由vs社会性。奔放さvsありきたりさ。
沢田は元カメラマン(ここも射手っぽい)。
今は力の衰えと健康状態悪化で写真を撮らなくなってしまった。
都を捨てた男。妊娠してたのも知らなかった。
今は豪華な屋敷で1人暮らし。ひょんなことから和彦と初対面です。
この出会いのシーンは私は見逃してしまいましたが、実の息子とのふれあいに背を向けつつも、和彦が訪ねてくれば嬉しくて、父親としてというより「人」「男」としての生き様をどうしても説いてしまう。
そんな沢田は病気で、いずれ目が見えなくなるどころか命の危険もあるというのに、一切の治療を拒む。
恋人(樋口可南子さん)を突き放したり求めたり、都や和彦を求めたりそのことを反省したり。
死を前にして一番激しく揺さぶられるのは沢田なんですよね。
もう山崎努さんの名言の数々に胸を打たれっぱなしでした。
やはり表面上はいかにも「射手」な山崎さんなのです。
しかし山崎さんの金星は山羊と!!
都の現夫・省一のことを激しく見下すけれど、コツコツ・ペコペコ仕事をする省一の生き方こそ賞賛に値すると、本当はわかっている沢田。。
河原崎長一郎さん(望月省一・当時44歳)
太陽:山羊、月:乙女か天秤、水星:射手、金星:射手、火星:蠍
河原崎さんも表面が山羊で、楽しみたい心(金星)は射手だった!
家庭内ではいかにも昭和の父親なのです。
この普通っぽさがまた河原崎さんお見事なのです。
都と沢田が会ってたことを知ると、沢田を激しく非難する。
亭主だから当たり前だとばかりに束縛・指示・支配。
沢田の眼に映るのは「正論」をまとった省一の狭量さ。
省一は何かと沢田に”言いすぎた”と反省の訪問をしますが、「そんな行動は立派なんかじゃない。自分を”いい人”に見せようとする気の小ささだ」と沢田は見抜いたようなことを和彦に言ったりするのです。
私もまた、最後まで山崎努さんに惹かれっぱなしでした。
そして省一の経歴主義・「正しさ」ばかり実践して人にも押し付ける役に本当嫌気さしてたのです。
が!!
山田太一さんは省一に軍配を上げた。そんなエンディングでした。
死が近い沢田を家族ぐるみで支えようと提案をする省一。
写真は沢田の死の前夜。
家族みんなで楽しく歌って、沢田の最後はありきたりな親父っぽく歌っちゃうのでした。
山田太一先生は最後をこう描きましたか〜…という衝撃は今も引きずってるくらいです。
樋口可南子さん(新村明美・当時25歳)
太陽:射手、月:山羊、水星:射手、金星:射手、火星:牡牛
なんと樋口さんも射手と山羊の揺さぶられの人!
明美は売り出し中のモデルで、沢田とは恋人というよりも明美が一方的に愛していて、沢田が自分を相手してくれるのは「きっとただの性欲なのよ」と和彦にこぼす。
いかにも射手っぽく、無軌道な沢田を熱い言葉でなじったり想いをぶつけたり。
そもそも和彦と沢田を引き合わせたのも明美。
実の息子を目の前にしたら長生きするために治療しようと思ってくれるんじゃないかという魂胆で、この大胆な行動も射手座っぽいです。
でも尽くすんですよねぇ〜。ここは月山羊・火星牡牛っぽいかな?
樋口さんが出てくると外国の映画みたいにかっこいい雰囲気になるのです。
二階堂千寿さん(望月良子・当時14歳)
太陽:乙女か天秤、月:水瓶か魚、水星:天秤、金星:獅子か乙女、火星:山羊
どこか幼い頃の羽生結弦選手に似ているこの方が、鶴見辰吾さんの妹役・二階堂さんです。
当初、この方はそんなに重要な役じゃないと思っていたのですがどっこい!
