あまちゃん主役以外感想文

U-NEXTで引き続き「あまちゃん」を見ています。

NHKにも月額料金を払っているので、なんとか今月中には見終えたい。
いよいよあと10話で終わりです。

 

やっぱり奇跡のドラマと思いますよ。
ガラケー時代の良きことが全て詰まってるような感じ。
少なくともリモートが発達した今じゃあまちゃんは生まれない。
「北三陸に行かないとユイちゃんに会えない」
「ユイちゃんが東京に行かないとオーディション受けられない」
天野アキちゃんが主役であることの裏に、この重さがずっとあるんですよね。
その重さってすごい貴重で希少で輝きでもあったのに、「不便」のことばかりクローズアップされる時代にはもう抗えず。
そうして削がれた切なさばかりがやけに沁みてくるドラマです。

今回、初めて見返してみて、リアルタイムで感じられなかったことがたくさんありました。
のんちゃん・橋本愛さん・福士蒼汰さんの若いキラキラ再確認はもちろんのこと、3人を支える俳優陣の芸に感動しきりだったのです。

・役者ひとりひとりの素晴らしさ

前にも書きましたが、海女クラブの方達(宮本信子・渡辺えり・木野花・美保純・片桐はいり・伊勢志摩・でんでん)と、リアスに集まる面々(杉本哲太・荒川良々・吹越満・小池徹平・安藤玉恵・皆川猿時・菅原大吉・塩見三省)の演技が素晴らしすぎて、画面の隅々・見切れてるとこまで凝視しちゃいます。
みんなみんなすごい!というのはもう大前提で、特に今回は美保純さんのあっけらかんとした演技と、塩見三省さんの全身全霊のコミカルさに何度うなったかなぁと。
美保純さん演じる美寿々は海女クラブの中では若手で、でもヤンキーっていくつになっても若々しさがあると思う。
そのチャラっとした若さがすごい楽しかったのです。後ろの方でずっとおどけてる姿に健気!と思うほど。

塩見さんが大声で「じぇじぇ!!」と言うとか、思えばすごいことです。
無口だからこその「うん?」の大仰さと、その後の「大事件起きそう感」にゾクゾクしました。超重要な伏線が勉さんに集中してるという。
そして泣けるほどのピュアさに溢れてる…勉さんが琥珀そのものに見えてくるのです。

・小池徹平さん

小池徹平さんは「イケメンのはずなのに」というどこか残念な役で、存在感が本当薄い!
しかし!!実はずーーっと絶えず出演されてるんですよね。
私の記憶では「ふらっとリアスに来る人」「アキちゃんをねばっこく追いかける暗い男」というイメージでしたが、観光協会に毎日出勤してるし、リアスに毎晩お金落としてるし。時にはアキちゃんとユイちゃんのマネージャーを買って出て、しかもお父さん(平泉成さん)の介護をメインで担当。
お母さん(八木亜希子さん)は失踪、ユイちゃんがグレちゃう中でも献身的に…。
アキちゃんがたまに北三陸に帰ってきたとき、ちょっとしたイベントでも必ずカメラを回してました。
震災直後には復興活動やお父さんの市長選応援の中心にもなっている(泣)
「あまちゃん」とは、ストーブの前にしか居場所がなかった「ストーブさん」の更生ストーリーでもあるんじゃないかと思うほど、北三陸の振興に尽力した男ですよ…。
「なのにやっぱり存在感が薄い」という役でしたが、クドカンはイケメンを残念に描いてこそ輝かせる。
あんなにお顔が整ってるのにうっすら気持ち悪い…という演技を貫いた小池さんに、私は勝手に賞を贈りたい気分です。

