Categories: 北の国から(ドラマ〜スペシャル)

北の国から2002遺言

北の国からスペシャルもついに昨日が最終回でした。

2002遺言は「田中邦衛ショー」と言っても過言ではありません。

というか、北の国からの主人公は純より螢より、五郎さんだったのだなといまさら気づきました。

北の国からスペシャルが、ドラマ時代よりどんどん感動薄れていったのは、純と螢が成長して、「すごい子役」という感動もまた当たり前のように薄れていったからかもしれません。
子役でなく、俳優さんとしての演技の素晴らしさにはもちろん毎度感動。
でも子役の演技への感心みたいのが「北の国から愛」に主につながってたことは否定できません。

子役だけでなく、ドラマ時代の大滝秀治さんやいしだあゆみさん、あのころの原田美枝子さん(当時20歳くらい)、岩城滉一さん、竹下景子さんなど大人たちの演技は、スペシャル時代のなんか派手さとは違うものを放っていたよなぁ~。

2002遺言は田中邦衛ショーであるけれども、大ベテラン俳優の凄みも堪能できるものでした。
唐十郎さん、高橋昌也さん、杉浦直樹さん、地井武男さん…。

岸谷五朗さんの演技にまだ若さを感じてしまうほどのベテランたちの演技。
倉本聰さんとか制作者が、ストーリーよりもそういう大人たちの年輪みたいのを見せたかったんじゃないのかな。
そして2002遺言の五郎さんの「遺言」は、倉本聰さんのメッセージでもあるのでしょう。

唐十郎さんって、劇作家であるとか大鶴義丹さんの父親とかってレベルでは知っていて、お名前聞いただけで重みを感じる方ですが、TVでほとんど見たことなかった。
だけど、「これが、あの…!」と、私の耳に入ってきた噂どおり・それ以上のという凄さを、2002遺言で感じることができました。

トド撃ちに沖へ出たもののいっとき行方不明になり、みんな諦めかけて心疲れていた夜明けに、吾平十郎さんが傷だらけで生還したんですよね~。
よろよろだったけど、その夜の宴はもう元気元気。
トド踊り?みたいのまで見せてくれて。
舞台で生きる唐十郎さんの真骨頂を拝めた気がして貴重なシーンです。

そういう人の息子(岸谷五朗さん)から嫁を奪い、またその嫁(内田有紀さん)から結婚してほしいと迫られる純くんってのは、一体どんな魅力が放たれてるというんでしょうね。

五郎さんのDNAは確実に純くんにも受け継がれていて、だからこそ五郎さんも、
「残してやれるものは何もない」
「けど、残すべきものは残した気がする」
と最後、すがすがしい気持ちで遺書を書き上げることができたんだろうなと思いました。

借金の返済が滞っていたり、結ちゃんというギリギリ人妻と結婚しようと思ってることとか、久々に純と会った五郎さんとしては寝耳に水の衝撃だとしても、人と真正面からぶつかって、顔腫らしても一度は立ち向かう。
なぜだかいろんな人に愛されている純を見て、「これでよかったんだ」ってほっとできたんだろうな。

特別出演・杉浦直樹さんに遺書の添削をしてもらった当初は、
「あなたはまだ死ぬことをリアルに考えてない!」
「それが遺書に表れてる!」
と説教されて、思えばなんで死期も迫ってないのにそんな真剣に遺書かかなくちゃなんないんだって怒りそうなものを、五郎さんたら
「は、はい!すいません…!」
って、真剣にやんなきゃ~って日々遺書づくりに頭抱える。

杉浦直樹さんからは逆に、五郎さんの家造りの弟子にさせてほしいと願い出を受け、教える・教えられるの相互の関係。
教える側に立つと、どうにも目の前の相手に厳しくなる。
教えられる側のストレスをぶつけるように、仕返しみたいに…って、村の衆の目にもそんなふうに映る。
あの交互の「きつすぎる指導」は、ささやかな描写だったけど楽しかったなぁ。

ほんっとに今回は田中邦衛さんの演技がこんなに楽しいなんて!とワクワクして見てました。
羅臼の宴会の派手さにおののく五郎さんとか。
今までのスペシャルだってずっとコミカルだったんだけど、泣かせようという制作側の魂胆がちらついて素直に受け止められなかった。
五郎さんを人格者として描こうというような魂胆。
2002遺言では杉浦直樹さんに怒鳴ったり、「どうなのよ?」っていう親父っぷりがとても愛らしかったです。

