北の国から’95秘密

日曜20時はもれなく「北の国から」です。

’92巣立ち以降はつまらなくなったとか、’95秘密以降はもう見てないだとか、後年の北の国から批判をちょいちょいしてきたんだけど、’95秘密はほとんど見てなかったようでした。

「そんなことは全然知らなかった」

っていうシーンばっかり。
中途半端な見方してたみたい。
申し訳なかったです。

特に新得駅前での純と蛍の車の中の会話シーンは記憶にまったくありませんでした。
でもTVドラマ兄妹シーンNo.1なんじゃないでしょうかね。

純:お前、いつからそんな悪知恵ついたんだ?
蛍:・・・いつからかな。

蛍ちゃんは緒形直人さん演じる勇ちゃんからとっくに気持ちが離れ、勤めていた札幌の病院の43歳8ヶ月の医者と不倫中だった。
駆け落ち中でもあった。
いっとき行方不明になって、医者の息子まで純のお家に押しかけてきて、それでも富良野に住むお父さんには知られないように、心配も悟られないようにしてきた純のもとに、ある日蛍が訪ねてきた。
「お兄ちゃんお金貸して」って。

純は正吉君と一緒に住んでるんだけど、蛍ちゃんが訪ねてきた時には正吉は中座。
純と蛍、深刻で重苦しいムード。
蛍ちゃんはこれから根室市落石漁港の診療所へ向かうという。
その先生と、2人して雇ってもらったみたい。
新得でそこへ向かう汽車に乗る。
その新得駅まで蛍ちゃんを送る純。

「ちょっと眠っていい?」
って疲れた顔した蛍ちゃんを横目でちらっと見て、心配する純。
その前に「カセットかけていい?」って蛍ちゃんが持ってきたカセットから流れてきたチェロの音に、ほっとしたように眠る蛍ちゃん。
新得駅に着いたら、「あの人、チェロ弾くの」だって!

そこでニヤつく純君。
この表情は、兄妹だからできるのかなぁ。

蛍:駆け落ちするっていうのに、あの人チェロ抱えてきたのよ。
純:…そいつ殴りてぇ(笑)そいつになんて口説かれたんだ?
蛍:あたしが口説いたのよ。あたしがメロメロになったの。

きょうだいならではの寛容さでわりとニヤニヤ聞いてた純君だったけど、「メロメロ」のあたりから雰囲気が変わった。
「先生」のことを語る蛍ちゃんは、さっきまでの深刻さとは打って変わってメロメロな表情になったけど、何か「教祖様」を信じてるみたいな表情でもあった。
「それでいいのかな?」って恋をしている人は、ああいう独特の表情をするものかもしれません。

部屋で2人深刻に話し合ってた時は、蛍ちゃんまさか死を選んだり?ってことが心配だったけど、彼の話でちょっと気分がアガった蛍ちゃんは
「お父さんには、僻地へボランティアに行ってるって言っといて」
ってワルそうに笑う。
その表情を見た純君が「いつからお前、悪知恵…」ってセリフ吐くんだけど。

「…いつからかな」って、正気に返ったみたいな蛍ちゃんの顔は、まるでドラマ版のあのころの蛍ちゃんだった!
この表情には感動しました。
倉本聰さんも中嶋朋子さんも、すごいなぁ…。

あのころ’95秘密をろくに見てなかった大きな要因は、宮沢りえさん演じるシュウちゃんのふわふわ具合が見ていられなかったんだと思います。

それにしても宮沢りえさんきれい!
最近の広瀬すずちゃんを見て、宮沢りえさんに似てるなぁと思ってたのですが、あのころ22歳の宮沢りえさんは広瀬すずちゃんみたいな少女の透明感に溢れてたんだなぁ。

しかしシュウちゃん積極的すぎです。
純君と初めて会ったのに「お茶飲んでかない?」っておうちに誘ったり、「じゃ、電話番号教えて、いつかお礼するから」と、ひるまない積極性をさらに見せ。
「いつでも電話待ってます!」
って純君の顔を覗き込みながら言う、この積極性はどういうんでしょうね。

純君も「初めて会ったのにいきなり部屋には上がらねぇぜ」ってポーズ見せたものの、その日の夜にさっそくシュウちゃん呼び出しちゃって、一気に仲は深まります。

れいちゃんとは、まだかろうじて付き合ってる’95秘密冒頭。
「今日こそ部屋に誘えるかも!」って意気込んだ純君に、「ある人からプロポーズ受けたの…」って複雑な女心見せられる。
ああいうときの男女の気持ちって、どうしてこうもちぐはぐなんでしょうね。
「そいつのとこ行くなよ!俺がいるだろ!」って言ってほしい女。
そんなこと言うわけもない男。

コンプレックスのかたまりである純君は、大草原でれいちゃんを押し倒して激しく拒絶されるという。
シュウちゃんが昔AVに出てたことを知ってからの純君も、シュウちゃんを強引に押し倒してましたね。
最低じゃん!

