「高校教師」第8話~隠された絆~

第8話の始まりは、羽村先生と相沢直子とのさわやかな登校シーンからでした。

「先生の初デートっていつでしたか?」
との直子の質問から、
直子は自分の初デートのエピソードも語り出す。

中2のときに、トイレ入りたくても先客が長くて、扉たたいて「うんこ〇〇ちゃうでしょ!」と叫んだという話で羽村先生を笑わせてたけど、正直「〇〇」のところが何度聞いても聞き取れません。
漏れちゃうでしょ…でもないような。
滑舌があまり良くない持田真樹ちゃんです。

けど羽村先生に「体はもう大丈夫なの?」と聞かれた途端、「知ってるんだ…」と顔を曇らせる。
そういうとこの演技が、ぐっとくる持田真樹ちゃんです。

繭と羽村先生は、第7話で人目はばからず抱き合って、言葉はないけど体でお互いの気持ちを確認してたようなエンディング。
学校でどうやって顔を合わせることになるんだっけな…と思ってたら、出た!
図書室での人形劇ショー!

人がほとんどいない図書室ってのが奇跡に近いけど、繭自作の繭ねこと隆夫ねこが、これまでの2人のストーリーをなぞるようなショーを繰り広げてる!
そんで、ねこたちの動き一つ一つに、微笑んだり気まずそうに顔を曇らせたりする羽村先生。
本当に、純粋な男性です…。

そんで繭ねこが隆夫ねこを突き飛ばして、チャンチャン♪で、顔を出した繭の久々の笑顔はとってもありがたいものに思えました。
桜井さんも、ドラマとはいえどんどん美しくなってってるような感じがします。
人形を見て感心する羽村先生に、
「お裁縫、得意なの」
と言いながらも指にたくさん貼ってある絆創膏!
こんなにベタにいじらしさアイテムとなってるとこを久々に見た気がします。

戻ってきたささやかな幸せシーンの一方で、愛憎入り乱れた展開もたくさん控えてます。

藤村先生にまた呼び出された直子は、おなかに耳を当てる藤村先生に
「おろしてきたんです」
と告白して、舞台俳優さながらの驚愕の表情でのけぞる藤村先生。
その反動の恐ろしさすら予感させます。

そして家庭裁判所から出てくる赤井英和さんと息子のたかひろ君だけど、どうやら親権は母親という決定が出された模様です。
この男の子には本当に泣かされます。
一度タクシーに乗ったのに、タクシーから飛び降りる感動シーン。
足を引きずって、悲しむお父さんのもとまでなんとか歩いていって、お母さんから今もらった弁当を
「食べや」と差し出して、「はよ行け!」と怒鳴る赤井さん。
ちらり映った元妻の派手さと赤井さんがどうにも結びつかなかった…。

そしてこの8話では、若林志穂さんが準主役的です。
教育実習生として授業をする志穂さんは、ほっぺたにえくぼ浮かべて、その姿はなかなか可愛らしい。
その姿を一応担当教師として見学する羽村先生だけど、ちょいちょい繭を見つめる姿もまた微笑ましいです。
けど、授業が終わってから繭を呼びつける志穂さん。
ほっぺたえくぼが、よからぬ企みを含んだように見えたのです。

えくぼといえば、なんたって真田さんです。
真田さんのえくぼはいつだって優しい。
たかひろ君がいなくなってしまって、がっくりきてる新庄先生は、なんかぱーっと明るくなるような歌を歌ってくれと羽村先生に無茶ぶりする。
明るい歌…。
そうゆうのすっごい苦手そうな羽村先生だけど、きゅっと何か決心したようなときに出るえくぼは、もうたまりません!
そんでチョイスが・・「渚のハイカラ人魚」!!!
ずっきんどっきん!のダサさ!!
1話でイラついてた羽村隆夫のダサさも、ここまでくるともう「愛」すら芽生えてきます。

さて志穂さんですが、繭を呼び出して喫茶店で何やら牽制してます。
羽村先生の魅力、わたし知ってるのよ風に、「少し幼稚性を残してるところが魅力…」とか。
無言電話のあの日、彼の部屋にいたのよ、とか。
面倒そうな顔の繭も、無言電話はあなたでしょと指摘されて顔色が変わって、そこですかさず攻撃に出る志穂さん。ってか田辺里佳!
「あなたは彼に何をしてあげられた?」
「何をしてあげられるの?」
いや、あんただって何したのよと、繭の代わりに応戦したくなる。

「あげる、あたしいらないから。」
少し手をつけたプリンにチラリ目をやって、席を立つ繭。
里佳にとって、その屈辱ったらありません。

そんで羽村邸の前で待ち伏せする里佳!
繭だったら濡れねずみでもやっぱりいじらしさが漂ってましたが、志穂さんだとやっぱ怖い!
そんでまた家にあげるなよ!隆夫!