この良子の気の強さや正義感、女らしい優しさが事態をあれこれ奇跡へ導くんですよね。
この方の星はほとんどサインが境目です。
でも太陽は天秤かなという気がします。この子が一番「正しい」のです。
それは父親・省一の社会的正しさではなく、「人として」というあたりのまっすぐな正しさ。
山羊座的望月家の中で、最も純粋な衝動に突き動かされる良子。
良子ちゃんはこのドラマにおいて助演女優賞と言えるはずなのです。
あと、荒井玉青さんという方も重要な役でした。
この方は石原裕次郎さんの奥様・北原三枝さんの姪っ子だそうです。
生年月日不明。
最初は良子をいじめたりするフダ付き不良少女ですが、ツッパリながらも鶴見辰吾さんのこと好きになっちゃうのです。
中学退学なので中卒でもない。
大学受験にいそしむ和彦をほのかに想いながら、「お前なんて大学入ったら、同じ大学の女とアレしてアレすんだろ!」「中退と付き合うわけねぇんだろ!」と激しくなじる。
いちいち攻撃的ですが、山田先生のドラマってたまにこういう破壊的な子が出てきますよね。
多恵子というこの女子は、良子のたっての頼みで沢田の介護とか豪邸の掃除とかするのです。
そのうちに心がほぐれてきて、最後は多恵子もこんな笑顔に…!
沢田の余命があと少しという事実は望月家の誰にとっても衝撃で、省一は「1回なら会いに行ってもい」と都に許可を出す。
都は「いいのよ、別に…」と丁重に断るけど、会わせてくれと懇願したのは沢田のほう。
そしていつもの能面顔に、「死が間近の人」を正しく思う微笑みをうっすら漂わす都だけど、案の定、過去の男・沢田を前にした途端に揺さぶられる。
横浜を肩で風切って歩いてた都さんはどこ行ったの?と沢田に問われ、「普通」にまみれたような省一に時々つまんないことでなじられる日々に必死で耐えて、それこそが幸せだと思い込もうとした自覚は、誰よりもあるからこそ涙もあふれる。
結局その日、都は沢田をひざまくらして、それを省一に目撃され激怒される。
でも「お母さんに後ろめたいことはないわ」と、帰ってから子どもたちに事実を話すこのシーン。
「死が間近だからってひざまくらさせていいのか?何させてもいいのかよ!」
「野良犬全部拾ってきちゃうわけにいかないだろう?」
「でもあの人、死を前にひどく動揺してたの。そういう人にひざまくらしたくなったの。何かしてあげたいって、こういう気持ち大事にしてもいいってお母さんは思ったのね」
「野良犬、拾わない正しさももちろん大事だけど、でも拾ってきちゃった…。そういうことがあってもいいとお母さん思うの」
言い回しがいかにも山田太一ドラマです。
親のやり取りを真剣に聞く和彦と良子。私はこのシーンにすごく感動しちゃって。
沢田と会う前と会った後でもちろんこれからの生き方が変わっていく子どもたちだろうけど、母親のこの話も、若い人の価値観を大きく変えるものすごいものが詰まってると思うんですよね。
いや〜岩下志麻さん魚座だっけ?って思って生年月日を調べた…というところから星的興味も強まったわけなのです。
だけどだけど、山田先生は最後に沢田を死なせるんですよね…
1人じゃ・孤独じゃ人は生きられない。
どこにも属さず誰の干渉も受けずに生きるという理想を貫くなんてできっこないというメッセージでしょうか。
「電車の座席が空いてるかどうかばかり気にする毎日をどうか送らないでくれ」
「スケールの大きい大人になれ」
とは、沢田が和彦に放った言葉です。
最後に山田太一先生の星を見てみます。
山田太一先生(85歳・当時49歳)
太陽:双子、月:魚か牡羊、水星:蟹、金星:牡牛、火星:双子、木星:天秤、土星:水瓶
山羊座も射手座もお持ちじゃありませんが、射手的なドラマのムードは地球星座的山田先生の方向性ということでしょうか。
「ふぞろいの林檎たち」でも射手的に「大学生」が主人公でありました。
金星は牡牛座で天王星とコンジャンクション。
確かにドラマに出てくる女性はいつも華やかでセクシー、破天荒なイメージ。
火星は土星とスクエア。
男性がまた急発進・急ブレーキみたいなキャラクターですかね。
突っ走ったり、土星的な抑制にもがいたり…。
蟹座には水星の他に冥王星があります。
この世代に特徴的な蟹座冥王星。
競争や合理性ばかり追求されるような世の中に厳しく警鐘を鳴らしてくれます。
心を置き去りにした能力主義の選択は、世界平和からどんどんかけ離れていくじゃないか…というメッセージは、いつもこの世代の方のベースにあるのだと思うのです。
長く熱くなりました。
また名場面を思い出して勝手に熱くなったら追記するかもしれません。
”あのころの都”がうっすら放たれてる岩下志麻さん。