私が20代前半で出会ったアーティストに、今の若い人が恋い焦がれているのを知ったりすることがある。
ミスチル、aiko、クラムボン、くるり、椎名林檎、スピッツ、向井秀徳など。
が、今までMy Little Loverについて語ってる20代とはお会いしたことがないのでした。
あんま知らないかな?もう半ば活動してないしね。
でも、あの小林武史さんが、ミスチルプロデュースとほぼ同じ頃に誕生させたユニットだし、小林武史さんをちょっと調べてみるとすごい方がぞくぞく挙がってくるから(桑田佳祐、Salyu、レミオロメン、一青窈、小泉今日子)、名前だけは誰しも聞いたことあるんじゃないのかなって。
ちょっと恥ずかしい曲は確かに多いんですよね。歌詞とか。
いつかは Hey Hey Hey!
マイラバのデビュー曲「Man&Woman」
マイラバは、ぺたんこの靴が似合う子みたいな曲も多いけど、動物的に愛を求める男女の歌も多い。
どっちの面を自分に重ねる?って思い描く通りにAKKOが演じてくれそうで。
でも女性になっていく過程はどっちも自分なのだろうってとこを、見透かされてるような数々の曲。
彼氏も欲しいけど、就職だって一生の問題。
傘の中でだけ見せる深刻そうな表情。
この「深刻さ」がまたマイラバの特徴で、私はとりわけこの曲が好きなのです。
イントロのポップさから一転、歌い出しが「底辺」みたいな低さから始まる。
悲しみの言葉は 全部すてたい
これをいつも1人きりのバイトの子にぽつりつぶやかれたら、昼休み明けから気になってしょうがない存在になるのだと思う。
マイラバはそういう、少女から女性になっていく過程の曲。
今聴いても新入社員のころに戻っちゃう。
多くの作詞作曲が小林武史さんなのです。そう、作詞も。
自分の限界が どこまでかを 知るために
僕は生きてる訳じゃない
これは「Hello,Again〜昔からある場所〜」の歌詞。
すごくわかる!って瞬時に共感させるのは、「僕」というマジック。
AKKOの苦しそうな歌声を真似することで「精一杯生きてんだ!」って、部屋で1人、私は何にアピールしてるのだろう。
そういう自分が好き、って思わせるマイラバ。
これは「NOW AND THEN〜失われた時を求めて〜」
時は戻らずに 強がるから
凛とした魂も 泣き笑いで 涙があふれてる
この「強がるから」が、一体誰が強がってるんだろうと何年も思ってる気がします。「時」が?
「泣き笑い」なのは、「魂」かな。
でも総じて「自分」ってことなんだろうかな。
わかるようでわからない詞は、何年も胸に残る。
それにしたって美しいリリック。
言葉ひとつ 重く消えるよ
恋の終わりは 夏の香り
急ぎ足で 帰る途中で
振り返ったら 影がのびた
「YES〜free flower〜」
別れ、かな。
ふと振り返ってみた夏の日の自分。
AKKOみたいな白いワンピースを着て、少しも笑ってない。
・・主役にさせんだ、小林さんは。
セクシーな曲も書く小林さん。
私の好きな「listen」(Private eyesのカップリング曲)
あなたが求める音を 私が求める音を(×2)
その全ての中に 溶けている自分
今から本当の私を唄うから 唄うから
これがすごく色気に感じて。
なんの暗喩でもないかもしれないけど。
でも曲を聴けば、やっぱり2人だけの世界のことだと思う。
「Hello,Again」「ALICE」も好きだけど、「Private eyes」「listen」のようなマイナー実験感のある曲も好きでした。
一番好きなのは「遠い河」
これはオリジナルアルバムでもベストアルバムでも、なぜか一番最後に据えられてる曲。
ついに歌詞の中に「新しい命」が出てくるのです。少女もやがて母性を。
小林さんは、「水」がとにかく好きなのだそうです。
だからこの曲にも、きっと思い入れがあるはずで。
それに「Private eyes」や「listen」からも、水と性の営みが強く結び付けられてるようにも感じる。
どろどろしてても清流でも水。
羊水に包まれたときの記憶が小林さんにはあったりするかなぁ・・なんて。
今日はマイラバを聴いて、なんかこんなにも語ってみたのでした。