北の国から最終回

ついに・ついに・・
「北の国から」が最終回を迎えてしまいました。

そのあとすぐにスペシャル版放送されるかと思ったけど、まだそんな情報は得ていません。
丸太小屋の火事も草太の失恋も、どうやらスペシャル版でのことだったようです。

終盤まで数々のショッキングな出来事が起こりました。

・涼子先生との別れ
・こごみさんのスキャンダラスな噂
・つららちゃんトルコ嬢の決意
・草太兄ちゃんのボクシング惨敗と決意
・そして令子さんの死・・・

まず涼子先生との別れ
やっぱり涼子先生は、どこか遠くに行ってしまったようです。
「涼子先生に会いたい!」
純くんの心の叫びは、恵子ちゃんを呼びかけるそれよりもずっと熱いもののように思えました。恋?

「先生、僕にもUFO見せてください!お願いします!」
いくら小学生とはいえ、あんなふうに男児からまっすぐ気持ちをぶつけられたら、誰しも恋のようなともしびがポッ…と点くのではないでしょうか。
純くんの言葉を受け止める涼子先生の目はそれは揺るぎのないもので、まるで本当に地球外の存在のような鋭さ。ゾクゾクしました。

そしてお母さんのお葬式のために東京に来た純くんは、昔の担任と再会したら、またそこでもたまらなく涼子先生に会いたくなる。
どこかの誰かがこの世のどこかでこんなにも自分を必要としてくれてるなんて、そのことを涼子先生が知ったら引き裂かれそうな思いになるのではないでしょうかね。

そしてこごみさん
私は正直、こごみさんが麓郷ファミリーに入ってくるのを蛍ちゃんと同じ気持ちで忌々しく思っていた。
だって、ちょっと色気出しすぎでしょ。
特に口元の仕草がヤバい。
ペロッと舌を出したり、甘えた仕草で爪かんだり、人目はばからず至近距離で微笑みかけたり。
けど、いつのまにか蛍ちゃんは心を開いてて、お父さんのお誕生日会にまで誘ってる!
蛍ちゃんって、なんて情に厚い子なんでしょう!

地井武男さん演じる中畑のおじさんも実は過去にこごみさんと火遊びしてた模様・・・。
麓郷ではほかにも何人か・・・。
五郎さんまでこごみさんにぞっこんらしいとの情報を中畑さんに伝えに来た若い友人の言葉は結構ショッキングでした。

「親友がついに兄弟におなりで…(にやっ)」

これ!こんな卑猥なセリフあったんでしたっけね!
そして、元妻の死からやっと前向きになろうとしてるさびしげな五郎さんを、チャーミングさとユーモアで包んであげときながら、その直後に、とある男性の駅での栄転旅立ち姿に柱の陰から本気涙を流すこごみさん。

こごみさんってホントわっかんねぇ!!
しかも五郎さんにまんまと見られちゃう。
そりゃそうでしょ、特にコソコソしてる風でもないわけだし。
けど、ここまでされたら麓郷ファミリー参入はなさそうなのでそれはほっとしました!

そのあと、東京でのお葬式から帰ってきた純くんと蛍ちゃんを出迎える五郎さんですが、悲しみの旅路から新築の丸太小屋への招待というサプライズ。
けど、やっぱり蛍ちゃんが素敵です。
「蛍、前のおうちも見たい!前のおうちも蛍のおうちだから」
台風で屋根が半分飛んでいってしまったあの古いおうち。
蛍ちゃんは、お母さんの恋人・吉野さんに古いスニーカーをあっさりと捨てられてしまったことが相当悲しかったので、その分、前のおうちへの愛着をたっぷり感じたかったのでしょうか。

そこで五郎さんの告白。
「父さんは、相当参ってる…」
元妻の死、そして、離婚後の寂しさを優しく癒してくれたこごみさんすら、自分の心を満たしてくれる人ではないと分かった虚無感。
けど、この告白でさらに3人の絆は確固たるものになったのです。

最終回は、雪子おばさんの草太兄ちゃんへの呼びかけで始まります。
手紙をつづっているのです。

「純と蛍はこの1年で確実に何かをつかんで富良野の住人になっているけど、私はついに旅人のままだった…」

ぐっとくる文章です。
草太兄ちゃんなら、「さすが雪ちゃん、いいこと言う!」と、「名言ノート」に書き足しそう。

草太兄ちゃんのボクシングデビューは、散々な結果となりました。
つららちゃんがトルコ嬢となってることを試合直前に知り、身も心もぼろぼろに。
目を腫らしてトボトボと駅に降り立った草太兄ちゃんを出迎えたのは雪子。

あの駅って、本当に数々のドラマを生み出します。
あのガラスの入り口がまた、寒い中で吐息つく待ち人を美しく透かすのですよね。
蛍ちゃんが、後に緒形直人さん演じる恋人と駅で別れるシーンも、私の記憶に鮮明に残ってます。
そんな美しい想い人の待ち伏せに、浮かない顔の草太兄ちゃん。
喫茶店でコーヒーを飲む2人ですが、これまた雪子さんが草太兄ちゃんのカップにお砂糖まで入れてあげてかき混ぜてあげて、しかもからっと男前に。
「適当に入れるわよ。甘すぎたかな?」
かっこいいし色気。