家にあげちゃったならばもう調子に乗っちゃって、
「何か作りますから!」
とノリノリな里佳は、遠慮する羽村先生に
「他人行儀なこと言わないで下さいよ!…あ…まだ他人でしたね…未遂で終わりましたから…。」
卑猥通り越して、もう下品です。
えくぼすらヤラシい。
隆夫の全く好まない女性決定です。

そんで「助けて」カードは繭からだったことが、ついに羽村先生にバレる!
屋上で少し話す2人だけど、繭はなんだかんだ里佳からの攻撃が胸に刺さっていたようで、たまらず先生に苦しさを打ち明ける。
「あたしは何をしたらいいの?」
「あたしは先生になんにもしてあげられない…。」
繭の切実な訴えはとても美しい。

「何も望んでないよ。俺はただ…」
「そんなのいや!」
文字にするとただのノロけっぽいですが、映像の中の2人は真剣そのものです。

「君のほうこそ一体何を助けてもらいたいんだ!」

お互い、相手を想いすぎて、「何をしてあげられる?」ってことにこんなに胸を痛めてる。
8話のテーマは「アガペー」なのでしょうか。
無償の愛?美しすぎる。

さぁそして、志穂さんこと里佳はやっぱりただじゃ引き下がりません。

羽村先生と授業の後片付けをするにも、どこかぎこちない里佳。
「昨日は悪かったね…」と羽村先生が言うと、
「別に気にしてませんから」と強がるものの
「本当はちょっと傷つきました…」と翻す。
またちょっと動揺する羽村先生の隙をつくがごとく、
「そのおわびに夕飯ごちそうしてください!」
下唇を噛んで爽やかに前歯を見せる里佳。
「え・・・?」
こういう引いたときの羽村先生は結構率直です。
それを素早く感じ取った里佳。
「う・そ」

・・・・・
えくぼが苦しいなぁ。

志穂さんは、エネルギーがありあまってるのでしょうか。
まだ気の済まない目が貪欲な輝きを放ってます。
期末テストの試験監督。
繭を見る目は女子大生の無邪気さゼロ!
そんで、繭をカンニング疑惑に陥れます。
「ずるはいけないなぁ。」
繭の片手を上に引っ張る里佳。
今まで何でも手に入れてきた女の獲得欲が満たされないと、こういう負のエネルギーに変わってしまうのでしょうか。
(何でも手に入れてきた…とか、私の勝手解釈)

相沢直子が実家であるバーに戻ると、お母さんから
「2階に先生いらしてるわよ」とのこと。
藤村先生…ホラー!!

流れてくる客のカラオケの「どんなときも。」に乗じて直子を押し倒し、「なぜだー!」と絶叫する藤村先生。
「なぜ僕の子どもを殺した…」
直子の首を絞めにかかって、殺害事件寸前です。
息が絶えそうになった直子の顔に落ちてきた藤村先生の涙。
生まれてくる子からなら、無条件に愛を受け取れると思っていたのに。
やっぱりテーマは無償の愛?

相手を愛しているという気持ちに変わりはなくても、それが強いとどうしても歪みが出てきてしまう。
でも、歪んでしまうような愛、それは結局、自己愛なのかな。

ある日の放課後の羽村先生。
カバン内には繭ねこがまだ入ってる!
結構な大きさなのに…。
そんで指にはめてみて、ふと気づくとやけどの痕までフェルトで貼られてる。
隆夫の脳裏を駆け巡るのは、そこにくちづけた鎌倉の想い出。
ガラス戸に繭ねこを映し出してみれば、
「あたしが全部守ってあげるよ!」
「守ってあげる!」
そう叫んだ繭との出会い。
純愛なんて年齢でもない男の想いすら、美しく描く野島さん。
見方を変えればどうにでもしらけられるかもしれないけど、茶化す隙なんてどこにもなかった。

