第7話の「狂った果実」がまたすごい!
ここから、ぐっと異常性が増してディープになってます。
「別れのバレンタイン」で教師生命危うくなった羽村先生が、
「もう2人で会うのはやめにしよう」
と繭に切り出してから、
「あの時から君は、もう笑わなくなったね…」
と羽村先生が独白するとおり、この回では繭の羽村先生への無邪気な笑顔はない。
そして、すっかり忘れていたのだけど相沢直子の妊娠!
そして若林志穂さんの誘惑に、
広田玲央名さんこと亜弓のリストカット…。
相沢直子役の持田真樹ちゃんが半分主役の回でもあります。
体育の授業で、棒高跳びの直前に倒れてしまうシーンはすごい印象的でよく覚えているのだけど、しかも本当に貧血みたいな青い唇で。
それが妊娠だったとは、こんな大事な記憶が抜けてました。
このドラマって、持田真樹ちゃんの演技もいろんな評判を呼んだと思うのですが、もうあれで完成されてるのだ!と強く思いました。
涙の演技がすごく切ない。
小柄で幼さとコミカルさが漂うのに、笑顔の抜けた表情にすごく色気が漂うのですね。
それを堪能できました。
そして赤井英和さんも、演技どうなんだろ…って最初のほうこそ思ってましたが、いやいや、あの決して大きくない目からいろんな感情がこぼれ落ちてるじゃないですか!
相沢直子を意識するときの顔は、初恋の相手を見る男子学生みたいな幼さが感じられます。
ムキになったり、包容力のある優しさ漂わせたり。
そんで藤村先生も相沢直子への想いが歪んでいるとはいえ、彼女のことを語るときの顔が美しい!
この異常性がね…
ゾッとするのに惹きつけられるっていう。
若林志穂さんは6話から教育実習生として登場しましたが、渡辺典子さんといい、これまた男の色気と才能と快楽が好物みたいな役にぴったりなキャスティングするんだから…。
かなりディープな7話だけど、でもやっぱちょいちょいツッコミどころはあります。
「今日おヒマですか?せっかくの土曜日だし…」
なんて、なれなれしく土曜日の夜に羽村先生を誘い出す時の若林志穂さんの100%のはにかみは、それでもギラッギラしたものを隠せてない下心がまるみえで。
けど、ブルーのライトが妖しいバーに2人でいるし!
羽村先生・・・(めっ)!
流されやすいな~・・・
「こういう店、よく来るの?」
羽村先生も思わず聞いちゃうような、ああいう店のチョイスとか、ホントに女子大生?
あのライターの火の差し出し方とかも、絶対水商売のバイトもしてるでしょってなヤラしさです。
でも、あのころ世間はバブルだったのかな。
女子大生のああいう計算高そうなエロさは、あの頃は不思議じゃなかったのかしら…。
「慰めて、あげましょうか…?」
こんなストレートで恥ずかしい誘惑に、まんまとクラッとする羽村先生…
そんで部屋に上げちゃう羽村先生(怒)
ディープに吸い付いて、そんで一度離れた志穂を抱き寄せる羽村先生(悲)
チャリーン!
と、繭とペアで持ってる大仏キーホルダーが床に落ちる音で我に返って、急に体を離す羽村先生!
純粋かよ~
そんで無言電話がかかってくるのだけど、相手は繭と羽村先生は確信してる。
無言の繭を突き放すようなことを言う羽村先生だけど、それは精一杯の自制心。
けど、ここで志穂だよ。グラスを落としちゃう
→「あ、ごめんなさい・・・」
→受話器の向こうの繭にも聞こえる
→(誰かと一緒なんだ…)→電話を切る
→軽く天を仰ぐ羽村先生…。
やな女だな!っんとに!
桜井幸子さんの包容力の演技は、羽村先生をからかう場面でちょいちょい見られるのですが、今回見せた包容力シーンは広田さんとの女同士の場面でとっても温かくて大人っぽくて、ふんわりした色気が漂うものでした。
広田レオナさんは、桜井さんが回されそうに(!)なった時に助けてくれた女性。
その場所も亜弓(広田さん)の家で、回そうとしてたメンバーの一人も亜弓の彼氏。
包丁を彼氏の喉元つきつけて
「あんた、おうちに帰んな」
と繭に言うシーンは、すっごい素敵でした。
亜弓はどうやらヘルス嬢らしく、でも月に1度だけたかりにくる彼氏のためにも働いて、上京した当時の純粋な2人に戻ることを夢見てる。
繭はそんな亜弓にシンパシーを覚えたのか、亜弓のおうちに遊びに行っちゃったりもするのだけど、それは可愛らしい妹分が姉を慕う姿というよりは、誕生日に彼氏を待つ亜弓の寂しさにそっと寄り添うお姉さんみたいな表情で。
なんにも言わずに亜弓の話にうなずき、ケーキを前に「ハッピーバースデー」を歌ってあげる。
涙ぐむ広田さん、なのだけどもこの2人が美しい!
どこか少女な広田さんと、相手を包み込むような桜井さんと。
桜井さんの包容力は演技なのか、それとも桜井さんにもともと備わってる広さなのでしょうかね。
美しすぎる。
亜弓は、翌朝にお風呂場でリストカットして死んでしまう。
なんと血風呂…!
ショッキングな映像だけど、広田さんの肢体が美しかったです。
警察署で羽村先生と繭は対面。
その時の真田さんの目が、もう繭を抱きしめたい…!みたいな苦しさがあふれてるように見えたのは私だけでしょうか。
警察署から帰る繭は道端で吐いてしまって、ハンカチ差し出してくれた羽村先生にしがみついて「死にたくない!」と訴える。
そこでもうたまらず繭を胸の真ん中で抱きしめる羽村先生の表情は、狂人のようにも見えました。
「先生、汚れちゃうよ…」
「いいんだ…いいんだ…!」
何かが解放されてしまった。
常識の中じゃ育たないレベルの愛を、知ってしまったのかな…。
「普通ってなんだ!普通って!」
奇しくも繭の父親役の峰岸徹さんが、初回のほうで羽村先生の言った「普通」というワードにスイッチ入って激高したときの台詞です。
繭を「普通」に育ててこなかった二宮耕介。
「普通のピュアな恋」をささやかに夢見るのに、すでに「普通」の少女ではない繭。
ああ、羽村先生は二宮親子の渦にどんどん巻き込まれていくのだなぁ。