・やっぱり宮本信子さん

夏ばっぱは本当にかっこいいですね。
アキちゃんがたびたび誇らしげな顔になるのもわかります。
宮本信子さんの東北弁がお見事でまた…。
お見事ったって正しい東北弁は知らないけど、「正しい」とかどうでもいいって感じです。
宮本信子さんが「いいこと」を言うときは、大体寝転んでるとき。
たぶんほかの朝ドラなら、祖母がいいことを言うとき、若い主役の肩など触りながらきちんと向き合うんでしょうね。「年寄りがいいことを言うぞ」という王道のシーン。
あまちゃんでは娘の春子が、寝てる夏さんのそばで大事なことを告げたりもする。
「何時だと思ってんだ!」って怒る夏さん。
そう、よく怒るしね。こんなに怒ってる祖母は朝ドラにいたかなぁ。
元気だしねぇ。「勇気づけられる」っていうのは夏ばっぱを見てるとよくわかる気がします。
「ひよっこ」があまり好きじゃなかったのは、夏ばっぱを上書きされそうな気がしたからかも。
しかも娘役だった有村架純さんとまた共演させるとかね。
いや、上書きすればいいんでしょうけど、4年も経ってるし。役者は上書きすればこそ、のはず。
でも夏ばっぱは数々描かれた高齢者の中でも規格外の魅力を放ってたと思う。
本当に高齢者ってずっと横になってるんですよ。
しかも「いいこと」言おうとする高齢者ってあんまいないんじゃないのかな。
横になってから漏れる嘆息の中にいつも大事なことが込められてる、それが高齢者。そのリアルさが嬉しかったです。
あと宮本信子さん、歌がすごいうまい!「いつでも夢を」の低音部分に惚れ惚れです。

・キョンキョンと薬師丸ひろ子さんと尾美さん

小泉今日子さんと薬師丸ひろ子さんといえば、クドカンドラマではミューズとも言える存在ですが、その2人が共演するあまちゃんってやっぱすごいなと。
2人が初めて寿司屋で対面&丁々発止のシーンでは涙が滲みました。なんてすごい共演を見てるんだ!と。
しかも性格がどっちもアレっていうやりとり。
春子は恐ろしく気が強い。鈴鹿ひろ美は恐ろしくふざけキャラで天然。
春子が鈴鹿さんに「はぁ〜っ!??」とか言っちゃう。
大体春子は誰に対しても一度はキレるんですよね。
まず夫の尾美さん、杉本哲太さん演じる大吉さん、夏ばっぱは定番の3人。
アキにビンタ付きでキレて涙ポロポロするのんちゃんには感情移入しすぎるほどでしたが、ヤンキーユイちゃんにも、その母親の八木亜希子さんにもまっすぐキレてた。
太巻こと荒巻へのキレは気持ちいいほどで、あと水口を陰に連れてって脇腹どつきまくるシーン、わりと静かにキレてたけどめちゃ怖かった…。
そのキレ芸を薬師丸さんにも!?っていう、こんなドラマ奇跡ですよ…(奇跡・感動うるさくてすみません)

また鈴鹿さんがなんでまたあんな迷惑キャラなのか…。
「あまのさ〜ん?」って付き人のアキを呼ぶあの声はトラウマになりそうな大御所の圧。
薬師丸さんを「大女優」として描いたのがすごいと思う。
あの角川の薬師丸さん。リアルでも大女優。
でも本当の薬師丸さんは鈴鹿ひろ美ほど図々しくないのはわかる。
すんごい大げさに描かれてるとわかるから可笑しいのですが(たぶん)、なんかピュアにも描かれてるんですよね。
少女の部分が残ってるというか。あのキャラ設定が何気に不思議です。
そのピュアさで時に人に迷惑かけるし傷つけるし、だからこそ周りを熱く動かしたりもする。
目上への態度がてんでなってないアキとうまくやれるのもきっとピュアだから。
でも薬師丸さんもピュアなんでしょうよね。
だから見事な当て書きというかね…。むちゃくちゃ優しい目をするんですよ。薬師丸さん。

そんでキョンキョンと薬師丸さんだけでも成立する豪華さなのに、時々尾美さんが間にいるという贅沢感。
大林×角川×アイドルという80年代の思い出メドレーですか…??
しかも東京03みたいなボケ×ボケ×ツッコミがきっちり成立してるという。
また尾美さんがすごいのは、最初から最後までずっと「世田谷感」漂ってたこと。
東北出身の春子がたまに「はぁ〜っ!?(わけわかんねっ)」ってクサすのは、それこそ尾美さん演じる黒川正宗がちょいちょい「いいこと」言おうとするから。
世田谷ってやたらいいこと言おうとするミドルエイジが確かに多いんですよね。
あまちゃんでは、「いいこと」をぶった切る場面が多く、たぶん本当に胸揺さぶる言葉は、恥ずかしさを忘れた怒りや涙の訴えの中にしかなくて。
余裕しゃくしゃくで髪も振り乱さず誰かを諭すなんて「言わせねー」って、その許せなさを春子に表現させてる。
でも尾美さんがいいこと言うときの、眉がハの字になったり犬歯がのぞいたり、ゆっくりまばたきをする顔がめちゃ好きです。

