北の国から’92巣立ち前編

ここのとこ楽しみにしている日曜夜8時。
BSフジで毎週、北の国からスペシャルが再放送されているのです。

こないだは’92巣立ち前編。

北の国からの鮮やかな記憶は、’89帰郷で止まってました。
純と蛍の性格もどんどん屈折していって、五郎さんに降りかかる不幸の数々に耐えられなくて…。

その時代時代の若者と年老いた親の問題を、すべてあの親子3人に背負わせてお茶の間の涙を誘おうという、当時はそんな派手さがTV業界全体にあったんじゃないのかな。

巣立ち以降の印象がよくなかったのは、純の女遍歴にもあると思います。
初恋や、少し関わっただけも含めると…

・恵子ちゃん 連ドラ
・涼子先生(原田美枝子)連ドラ
・れいちゃん(横山めぐみ)’87初恋
・エリ(洞口依子)’89帰郷
——-ここまではまだいいとして——–
・タマコ(裕木奈江)’92巣立ち
・シュウ(宮沢りえ)’95秘密
・結(内田有紀)’2002遺言

これは吉岡秀隆さんのホロスコープ・金星あたりですが、激しいことになってますね。
波乱・いきなりの別離(天王星)、深刻すぎる恋愛(冥王星)。
(実際に内田有紀さんが書き置きを残して家を出て行ったという離婚の背景は、真実かな…)

そもそも出会う女性がみんな激しい、とも言えます。
北の国から以外でも、華やかな女性との共演が多いです。
(後藤久美子さん、小雪さん、柴咲コウさんetc…)

いやしかし、久々に見た巣立ち(前編)。
とてもよかったです!
久々に見た裕木奈江さんはとっても素敵でした。

裕木奈江さんって、当時すごいバッシングされてましたよね。
もともと、ふわふわした不思議キャラクターでしたけどね。
顔は夏帆ちゃんにどことなく似てる。

でも今ああいう女優さんってなかなかいないです。
空気読めない天然な感じがバッシングされてたのだろうけど、誰もかれもが空気うまく読めてるみたいなキャラクターの中においてああいう雰囲気の方ってのは、記憶に刻印されるものですね。

前日にはBSで「鬼龍院花子の生涯」を見てましたが、夏目雅子さんの透明感にも匹敵するんじゃないかとすら思った。
それくらい透き通ったものを放てる女優さんが、今どこにもいないような。

ラブホテルで純くんと一緒に映画見て、しかもホットドッグのケチャップで手がべたべた・真っ赤。
当時は私もあそこに嫌悪感抱いてました。
純くんの肩に頭のせといて、押し倒された途端に
「純くんそんなことする人だと思わなかった!!」
と突き飛ばして激しく泣く。

(ラブホテル行こうって誘っといてその気がないとか、なんなんだよ…)
ってのはセリフになかったけど、そんな感じで急速に萎えていった吉岡秀隆さんの演技がまたすごくうまかったです。

「ごめんなさい…!」
「やめろよ」
「いいの…!」「嫌いにならないで」
今度は逆にタマコにのっかられて、2人の関係が・ラブホテルでの「映画鑑賞会」が始まるわけで…。

「タマコを愛していたかと問われれば、愛していなかった」
「れいちゃんのようには、愛していなかった」
「僕は不純です」
「父さん、僕は東京で不純なことをしています」

いや、そんな反省することもないんだけど、それにしても20代前半男性…というか男性全般の「好きじゃなくても抱ける」というあたりへの「わからなさ」ばかりが募った。
一度なら抱ける、とかではなく、好きじゃなくても何度でも抱けるということのわからなさ。

緒形直人さん演じる勇次も、蛍ちゃんに「札幌で就職してくれるのよね?(一緒に居られるのよね?)」と問い詰められて、言葉に詰まってた。
そのとき漂った、「永遠に一緒ではないかもしれない」というあの切なさ。
しかも、すぐそこに迫ってるような別れ。

それをまた、蛍ちゃん押し倒すことでごまかそうとする勇次。
緒形直人さんですら…!
ショックです。

富良野までゆっこおばさんを迎えに来た村井国夫さん(役)は、またも不倫をして、じきに離婚。

昨日見た限りでは、正吉が一番誠実そうだった。
蛍ちゃんと列車の中で数年ぶりに出会った自衛隊員・正吉。
富良野で降りず、通過するばっかりだったこの何ヶ月のこと、お父さんにもし会っても内緒ね…と正吉に釘刺す蛍ちゃんに
「言わねぇよ…絶対」
って、涙浮かべながら堅く守る正吉。
正吉はその後、未婚の母の蛍ちゃんと結婚するんだからさ。

誠実さとはなんだろう。

「誠意って何かね?」

これがまさに巣立ち後編のテーマでしたね。

一朝一夕に完成しない丸太小屋や石造りの小屋みたいに、愛も信頼も関係性も、すぐには形成されない。
ってことは、倉本聰さんのテーマのようでもあります。

すぐに結果が出ないと不幸だと思う。
自分を責める。
「すぐ」ってどんな?
1ヶ月で状況が変わらないとすぐ落ち込む。

これは私のことでもあるし、周りのことでもある。
何もかもが速すぎて、年単位での努力なんて最初から頭にない。
そんな人が増えていけば、どうしたって自分の歩みは遅く思えます。

さっき放送されてたNHK「プロフェッショナル」には倉本聰さんが出てらした!

「書く」ということに365日ずっと取り組まれてるという倉本さん。
時々書いたあとに吐くこともあるという。
それはなんでだと「とある人」に聞いたらば、
「誰かに書かされてるからだ」とのこと。
「サムシンググレートに書かされてる」
とも言い換えられてた。

「吐き気もあるんだ、どうしたらよいのか」
と相談したらば
「お香を焚くと良い」
とのアドバイスあり。

う~ん!
倉本聰さんのこういうところが好きでもあります。
北の国から(ドラマ時代)で何度も描かれたUFOとの遭遇にも通じるような。
「自分だけじゃない、もっと背後の大きなもの」
にいつでも畏敬の念を抱いてらっしゃるように思えます。

巣立ち後編の、黒板五郎がタマコの叔父・菅原文太さんのもとにたくさんのカボチャを持って行って、律儀に積んでおくシーン。
あれが予告編で流れただけでも胸が痛い。
それだけでもたまらないのに、巣立ちの最後には五郎さんが丸太の下敷きになって、それを見つけた蛍の叫び声。
あー胃が痛い。

倉本聰さんは、4月からテレ朝で放送される昼ドラの脚本を書かれたそうです。
「横道にそれないこと」
がプロフェッショナルなんじゃないかと、さっきおっしゃってた。
私も北の国からシリーズを最後まで今度こそ!見届けようと思います。

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