北の国から’89帰郷

’89帰郷は中学時代の私のNo.1恋愛ドラマで、何度も何度も録画したビデオを見たものです。
蛍ちゃんと緒形直人さんの淡い恋愛が印象的すぎて、純くんパートの記憶が抜け落ちてました。

東京のゆっこおばさんのところに下宿してる純くんは、ちょっと不良っぽくなって。
髪も赤く染めて、知り合いからバイクを安く買おうとお金を工面して。
だけどバイク買おうとしてる中で、なんかヤバそうな人たちとのつながりができてしまい、そのグループの中の1人、妹が洞口依子さん!

スペシャルでは何人か、特別出演みたいな俳優が出てきます。
初のスペシャルドラマ’83冬では笠智衆さんとか、’87初恋では美保純さんが草太の新恋人として麓郷ファミリーに加わりました。

’84初恋では横山めぐみさんが鮮烈デビュー。
親父さんの泥の指紋ついたお札受け取れねぇと純くんにつき返したトラック運転手は、今は亡き古尾谷雅人さん。
’89帰郷では洞口依子さんがものすごい存在感を放っていたのですね。

何度も見たので、細かいところの表情やシーンもよく覚えてる。
すぐ記憶に蘇ってきたのが、洞口さんのセミヌード…というかはだけた下着姿。

CはおろかAも未経験の純くんにたちまち興味を抱いて誘惑した洞口さんは、荒川あたりに浮かんだ小舟の中で純くんのズボンを下ろすも誘惑に失敗し、舟から落ちてギャーギャー泣き叫びながら、ずぶ濡れで川から上がるシーン。
小柄な洞口さんですが、お胸が豊満で…。
ちょっとしたセクシーシーンは、昔も今も楽しめるものです。

洞口さんは、ちょっとヤバいお兄さんの妹、自身もヤバい子という噂。
その噂通りな誘惑ぶりだけど、でもすごく人情味ある子だということを後に純くんは知る。

純くん傷害事件のきっかけとなった、泥のついたお札を盗まれたそのお札2枚のうち、1枚は洞口さんが取り返してくれて、1枚は一緒に探そうって。

「僕もこの子も、不良ではありません」
「髪型とか服装とかバイクとか、見た目で決めつけないで」
「そういう外見も、いわば個人のセンスなわけで…」

’89帰郷は蛍ちゃんの恋以上に、こちらのほうが強いメッセージとして発されていたのだなと改めて感じました。

そしてさらに思うのは、「北の国から」は純くんが主役なんだということ。
そうですよね、「拝啓、恵子ちゃん」とか、純くんのモノローグで物語は語られるのですから。

スペシャルでは蛍ちゃんのセリフがぐっと減っているのがなかなか寂しい。
セリフがなくても表情で多くを語る蛍ちゃんなのですが。
それでも私の中に今も根づいているいくつか。

「やだーー!!」(’83冬 雪に埋もれた正吉発見時)
「お兄ちゃん、早く(ラーメン)食べよ」(’84夏)
「今そういうこと言わないでくれる?」(’87初恋)
「あの人、いるでしょ、東京行っちゃうの。明日なの。(だから、温泉行かれないの…)」(’89帰郷)
「今その話しないで…泣いちゃうから」(’89帰郷)

’89帰郷の前半部分見落としたので、恋愛シーンのセリフが瞬時に出てこないことが悔しいです。
ただ「待ってました!」と思ったのが、緒形直人さんの手紙朗読シーン。

「HとY、HとYって彫ってある木が…」(H…蛍 Y…勇次)
「たきさと…空知川の…」

手紙の内容は、今朝見たんだという夢の話。
夢の中で蛍ちゃんと手をつないで、ダムに沈んだ勇次の故郷へとどこまでも2人で潜っていくというような。
緒形直人さんのウィスパーボイスに聞き惚れて、いつも内容の解釈まで頭が働きません。
「えっちとわい…」
っていうささやき声がこだまして、色気にノックアウトされて…。
それがラブレターなんだっていう不思議さと、でも「風の又三郎」でつながった2人ならではの文学的ロマン。

