BSで「ティファニーで朝食を」が放送されてました。
オードリー・ヘプバーンの映画は、どれも1回くらいは見たことあるはずなのに、何年か経つとどんな映画だったか忘れちゃうものも結構多いです。
それにしてもこの映画でのオードリーの役柄は結構ぶっ飛んでて、Wikipedia情報だと、
「人生最大の派手派手しい役」
「実際の私は内気な性格なのです。このような外向的な女性を演じることはかつてない苦痛でした」
と漏らしていたそうで。
いやぁそうだろうと思います。
だってこの映画、みんなパリピじゃん!!
オードリー演じるホリーは、自室に金持ちとモデル並みの美しい女性ばかりを招待したパーティーを主催。
そうはいってもオードリー、これまでのいろんな役柄の傾向に漏れず「ウブ」なんでしょ?
と思いきや、上の階に新しく引っ越してきたポール(ジョージ・ペパード)と初めて顔を合わせたその日にポールの部屋に侵入。
裸で寝てたポールに「ベッドに入っていい?」と尋ね、吸い付くようにポールの腕の中に飛び込む!
「私たちフレンドよね」「ああ、フレンドさ」
ってきっちり言質とって、安心してポールの胸で眠る。
…んだけどもすぐに悪夢にうなされて、ポールに「どうして泣いてるの?」って優しくされた途端
「友達として言っておくわ。干渉しないで!」
って吐き捨てて自分の部屋へ戻る…。
パリピは闇を抱えてる人も多いようで、過去に触れられそうになると時にヒステリックにも。
ホリーはまともに生計を立てることなんて考えず、金持ちの男の周りをいつもうろちょろ。
夢は金持ちの男と結婚すること(オードリー→太陽牡牛座)。
そのためには友人の彼氏だろうが、モノにするのに手段を選ばない。
小説では、もっと娼婦的な役柄だったようですね。
それをオードリー風に大幅に変えたとか。
愛されキャラぎりぎりなところに最初はハラハラしてましたが、でもやっぱりあの美貌とドジなところ、そして暗い過去に弟への愛。
パリピに暗い過去があるとわかったとたん、ワクワクしてくる自分がいます。
そんなホリーにすぐ魅力感じるポールは売れない作家。
既婚のデザイナーっぽい夫人のヒモ。
ヒモということはもともと貧乏ということだろうけど、このポールの金銭感覚とか常識的な目線こそ、観客が安心して心寄せられるところでしょうね。
完全にホリーに振り回されてるんだけど、それを楽しんでるからか振り回されてるサマもスマート。
(ジョージ・ペパード→太陽天秤座)
パリピ特有のヒステリーからくるホリーの侮辱的な発言には、もちろん冷たい視線を浴びせるポール。
だけどその放言は本心からじゃなくて、「どうかしてた…」って反省してることもよくわかってるポールは、翌朝ホリーの部屋を訪れて様子をうかがいに行く優しさ!
このジョージ・ペパードという役者さんがまたすごく男前です。
若きブラッド・ピットに似てるような…。
友達以上恋人未満最高潮のはざまにいる2人。
「互いに初体験を3つしましょ」と提案するホリー。
その1つが、ティファニーで買い物をすること。
ポールは、さっき売り上げた本の小切手は持ってるけど、手持ちは10ドルくらい。
「10ドルくらいで買えるものありますか?」
店員に聞いちゃう2人。
最初は怪訝な顔されるんだけど、「このおもちゃの指輪にイニシャルを彫ってもらえる?」というポールの提案に一瞬ドン引きっぽかった店員だけど紳士的な対応。きっとティファニーの常連客からはほとんど見出せない純粋なものを2人に感じたんだろうな…。
「明日出来上がります」と答えてたその店員は、ポール・マッカートニーに超似てました。
ちなみにあと2つの初体験は、図書館に行くこと。
ポールの本にサインをして帰ってくるといういたずら付き。
もう1つが万引き!!
