ひらりと姉妹とアドバイス

「あんた、肝心な時に三枚目やると一生モテないよ」

 

さっき見てた朝ドラ「ひらり」でのセリフ。
ひらりの姉・みのりが同僚女性から言われる。
一生結婚できないよ、だったかうろ覚えだけど、こんなグサっとアドバイスはあのころ(90年代前半)よく飛び交ってた。
今、友達に言えやしない。
でも言える関係性に憧れはある。

 

ひらりは20歳、姉のみのりは25歳。
みのりのWikipediaを見ると、「適齢期を過ぎても良縁の気配がないことを気にしている」と!
25歳で「過ぎてる」って時代性が恐ろしいですが、確かにみのりは気にしている。
私は結婚できるんだろうか…とウジウジしてた矢先、近所に越してきた医者=竜太(渡辺いっけい)と知り合う。みのりにとってそれは運命的なこと。

一気に恋心が燃え上がるも、ひらりのほうがもっと親しそう。
竜太先生は近所の相撲部屋との関わりが強くなり、それは相撲好きのひらりの後押しもある。
みのりは、ひらりに先越されそうな気持ちになり、同僚2人にいつも恋の悩みを聞いてもらう。

この同僚がまた無責任なアドバイスでけしかけるんだまた。

「妹から取っちゃいなさいよ」
「早く誘いなさいよ」
「医者なんて、あんたいいじゃな〜い」

「そ、そうよね、うん…!」

とにかく行動!と決心するみのりだけど、なんか空回りしがち。
しかも、竜太先生とたまたま食事ができたりして手応え抱いた矢先、ひらりのほうがもっと距離が近づいてることを知ったり。
最初あんなに「嫌い嫌い」と言ってたのに、仕事のことで泣いてしまったひらりを優しく慰めてくれたんだってさ…
ひらりがまた鈍感中の鈍感天然女子!

 

みのり役の鍵本景子さんが魅力的です。
ザ・長女という感じが見てて楽しい。
私は末っ子だけど、みのりの不器用さもどこか自分みたいで、ずっと見ていたくなる。

NHKアーカイブスより)

服と座り方が姉・妹の違いを浮き彫りにしてますよね。

慰められて以降ひらりは竜太先生への恋を自覚して、姉の恋心など知らないひらりは、みのりにそれを打ち明ける。
2人の距離が近づいていることを察知してきたみのりは何度も諦めようとするんだけど、ひらりがまた天然気分屋女子で、「大嫌いになっちゃった!」とかコロコロ気持ちが変わるやつ!

「あんたには、合わないと思うわ…」

とかまた不器用なアドバイス・姉!

と、そこでひらり、「けどさぁ〜いいとこもあんのよねぇぇ」とか即前言撤回。

「決めた!あした先生をご飯に誘ってみる!」

そうしてみのりの心をまた揺さぶる・・
ひらりってやつは、反対されると俄然燃え立つタイプ。
でも女同士って大体どっちかそんなタイプで、「じゃあなぜ私に相談した!??」とイラつくほど最初から心が決まってんですよね。
女同士アドバイスあるある。

 

ここでまたみのりが同僚に相談。

「妹さんがご飯誘う前に先に誘っちゃうのよ!」

とかまたトンデモアドバイス。

「う、うん、やってみる…!」

 

って、みのりの主体性!!!

強い意見に振り回されてばっかだけど、本当は事態がどうなっていくか・自分はどうすべきかわかってる。
でも妹の恋路をただ見守って25歳を生きたくない。
結婚したいみのりにとっても、引くわけにはいかない正念場。
頑張れみのり!!!

 

と、応援したところでストーリーは決まってる。

それに、なぜみのりの恋がうまくいかないのか、ちょっと感じられる。
周りに振り回されすぎですね!!

同僚からの「〇〇したほうがいい・しないほうがいい」
竜太先生の「俺は気が利く女が好き・けど言いなりになる女は嫌い」

みのりはまんまと「気が利くけど言いなりにはならない女…っと」とメモしたりする。
まじめ不器用か!

ひらりが竜太先生から「俺は一回りくらい年上のほうが話してて楽しい。20歳そこそこにいい女なんていない」と言われてみのりにぶーたれれば、みのりは「勝算ありかも…?」と少し目が輝く。
いや、そうじゃなく…!