そして草太の衝撃の決断。
「2年8ヶ月はゆきちゃんと会わねぇと、オラ決めた」って、なんだよ、その年月。

聞けば、つららちゃんと出会って付き合って別れるまでのとしつき分、雪子さんと会わないと。
つららちゃんをトルコ嬢にさせてしまったのは自分だと思ったのか、自分への罰か禊か、雪子断ちの決意。
あんぐり。
しかもしかも「2年8ヶ月後、オラは32になってるけど、雪ちゃんはいくつだ?
富良野にまだいるか?」
・・・つなぎとめようとするなよな・・・。

草太の恋愛哲学もイマイチ理解しにくいことのひとつです。
もっと硬派であるべきポイントがいくつもあったでしょうに。

雪子さんは、相当な決意を持って富良野の駅に迎えにいったはず。
そこで結ばれてもいいというくらいに。負けてもプロポーズを受けるつもりでいたのではないかと。
そして最終回冒頭の手紙。

「2年8ヶ月後、私は28歳になってます」

おいおい!
草太を富良野を、愛してしまったのですね…。
ささやかな逆プロポーズです。
ここ、草太に通じるでしょうか。

この雪子さんの決意には草太の父、大滝秀治さん演じる清吉さんの存在が大きかった。
令子さんのお葬式での清吉さんは、本当に温かい。雪子さんを救った。純と蛍も救われた。五郎さんの名誉も守った。
大滝秀治さんの演技って、人生のいろんなことを教えてもらった心地になります。
頭の固いはずのあのころの大人。
だけど、いつぞやのきつい言葉を雪子さんに詫びている。
息子・草太の成長を称えている。
しょげて死人みたいな吉野さんにまで父性を注いでる。
さきほどの弱音を吐いた五郎さんといい、偉大なはずの大人のこういう実直さは、それに触れた人の中に、清々しい支柱をスッと形成するのではないだろうか。

最後は、純くんから天国のお母さんへのお手紙です。

「お母さんが見てた雲はどれだろうねって、蛍といつも話してます」

うう・・・

お母さんの純くん・蛍ちゃんへの書きかけの手紙は、富良野で見た雲の話の途中で絶筆となっています。
こういうところ、倉本さんって酷に描き出しますよね。
子どもはもまれてもまれて大きくなる、その揉む加減がかなり見ててもきつい。
だけど真実味がある。
私たちは幼いころから、確かにたくさんのことで傷ついてきた。
大人の何気ない言葉や勝手に持たれた印象。
嫌でしょうがないことへの取り組みや、大人同士のけんかから見える本音。
そして誰かの死。

最終回では1話からのハイライトが流れます。
どのシーンも本当に胸いっぱいで、おそらくこれからも何回見ても同じところで泣けてくる。
純くんと蛍ちゃんの顔つきも、がらっと変わっていました。
手紙の中では「蛍は10センチも身長伸びたよ」とお母さんに報告してます。

こんなに愛あふれる環境で、東京の子どもたちよりたくさんのこと乗り越えてたくましく育ってる2人は、だけど思春期以降のスペシャルではずいぶん屈折したエピソード満載となってしまっています。
私はそれが不満。
お父さんを悲しませすぎです。
そして五郎さんもスペシャルごとに萎縮したキャラクターになっていくのも残念。
大体純くんは女運悪すぎです。
いや、いい女とばっかり付き合ってるから悪いってことはないのか。
もうシュウちゃんとのエピソードで飽き飽きしてしまい、その後のスペシャルは実は見ていません。

蛍ちゃんだっていろいろ紆余曲折経て、旦那は正吉くんなんだっけ?
と、ここでウィキペディアで調べてみるとなんとっ!
正吉とも離婚してたとは・・。正吉の借金問題で。
純くんは内田有紀さんとドラマでも結婚したのだと思ったら、まだ未婚。

私は、草太兄ちゃんが死んでしまってから、もう見ないという決意をしてしまった。
あのキャラクターを殺さないといけない事情が分かりません。

あーいや、でも北の国から批判で終わりたくありません。
また「北の国から」を作ってほしいとは言わない。
でも倉本聰さんなら、今の時代こそ私たちに届けなきゃいけないメッセージがあるはず。
正吉のおじいさんの、笠松のじいさんのように。
それとも、もういろんなことに失望してしまってるでしょうか。
舞台は、演出されてますね。
TVにはもうかかわりたくないでしょうか。
もし叶うなら、地上波の民放ゴールデンでの再放送を望みます。
オリジナルのドラマよりよっぽど私たちの胸を打つはず。
私たちが震災直後のいろんなこと忘れないうちに…!
今はそのぎりぎりの時期のような気がするのです。

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追記:倉本聰さんは、やはり震災後の日本について語られていました。
明確に警鐘を鳴らされている。

そして「本当の感動」、最後の一行。
やはり倉本さんに諦めなどなかった。それを知ることができたのは本当にうれしい。
だけど・・・
これから時代を引っ張っていくことになる私たち世代は、なんて危なっかしいのかとも思う。
倉本さんほどのお年の方が、安心して死ねるよ、と思えないからこその最後の一行。
警鐘を鳴らしてくれる存在に甘えてはいけないのです。

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