店内でも完全に怪しまれてる2人でしたが、お面盗んじゃったよ!
しかしさすがハリウッド。
お面かぶってお店からアパートへ転がるように戻ってきて、息切らしながら2人でお面を取った瞬間の色気…。
自由を求めるパリピ…いや、ホリーは、ポールと愛を交わしたなんと翌朝に、ブラジルの金持ちをゲットする計画に邁進し始める。
まずは図書館で南米の勉強。
ポールは、これまでホリーがどんな振る舞いをしてもスマートに見守ってたのに、一夜を共にしたら「そんなことはさせない。愛しているんだ。君は僕のものだ」とホリーの腕を掴む。
「なんなの?束縛?」
パリピに吐き捨てられたら確かに激昂しそうな言葉です。
でもホリーのブラジル行きはどんどん本気度加速していって、実業家の妻になるために料理頑張ったり、生活質素にしてみたり。
明日いよいよブラジルに発つんだというときに、警察に踏み込まれて逮捕。
容疑は「麻薬犯との取り引き疑い」!
結果は誤認逮捕なわけなんだけど、パリピのこんな騒動にはニューヨーカーですらも冷たい。
そしていくら誤認逮捕といっても、こんな容疑かけられる人はブラジルの実業家にとってはNGなわけで、お別れの手紙も届く。
それなのにブラジル行きの飛行機に乗ろうと空港へタクシー走らせるホリー。
一度は諦めたホリーへの気持ちなんだけど、哀れすぎるホリーを受け止めてあげられるのは自分しかいないと、ここでまたポールが
「ブラジルに行かせない。君は俺のものだ。」
と束縛ワード!
ジョージ・ペパードは月が牡牛座なのです…。
けどもオードリーは太陽が牡牛座。
束縛、嫌いじゃないハズ…。
いや、でも飼い猫に名前もつけないホリーは、
「私のことだって誰も飼いならすことなんでできない。私は鳥かごに入りたくない。あんたも自由にお行き」
と、相棒の猫ちゃんをどしゃ降りのニューヨークに放つのです。
ポールは今度こそ見限ったような目で、
「君は鳥かごから自由になりたいんじゃなくて、自分の作った鳥かごに逃げ込んでるだけだ」
「そこから一歩踏み込まないと”真の愛”なんて得られない」
と言い放ち、ティファニーでイニシャル彫ってもらった指輪を投げ渡す。
「今まで大事に持っていたけど…(もうその必要もなくなったようだ)」
そこでやっと覚醒したようなホリー。
いや、ホリーだけでなく、見てる私までグサッと来るような…。
Oh!ポール!
このままだと大事な何もかもを失ってしまうと気づいたホリーはすぐタクシーを降りて、ポールを追っていく。
でも名無し猫ちゃんはどこに?
このどしゃ降りのラストシーンは、今までの明るいムードからは考えられないような不穏な曲が流れていたのです。
ホリーの絶望・恐れ・叶えられなかったこと・叶えたいのはそんなんじゃないこと。
今まで目をそらしてたものすべてが噴き出してくるような。
でも名無し猫ちゃんの「ギャーオ」という鳴き声、「見つかった!」という喜びとともに、曲調が「ムーンリバー」に転調するあの奇跡!
オードリーの指には指輪が!
ホリーは「使えない男たち」のことを何度もネズミ、ネズミって言い放ってた。
だけどラストシーンは自身が濡れねずみに…。
涙しました。。
写真にしるしもつけたけど、名無し猫ちゃんがすばらしい演技でした。
オードリーにすばらしくなついてた。
オードリーの背中をぽぽっ…とたたいたり、最後の抱擁も愛おしそうだったのはもうお互いに。
この方もこの映画には欠かせないキャラクターなのですね。
ミスター・ユニオシ。
日系人とか日本人という設定だそうです。