勇次の東京行きが急遽決まり、16:11分札幌行きで明日発つんだと聞いた蛍ちゃんは、すかさず右斜め上部の時刻表を見やり、そのあと即、勇次に向けた表情は強く責めるような。
(でも…しょうがない…)
出かけた言葉を赤い手袋で遮るように「…わかった…」って、蛍ちゃんもささやく。

蛍ちゃんといえば「走る子」でもあります。

札幌行きの列車が入線するホームに向かった勇次を、1拍おいて慌てて追いかける蛍ちゃん。
いよいよ列車が出発すると、その列車に追いつこうと、追いつきたいと駆ける蛍ちゃん。

見ていた中学生のときは「陸上部?」と思うくらいな走りっぷりと、おとなしい蛍ちゃんのギャップに意外さを感じるばかりだった。

けど思えば、お母さん(いしだあゆみさん)が乗る列車を、空知川沿い走って追いかけるあの名シーンオマージュということなのでしょうね。
あの必死さ再来という。

’87初恋で純くんとれいちゃんは離れ離れになりましたが(純くん東京へ・れいちゃん一家夜逃げ)、’89帰郷ではれいちゃんをついに探し当てます。

たまたまラジオから流れてきた尾崎豊「I LOVE YOU」のリクエストが、「富良野の純くんへ、札幌のれいより」!!
これまた、たまたま富良野に帰ってた純は札幌のラジオ局まで行って、このれいちゃんのリクエストハガキを職員みんなで探すのですが、今では信じられない光景です。

「これじゃないか?」っておじさんが見つけてくれたハガキの住所を頼りに、れいちゃんのアパートへ赴く純くん。
「今いないわよ」って教えてくれたおばさんは勤務先情報まで提供したらしく、ロイヤルホストでアルバイトしてるれいちゃんをガラス越しに発見!

個人情報!!
ストーカー!!
今の時代、人はどれだけこのワードに敏感になってしまったことでしょう。
急に憂鬱になってきます。

「あの人」の住んでるおうちの前まで行ってみちゃったり、お部屋のあたり見上げたり…ってことは、もう今のドラマでもないシーンでしょうかね。
これで御用なら一体どうやって恋愛しろってんだ!
…ストーカーになりたくない心理と恋愛離れは無関係ではないような気がしたのでした。
「好きな人に手紙を書く」という行為の遠さもまた。

ほか’89帰郷の個人的名ゼリフ

「やりたいかやりたくないかって、そりゃやりたいです…けど…」(洞口さんに誘惑される純)
「なんせ過疎なんで、過疎!」(DTの言い訳をする純)
「僕のお札返してください、1987年3月21日って日付の入ってる、泥の指紋がついた…」(職場の先輩に懇願する純)
「バーカ!」(懇願された職場の悪い先輩)
「見たい?」(純を元気づけようと、蛍の彼氏を見に行こうぜと誘う五郎)
「お父さん、寝ちゃだめだよ…」(泣きながら薪をくべてる純)
「寝るもんかぁ…!」(お風呂に入ってる五郎)
「怖かったの…」(純と再会したれいちゃん)
「女房?・・死にました…」(酒場で管巻く五郎。”奥さんは?”って別に誰からも聞かれてないんじゃないかという疑惑)

’89帰郷の後半部分だけでもこんなに書いてしまった。
実家で全編見たら、’89パート2もありえるかもしれません。
いや、その前に傑作’84夏のことを書きたくなるかもしれない。
あれは丸太小屋火事になったりラーメン屋のシーンとか、名場面盛りだくさんなのです。

吉岡秀隆さんのホロスコープを見たら、金星が天王星とコンジャンクションで冥王星も近く、これからもっと女難が待ち受けてるふうで、そんなこともまた次回以降のスペシャル見たあとに書いてしまいそう。
だけど、’92巣立ち以降の妙なサービス精神についていけなくなったのも確か。
新たな感動と衝動が沸き起こったらぜひ書いてみたいです。

 

 

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