いだてん第39回「懐かしの満州」

いやぁ…今回、いだてん始まって一番泣きました。
人見絹枝回で号泣した方は多かったようですが、この39回は絶望と切なさと満ちてくる希望と…(また泣きそう)。

少し前から、いだてんの感想を毎回書くぞ!と思ってたのになかなかできず…。
感動する要素が多すぎて、まとまったこと書く自信がないということもあります。

前々回の嘉納治五郎死去回でも、たまらない気持ちになりました。
目を輝かせながら、「人生一番の思い出」を星野源さんに語る役所広司さん。
お話を聞く星野さんがまた優しげなお顔で…!
穏やかさと困惑がミックスした星野さんの表情は、映画「アマデウス」でサリエリの独白を聞くあの神父のよう…と思ったのです。
興奮する嘉納治五郎と、優しく耳を傾ける平沢のコントラストに胸打たれたんですよね〜。

 

前回は、中村七之助さん登場に心をいきなりつかまれました。
七之助さんは三遊亭圓生役。
私の落語好きの友人も「さすがうまかった」と言ってたし、落語がわからない私でもずっと見ていたくなるようなキレというかリズムというか。
今回、七之助さんがたくさん出てきたので嬉しかったです。
七之助さんにも中村勘三郎さんがにじむんですね!というのは改めて感じたこと。
勘九郎さんはどんどん似てくるなぁと思ってた。
親子だからそりゃ似るでしょうけどね。
宮藤さんがこのお2人を出演させる以上は、勘三郎イズムみたいのをあえてにじませてんじゃないだろかと思うほど、ぼわーっと感じられるものがあります。

 

今回の主役は志ん生・森山未來さんとも言えますが、太賀さんでもありますよね。
少し前から表情に憂いを帯びてきて、金栗四三の純粋さもちゃんと受け継いだ肥後もっこす・小松勝。
神木隆之介くん演じる五りんの父親だったことが最近判明しました。

太賀さんって、こんなに純朴そうな役珍しいんじゃないでしょうかね。
志ん生・圓生と満州で出会って酒を飲んでた時は失礼なほどの率直キャラだったけど。
そういう二面性見せるところがまたクドカン脚本の楽しさ。
2人への失礼さも、志ん生・圓生からしたら若気の至り。
カッとしつつも森山志ん生の眼に映る勝ははち切れそうな若さ・可愛げ。
3人でお酒飲んだあの時、情勢の悪い満州での束の間楽しげな瞬間で、そこがまた切なくて…。
勝のまっすぐさはTV通してこちらにまで突き刺さってきて、そこにやたらと泣けました。

戦争は終わったのに、治安悪化が甚だしい満州での勝の最期・最後のラン。

そのとき志ん生も走ってる!!!

何が悲しいって、森山志ん生の富久が絶品おもしろいということ。
小松勝からのまさかのランニングシーンだめ出しを取り入れたパワーアップ富久。
勝がまた師匠の金栗四三走法(すっすっはー)を志ん生に伝授するなんてね。
森山さん全力の富久が泣けるのなんのって。
特にあごをクイッとするところ。
しょうがねぇ、あいつの言ってた走法とやらを取り入れて「んで、こうとくらぁ」ってランニングスタイルセット完了!うぉー…。
あの時間みんな輝いてた。
高座の志ん生も、それを新鮮に見つめる圓生も。

故郷とオリンピックに思いを馳せる勝も。

こちらの写真はいだてんまとめから切り取りました。

第39回「懐かしの満州」NHKまとめムービー

 

このまとめだけでも泣ける。
宮藤さんの脚本、特にこのいだてんは「泣き」と「笑い」が混ざり合ってるように見えてパキッとした境目があり、そのパキッとしたところにいつもぐっとくるのです。
大根仁さんによる演出効果でもあるでしょうね。
コントラストがすごい。
泣かしたいの?泣かしたくないの?
いや、すべてに通じるのは「それでもやっぱり笑かしたい」
緊張と悲しみのあとにいつもはっきりインパクトがあって、そのあとぼわ〜っと緩んでつい笑っちゃう。
その泣き笑いってすごく幸せな状態じゃないかと思ったんですよ。

この第39話。どれだけ悲しい物語だったでしょうね。
だけど最後は志ん生の復活という泣き笑い。
妻の夏帆ちゃんも泣き笑い。
満州以来の圓生と志ん生の再会もインパクトありまくりでした。
鮮やかすぎる!!

 

思えばいだてんは毎回こういうストーリーでしたね。
悲しみと不吉な予感の「どうなる…?」で終わらせるものも、戦中編はいくつかあったけど、2話目に必ず大きな救いがある。
宮藤さんの人柄の良さっていうのかなぁ。

まぁちゃんと麻生久美子さんのやりとりとか、一見どうでもいいけどあれがないと苦しすぎるんですよね。
うちの母親はあんまりストーリー把握してないけれど、田畑家のきゅうり尽くしの料理。
俺はカッパか?ってサダヲまぁちゃんがキレたところで笑ってた。
今回の救いは、志ん生の生死を妻の夏帆ちゃんが占いにすがる…ってとこで出てきた薬師丸ひろ子さん。

「もうダメかもしれないわね…」

嬉しかった…ずっと当たらない占い師でいてくれたことが(笑)
「この人の占い当たんないから」
田畑まぁちゃんの慰めがまた救い。
宮藤さんが優しいのか?
絶望の結果を前にした夏帆ちゃんを一瞬「え…?」と思わせる。
「死んでる・死んでない」の比率を自分の中でどうにでもできる余地をすぐ与えたところ。
なんて優しいんだろうって。

第1話のラストも感動の泣き笑いでしたっけね。
金栗四三役・中村勘九郎さんの隈取りゴール。
そのことを嘉納治五郎が振り返ったとき、偶然そばにあった隈取りクッキーシーンでなぜまたホロっとくるのかって…。

 

 

 

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