そしてまた志穂!ってか里佳!
自分たち教育実習生のお別れ会に参加を促しに来た!
繭のカンニングつるし上げに、何の罪悪感もなさそうなのが恐ろしい。
してやったりなのでしょうか。
そんで、繭への想いを感じてる里佳はそんなことにめげずに
「よく理解できないから惹かれ合っただけでしょ?」みたいに決めつけようとしたり。
つくづく差し出がましい人です。

「そんな議論は何の意味もない。」
そう言い放った真田さんの目は、またもや狂人のようでした。
「僕たちはもっと、おかしいくらいに単純なんだ。」
「そばにいないと、寂しい。」
そう言って机の上の繭ねこを見やる羽村先生は、もう何らかの覚悟が決まったかのようです。
そんな隆夫にもう望みはないと、初めて思い通りにならなかった(たぶん)志穂さんこと田辺里佳の恋の終わりでした。

羽村先生は、とある覚悟の勢いのままにどこかへ向かう。

「僕はもっと早く、はっきりした意思表示をするべきだったんだ」
「僕もまた、素直に態度で示せないジレンマがあった」
「社会的なモラルも、何年かしたら
きっと笑い話になっているに違いないのだから」

そしてまさかの二宮邸訪問です。

「こんな格好で失礼しますね」
裸にバスローブ羽織っただけの峰岸徹さんの姿に、
「あれでしょ!?」と、
衝撃シーンの到来に胸も高鳴ります。
あ~羽村先生、こんな日に…。
まるで運命におびきよせられたかのよう。

これ見よがしに、繭の大事にしてた隆夫ねこと大仏キーホルダーを大仰に屑籠に捨てる耕介。

耕介が案内してくれる二宮邸の一つ一つもまたホラーです。

「娘はたぶんあそこにいるでしょう。」

一応ノックはするものの、部屋に入る羽村隆夫。
でもやっぱり、どんなに想いが募ってたって、これはやっぱり行き過ぎた行為のようにも思えるのです。
でもそれを、「ただ会いたい」という純粋な気持ちに基づいたものだと確信してる隆夫は、社会とか普通とか常識とか、それすら純粋に勝ることはないと、扉を開けてしまったのですね。

点々と落ちてる衣類。
耕介のシャツ、耕介のズボン、繭のセーラー服にシュミーズにパンティーに…。

裸でベッドにうつぶせになってる女性は、どう見ても桜井幸子さんではないというあの不自然なシーン。
でもそれすら「高校教師」の見どころの一つと思えます。
だから不自然な体勢でうろたえる桜井さん。
父親とのいろんなこと、羽村先生に知られてしまったこと、それを目だけで表現するのはさぞかし難しかっただろうと思えます。

衝撃のあまりカバンを落として、部屋に入る前に愛おしそうにカバンから出した繭ねこも落ちて、後ずさりした隆夫が繭ねこを踏むシーンの残酷さ。
それにゾクゾクしてる自分…。

最後は羽村先生が震えながら涙ぐむシーンで終わるけど、やっぱり真田さんの演技は胸を打ちます。
私は最後のこの表情の場面をすっかり忘れていた。
10代とか20代で見てたあの頃は、
「どうする?繭!」と、そっちに感情移入して、羽村先生に思いを馳せる余裕などなかったのかな。

でも、今なら羽村先生に感情が入ってしまう。
いろんなこと、本当にいろんなこと乗り越える覚悟をしたのに。
今なら君を受け止めてあげられる。
そういう気持ちを、今なら伝えられるよ。
仮プロポーズぐらいの決意だったのに。
全部、泡となってしまった。
それらすべてが、真田さんの目から溢れてました。

そういえばタイトルは
「隠された絆」だった。

「絆」という言葉が、重い。
こんなに重く感じられるとは。

「僕の入る余地などない絆…」

そのショックは、それでもどうにか「余地」を見つけようと、このあとさらにもがく羽村先生の新たな扉が開かれることになってしまう。
敵は「社会」でも「モラル」でもなかった。
「禁断の愛」
その残酷さ。

展開も結末も知っているのに、いつでもゾクゾクさせられるのは、
「じゃあどうしたら純愛は勝つのかな」
そんな答えが見つかりようがないからなのかもしれません。

8話のエンディング曲。
弦楽器の音色が、慟哭にも聞こえるのです。

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