 

最近、アドラー の本を読み返しましたが、きょうだい関係と性格の関連性はやはり興味深いです。
姉・兄は下から追いつき・追い越される危機感を抱きながら育つところがあり、「どうすれば愛されるか?」と、「親の望むいい子」になろうとする。
妹・弟は、長子に追いつくことを原動力として育つところがあり、また親からの注目を得るために長子とはまったく違う行動パターンをとってみたりする。

ちなみに一人っ子は「親の愛を独り占めできる」というイメージからわがままに育ったと思われがちだけど、「いつか下の子が産まれたら立場が脅かされるんじゃないか?」という潜在的な不安を抱えやすいそうです。
また、きょうだいという直接的な発散相手がいないので、何かあってもひとりで抱え込みやすい人もいるようで。そこからイメージされる孤独な世界観はわかる気がします。

 

妹・弟が、姉・兄のやり方を吸収しつつオリジナリティーでもって人生を切り開くのであれば、長子のアドバイスを100%聞こうとは思わないでしょうね。
しかし長子は親の言うことを100%と言わなくても9割受け入れようとするでしょうか。
親の期待に応えようとするというか。人生のある時期までとは思うけど。

 

しかし、ひらり見てても思うけど、姉や周りのアドバイスに一度は必ず反発したかと思えば、「やっぱりお姉ちゃんの言うとおりよ…」とかシュンとしたりするんですよ。
私にも大いに心当たりあること。
こういう手のひら返しする自由さというか気まぐれさが、長子からすると信用ならねぇんだろうなって。
末っ子からすると、「素直な私、いいでしょ?」とドヤ顔なんだけど(それもまた気に障るはず)

でも長子の素晴らしいとこといえば、それでも下のきょうだいを見捨てないとこ。
なんかしら・ウザがられても世話を焼こうとしてくれる。
むしろ妹・弟が手を振り払って逃げるんですよね。

 

このあと、みのりも竜太先生が好きなんだと、ひらりは知ることになるんだっけ。
そしたらみのりは「あんたのために引いたんだから」とか言うんじゃないかしら・・
で、ひらりは「あたしのためとかやめてよ!」と怒るとか?
それとも母親だけはみのりの異変に気付き、天然ひらりに知られることなく恋を終わらせるのか・・
すっかり忘れましたが、「あんたのために」というのもまた長子っぽいです。
末っ子はつい「誰も頼んでない」とか言いいますが、それ一番逆鱗に触れるやつですね。
「あんたのために・誰かのために」という挫折や恐怖が強すぎて、無能の道に入る人もいる。
「何もしない」というストライキ。
これは自分の身内の話でもある。

 

私は9割女性の職場で長いこと働いてきましたが女性内のバランスを取ることが本当に大変でした。
女性ならではの優しさ・思いやりに救われたのも確かだけど、「素直な末っ子」の一面だけで生きられるわけもなく、「反逆末っ子」の面はどうしても出てしまう。
めちゃアドバイスしたがる人って必ず必ず!いて、私にも積極的に受け入れたい素直さは確かにあるんだけど、結局違うやり方を選んだりする。
そんでビクビクして、人を不愉快にさせたかも…とか思いを巡らせるのがストレスだった。

そもそも誰にも嫌われず生きるなんてできない、というのがひらりにも通じる末っ子の言い分ですが、私の目に映る長子・特に姉さんたちは「360度いい人」「厳しくても説得力ある人」「信頼ある人」をやり通せたりする。それが「あるべき模範」みたいになったりするのも本当嫌だった。

もし社内にもっと男性がいたら…
ってか共学時代とかは、そういうしっかりした人もいいし、ルーズな人も全然いいよね、という男性の広い受け皿に救われてた。
けど女性9割になると長女性ルールがすごく厳格になる。ルーズな人への厳罰化みたいのが着々と築かれて、そこから外れてはいけないというプレッシャーがすごい。

ただ、この感じ方は私の姉妹パターンゆえとは思う。私にとって「長子・長女」というのは特別なのです。
怖い・甘えたい・信頼感・反逆の対象・怖い。
家族内でいろんなドラマがあってですね、そろそろ塗り替えようとしています。

 

「ひらり」は姉妹の母役・伊東ゆかりさんも素敵です。
娘たちが成人して、子育てにときめきがなくなった。
夫婦生活にもとうにときめきがなくなり、それを聞いた夫・伊武雅刀さんは「俺と結婚したばかりに悪かったな」と皮肉まじりに言う。
そういうんじゃないのよ…と言う伊東さんはかつての恋人と再会して(綿引勝彦さん)、さてときめきが蘇るんでしょうか。あのころの専業主婦はまたどうやって人生に折り合いをつけるんだっけ。

相撲部屋の親方・伊東四朗さんを心から信じて尽くしまくる池内淳子さんも素敵なんですよね〜。
その池内おかみに片思いするのがなんと実家暮らしの石倉三郎さん。
父親の花沢徳衛さんとべらんめぇ口調で蕎麦すすってるのも楽しい。
あれこれ斬新な設定。
毎日録画しています。

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です