けどもシュウちゃんもまた純君押し倒して2人の関係は始まったのです。
北の国からは結構この「押し倒し」が出てくんですね。
弱い男・強い女の象徴なのかな。
五郎さんもこごみさんから押し倒し攻撃受けてた。
ここまで遺伝するのかしら…。

シュウちゃんの部屋に初めて上がった純君。
最近引っ越してきたばかりのシュウちゃんの部屋にはまだテレビもコンポもなくて、いつかここに置きたいんだぁ~って夢を、ピエロのオルゴール鳴らしながら舞うように語るシュウちゃん。
あれ?この感じ。

タマコの異様さに似てる気がしたのです。
「タリラリラ~♪」
って、2人の好きな映画「ライムライト」のワンシーンを自己再現してみせるタマコ。
純が勤めるガソリンスタンドで、ピザ屋の制服のまま。
「おい、やめろよ!」
ってなりそうな現代の青年ですが、純君はまんざらでもない感じでニヤニヤしてます。

あちゃー純君は一旦盛り上がっちゃったら引き返せないタイプなのかもね。

思えばれいちゃんも相当積極的で、だって中学生とはいえ、小屋に誘ってシュミーズ姿さらすってさ。
しかもれいちゃんの必殺技は、電話で「怖いの…」って囁くこと。
毎回言ってんだけど、結婚式当日にまで囁かれた純君は、映画「卒業」さながらに式場向かっちゃうんだから!
まったく獅子座の男は!
純君は女運が強烈にいいとも言えるけど、それだけのリスクもまた負わねばならない金星天王星の男。

このドラマは地上波では放送できないかもしれないかな。
いろいろギリギリな気がする。
でもそれがとっても美しいし胸を打つ。
何より蛍ちゃんの保険をかけない生き方。
蛍ちゃんがこういう性格のまんまで本当に良かったと思いました。

蛍の不倫のことを知った五郎さんは純と一緒に落石まで来て、1年ぶりに蛍と再会できた。

五:久しぶりだなぁ。ちょっと太ったか?
蛍:いま幸せだから…。
五:そう!幸せがいちばん!
「世間的にはよくないことかもしれないけど、父さんに対して申し訳ないと思うことは、ない」

’95秘密の表テーマは「誰にだって秘密がある・過去がある・秘密を抱えてこれから生きる」

でもきっと裏テーマは
「元気であれば、それでいい」
誰かのことを愛する何人かが、こんなセリフを語ってた。

蛍ちゃんはずっと気を張って生きてきた。
お母さんがお父さん以外の人と仲良くしてるのを目にしたあのときからずっと。
母親代わり。お父さんのため。家族のため。

純と蛍の親不孝度合いに勝手に腹立ててた時期は長かったけど、何かを「抑制」してきた分だけ社会的不良になったって、それこそが自然なのかもしれません。
TVも家電製品もない生活を続けてる五郎さんは、それだっていいんだ~ってことよく知ってるようです。
’95秘密はそこに感動したなぁ。

結局、純君はれいちゃんをさらえなかった。
脳裏に浮かんだのは、社会性を捨てたような歩みで先生のもとへ向かう蛍ちゃんの後ろ姿。

純:お前はダスティン・ホフマンみたいに、本当に欲しいものをさらったんだな
今の俺に、お前の姿は眩しすぎ…

意外だった(純ふう)。
北の国からからこんなメッセージを投げかけられるとは。

シュウちゃんが昔AVに出てたことを知ってからというもの、純君はあからさまにシュウちゃんを避けるんだけど、一緒に混浴までした五郎さんのたっての願いで、純君はしぶしぶシュウちゃんの待つ喫茶店へ向かう。

シ:今、純君にお手紙書いてたの。読み上げるね。

そんなことしたら嫌われる!ってな心の警告もむなしく、AVに出たヤバい経緯を読み上げるシュウちゃん。
だけど北の国からというドラマは、そんな「まっすぐさ」を輝かしく讃える。
そのまっすぐさだからこそ不器用に生きてきた人たちの物語。
そしてもれなく純君の胸を打ちました。
成功かっ!

’95秘密は、とてもよかったです。
純とシュウちゃんが恋に落ちるあたりの若々しさも、今あんなふうに「気になってしょうがない」って恋の始まりを描けるドラマはあるかしら。
吉岡秀隆さんが相当演技うまいんだな~やっぱし。
中嶋朋子さんの相手「黒木先生」は結局出てこなかったんだけど、診療所の片隅に置かれたチェロだけで「ひっそりと秘密の恋愛してます」っていう色気をあふれさすって、か~っ{りんごちゃん}
来週は’98時代を楽しみにします。

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