「三沢のじいさんは、もう借金なんていいと言ってた」
羅臼に来た五郎さんは純くんに告げる。

草太兄ちゃん亡き後の牧場経営に失敗した純と正吉はそれぞれ富良野から去って、借金を返すために働いてきたんだけど、純くんの頑張りの糸がぷつんと切れたところから始まった2002遺言前編でした。
1500万円の借金を一時的に肩代わりしてくれたのが三沢のじいさん・高橋昌也さん。
自分に月々返済してくれたらいいからと、温かい言葉をかけてくれたじいさんも、今は寝たきりの日々。

富良野に一時的に戻った純くん。
それは、中畑のおじさんの奥さん、みずえさんが癌で亡くなったから。
お葬式のために。
三沢のじいさんのところにも寄って、頭下げて謝った純くん。
だけどじいさん、「こっちこ、こっちこいって…」って激しく手招きする。

近くでもっと優しい言葉かけてくれるのかな…って私も思ったら、お小水…。
早く~早く~とうめくじいさんの股間に純くんなんとかしびんを当てて、セーフ!
はぁぁ~あぁぁ~…という至福の高橋昌也さんの表情はすごく神々しかった。
あれは本当に寝たきりのおじいさんではなくて、高橋昌也さんという役者さんが演技をしているという事実。
それを忘れそうになるほどです。

「三沢のじいさんから、すごくあったかいものが流れ出した」
というような純くんのモノローグも、この目の前のお年寄りの生命力が強烈に感じられて、それは高橋昌也さんだけじゃなく、世の中の寝たきりの方の生命力のことまで思い至らせるほどの、すごいものを拝めた気がしたワンシーンでした。

北の国からは、ドラマ時代の大友柳太朗さん(正吉の祖父役)はじめ、大滝秀治さんや笠智衆さんなど、高齢の方の演技にいつでも胸を打たれます。
こういう方たちが、なんもなかった北海道をどう興してきたか、いろんな激しい移り変わりを見てきたけども、若者の新しい力をいつでも見守るような、大地の温かさ。
倉本聰さんの希望・不安・不満・信頼がすべてこの若者と大人の関係性に込められてるように映ります。

地井武男さんもねぇ…。
「中畑のおじさん」があまりにも富良野にフィットしたもんだから、当たり前の景色として埋もれがちだったけど、五郎さんや若者にとって本当に頼もしい存在。
今の時代に珍しく、若者の見かねた態度などに苦言を述べられる大人。

丸太小屋が火事で焼けちゃった時も、放心状態の五郎さんに
「村のみんなにいろいろお礼とか、そういうの俺わかんないから、中ちゃん頼む…」
と頭下げられて、
「わかった」と引き受けたあの時は、TVの前で至極ほっとしたものでした。

多分このときだけでなく、子どもの送り迎えとか、街で泥酔した五郎さんの世話とか、本当に中ちゃんにはお世話になりっぱなしってことはわかりやすく前面に出てなくても、ファン視聴者みんな、中ちゃんの頼もしさ、「いてくれてホントありがとう」ってことは感じてるはずです。

いつも電車で去る人を追いかけて、走ってばかりだった螢が、最後は追いかけられる側に!
螢が向かう先は、行方不明だった正吉のもと。
現場作業員として岐阜とか栃木で働いてると、現住所書かれた手紙をくれた。

追いかけているのは五郎さんです。
孫・快くんを溺愛するあまり、螢から「誘拐魔」呼ばわりされてた五郎さんは、遺書を書くときも快くんにどんなメッセージを遺そうか考えるだけで号泣。

線路沿いを、複数の駅員に取り押さえられても振り払いながら、やっぱり号泣で追いかける。
でも純くんの目には「そんな父さんかっこいい」と映ったようですね。
純くんもそんな父親になりそうな情けなさが、そういえばスペシャルごとに滲んできてました。

今、書店には「北の国からマガジン」が並んでますが、そこでいまさら「螢」の表記が正解だと知りました。
螢ちゃんはまた正吉と一緖に暮らせるという一見明るい未来で終わったけど、「本当の父親」のことについてどうしよっかって、また深刻な問題にぶちあたるんでしょうね。
けど螢ちゃんは生きやすさより、そういう道を選ぶ子です。
ぶつかってでも家族の絆をあきらめない子です!

はぁ~ついに全編見届けることができました!

2時間ドラマ、ましてやそれ以上長い放送なんて、今なかなか見る気にもなれません。
北の国からは3時間。
ドラマ見ながらPCしてて「あ、今見てなかった」ってこともあったけど、それでもこんな長時間TVに向かわせる北の国からって、やっぱりすごいドラマです。

 

shikinemoli

2009年からホロスコープ・タロットを学んでいます。 ドラマ、ミュージシャンが好きなので、好きなものと星読みをつなぎ合わせてみた場所です。 鑑定の折にはよろしくお願いいたします。

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shikinemoli

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