・松田龍平さん

薬師丸さんと松田龍平さんが台本の読み合わせするところで、またもやその贅沢さに「!!!」となりました。探偵物語じゃん!と。
いや、「探偵物語」は薬師丸さんと松田優作さんであって、お父さんを連想するとかよくないかも…と戒めるものの、角川!!とつい興奮しちゃうんですよね。

松田龍平さん見てると、優作さんを思わずにはいられないですよ。
それは比較とかそういうことじゃなく、龍平さんの中にプレミアムな何かが内包されている。ついそれを感じようとしちゃうというか。
だから龍平さん演じる水口が「一般男性〜。ルパ〜ン三せ〜い」と種市に言うとこ、変にドキドキした…。さすがの龍平さんも「これやるの!?」と思ったそうで。
そうはいっても水口は、プレミアム感がほとんど消去された珍しい役だったと思う。
だってキョンキョンに脇殴られるとか、それで壊れたメガネをかけてるとか、アイドル大好きとか。
こんな男前なのに、アキやユイを見つめる目が時々気持ち悪かったんですよね。これはすごいと思う。何をどう演じても男前のはずの龍平さんが。
勉さんの弟子として現れた謎の男だったときこそかっこよかったけど、東京でアイドルのマネージャーとして働く水口は全然かっこよく描かれてない。ここにクドカンの意地を感じた気もするけど、何度か水口が宮藤さんにも見えました。
クドカンの目線が水口に込められてたんじゃないかなぁと。
太巻にずっと頭が上がらなかった水口。ザ・勤め人の龍平さんは珍しいし、今思えばありがたいほどです。
結局、アキのこと好きだったのかなぁ。それをはっきりさせないところがよかった。

 

その他、業界のめんどくさいやつが「いそう!」って不思議に思えるのがやっぱおもしろい。
岩手こっちゃこいテレビディレクターの野間口徹さんとか、マギーさん演じるスカウトマンとかの感じ悪さ。
東京っぽさってなんであんな感じ悪いんだろう。
GMTが東北チャリティーイベントがてら喫茶リアスに寄るところがありましたが、GMTすら感じ悪かったもんなぁ。そんでユイちゃんがイラつくという。
入間しおり調子乗ってんな!ってちゃんと思える松岡茉優さんがすごい。
でもユイちゃんは入間眼中にない(笑)「あの小野寺って子、全然普通だね」とか、やっぱ美人は自分と同等レベルの美人を敵対視するんですね。
沖縄の喜屋武ちゃんがまた癒しでした。真奈ちゃんの「せからしか!」もハマる。
ってかGMTみんなうまい。地味に演じてるっていうちゃんとした芸だと思う。

これは2013年のドラマですが、天野家では尾美さんが料理はじめ掃除などほとんどの家事をこなしてる。
春子もそれなりにやってたので、特別男女逆転で描かれてるわけじゃないんですよね。
足立家は典型的な「妻が支える」一家だったけど、アナウンサーという仕事をすぐやめて家庭に入った八木亜希子さんが、「これが私の望んだ道」と言いながらも東京に失踪して家庭崩壊してしまう。そのあとの足立家を支えたのはヒロシ。(ユイちゃんもグレつつ献身的だったけど)
お母さんはまた足立家に戻ってくるけど、「自分」を取り戻すための失踪だったとも言えるんですよね。
具体的なもの見つけられなくても「帰ろう」と思える。見つからなかったことに折り合いがついたのかな。
あまちゃんは、「自分って何のためにいる?」ということにみんなぶち当たるドラマでもあって、「成功するために自分はいる」と頑張る時期もあれば、「何者じゃなくてもオラはオラだ。好きなことをただやってるだけだべ!」っていうアキちゃんは東京での活躍を捨てて北三陸で生きるというね。
そうはいっても最終回どんなだったか忘れてます。

 

 

「た、大変だ!北三陸にGHQが来た!」と焦る吉田。

仰天するお年寄り。さすが高齢者にもわかりやすいギャグをちりばめてくる。
(来たのはGMT)

夏ばっぱが飼ってる猫・かつえ。

 

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