映画「Wの悲劇」

昨日はBSで映画「Wの悲劇」(1984年)が放送されてました。

ツイッターで半ば実況してたので、うぜぇ!と思ったフォロワーの方いたでしょうね。すんません。

 

TVで見たのは確か小学4、5年ですが、それから何度も再放送されそのたびに見てきた。
なのにいつも、「こんなシーンもあった!」という感動があります。
「何を見てきたんだろう?」というくらい。

もう全シーン・全セリフにぐっとくる。
なんというか全部ドラマチック。
誰か獅子座なんじゃないか?と調べたら、監督の澤井信一郎さんが早速獅子座でした。
「ザ・女優」のストーリーでもありますからね。

このころの薬師丸ひろ子さん特に好きなのです。
劇団の研究生。
特別美人でも個性的でもないという役。
多くの中の一人にすぎないけど舞台の主役を夢見る女優の卵。

主役は高木美保さんに決定。
自信満々の高木さんですが、この映画がデビュー作だそうです。

 

この映画の始まりといえば、男性の声で「大丈夫?」「初めてだったんだ…?」
静香の処女喪失シーンでした。
お相手は劇団の先輩俳優、五代こと三田村邦彦さん。男前!!

「あたし何か変わった?」
野良犬にまで話しかける朝方の帰り道。

早く色気を身につけたかった。
経験済ませれば、自分に足りない何かが滲み出てくるはず。

そこでまんまと惹きつけられたのが世良公則さん。
全身白がまぶしい!

演技練習をしていた三田静香に一目惚れ。
「オレ、森口昭夫26歳、新潟出身、みずがめ座!」

結構グイグイくる昭夫。世良さんは実際は射手座。
確かに全般、熱さがみなぎってました。
挫折した元劇団員、今不動産業。

 

この映画の見どころといえば、三田佳子さんでもあるわけで。
「主役はほぼ三田さん」とも言われてたりします。

三田さん演じる羽鳥翔は、映画の中でも大女優。
大女優ってこんな楽屋…。

しかしある日、愛人が羽鳥翔の上で死んだ…それは腹上死というわけで…。

なんかもう開き直りかけてます。

立ち姿も大女優。

このあと、「あなたを主役にしてあげるから…」と、自分の身代わりを頼む大女優。

愛人がたくさん自分のチケット買ってくれて、ブロードウェーにまで連れてってくれて、欲しいものなんでも与えてくれた。
それでこそ輝きも貫禄も増してゆく大女優・羽鳥翔。
それが女優じゃない??(どうかな…)
ここで傷を負うわけにはいかない!

重みのある三田さんの台詞です。

 

しかし薬師丸さんと世良さんの恋は、ちょっとした月9みたいでした。
華やかな五代と恋愛したかったけど、オーディションで落ちたからもうやぶれかぶれ。
昭夫の安アパートで抱かれてたっていい…。

電気の長い紐を引っ張って部屋明るくしたり暗くしたりのやり取りも名シーンです。

そして抱き合う。

あとでこの日のことを「あたしが抱いてもらったの」「俺が抱いてもらったんだ」との譲り合い。よそよそしいな。
2人が本当の自分をぶつけ合えたのは、この日、居酒屋で酔っ払い、愚痴も過去も吐露したあのときだけだったかもしれません。

薬師丸さんの指でのはみがきも昔、真似した記憶がありますよ。
母親に怒られました。

一夜を共にした女の気まぐれさがわかるようなわからねぇような。

昭夫のまっすぐさがまぶしいんだ、これが…。

あまりにもツレない静香にプチストーカーと化する昭夫。
五代に助けを求めたのに、昭夫の前でフられる静香!

まるで武田鉄矢みたいな言い草です。
好きすぎると簡単に三枚目に成り下がる。

このあと、コインランドリーで偶然会っちゃうところがまた月9。
「浴衣、似合うな…」惚れ直す昭夫。

あのころグイグイくる男って、なぜ袖が短かったんでしょう。

 

そして世紀の身代わり不倫会見。

ゲスい追い詰め方、さすが梨元勝さん。
ちなみに後ろにいるのは福岡翼さんのようです。

信じられないことに、この記者会見の席で「Wの悲劇」主役は三田静香に変更という発表。
今なら真逆ですよね。
でも約束の静香主役を推し進めなければならない大女優・翔。
当然仲間も反発。愛人と不倫してた子が新主役?しかも腹上死だぞ?と。

とにかく三田さんがすごい。
眉をひそめてた先輩女優に「あなたも昔、オンナを使って役を取ったことあったでしょ?」と迫る。
なんと先輩女優も無言の肯定…ってか役者の世界ではままあることなのでしょうか。。

うそうそ。身代わりさせてます。
しかし堂々感で乗り切る。

 

というわけで高木美保さんは降板。
「死んだ子犬を思うと涙が毎回出てくる」という優秀な高木さんに、「後ろの観客に涙なんて見えないわよ!」と罵倒。ひでぇ。
大女優の機嫌次第で降板させられたあのころ??

新主役・静香に女優の心構えを叩き込みます。こえぇ。

「女優女優女優!」
これがまたWの悲劇最大の名台詞でもあり。

 

三田静香主演による舞台「Wの悲劇」幕開け。
主役である娘が、殺人を犯した母をかばうストーリー。ダブってます。

舞台と現実がダブってるおかげで、大女優をもうならす演技だった静香。
カーテンコール、あなたおやりなさいと。

終演後、真実を知った高木美保さんがトチ狂って刃傷沙汰。

警備員、何やってんだとツイッターがどよめいてました。

静香をかばう昭夫が大怪我を負って、そこで昭夫の愛を感じるものの、別れの決意なのです。

こういうごくシンプルな台詞や強がりは、誰の恋愛シーンにもあった気がする。自分にも。
それはこんな映画をよく目にしてたから…という気がします。
まるで自分の言葉のように取り入れてたんでしょうね。

この直前、別れを受け入れられなかった昭夫は「俺たちの千秋楽かよ!」と静香をなじる。
グイグイ来るわりにはどこか情けなかった昭夫です。

でも最後まで静香を讃える昭夫。心がまっすぐなのは彼だけだった…。
あんなドロドロの世界、、、背を向けて正解ですかね。

最後は昭夫のためだけのカーテンコール。

あと名台詞といえば、「顔ぶたないで!私、女優なんだから!」

記者会見にショックを受けた昭夫が静香を思い切り殴ってました。
あのころ、女が過ちを犯すと男が殴るシーンってよくあったんですよね。
今ちょっとありえないけど、女性がものすごい気の強い時代でもあった。
「キッッ!」と男を睨む女性が美しかったです。

 

アパート引き払う静香は、屋根のポスターを剥がし忘れたことに気づく。
ジャンプしても届かない、最後見上げて。
薬師丸さんって本当に少女と色気のはざまの役がうまい。
この何気無いシーンがとても好きです。

このジャンプのシーン、「愛していると言ってくれ」で常盤貴子さんがリンゴの木にジャンプするところを思い出しました。
あの水野紘子もまた女優の卵だったんですよね。
オマージュだったのかな。どうだろう。

 

このあと静香は女優に邁進するのか、それとも田舎に帰るのかわかりません。
どれだけ時が経ってもいくらでも想像を巡らせる楽しみがあります。
いや〜ひとつひとつにグッと来すぎて、長々綴ってしまいました。

エンディングがまた名曲「Woman”Wの悲劇”より」
松本隆作詞、ユーミン作曲、松任谷正隆編曲。

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