かつては選挙に行かない若者だった自分

私は高校生になっても与党と野党がなんだかわかってなかった。

年の離れた姉と兄に「ばかじゃねーの」「恥ずかしっ!」と言われても、どうしたら政治が理解できるようになるのか、とんとわからなかったですね。
ただ、うちになぜか歴代総理の似顔絵湯呑みがあり、私はそれを愛用していた。
受験勉強で暗記した総理名と順番が合ってるか、茶をすすりながらよく確かめてましたね。
その湯呑みは海部さんで終わってた。

総理が細川護煕になったとき、両親も高校の教師もざわついていた。
非自民が政権を取ったという爽やかさが世の中を覆ってたように思うけど、それも短い期間で。
私が20歳になったときは村山さんが総理でした。


両親はわりと社会派だったと思う。
父親が新聞を見て政治家にブツブツ言ってるのとかすごい嫌だった。
母親も「こんな法案が通ったら大変!」と憤ることがあった。
それでも選挙に行かないことを親に咎められれば「棄権という権利だ!」とか偉そうに言ってました。

そんな私が政治家個人に興味を抱いたり、ちょっとだけ「分かる」と思えたのはいつごろだったか。
なんだかんだ今の放送業界に入る30歳ごろだったかもしれない。かなり遅い。
私があまりにも選挙に行かなかったからか、ある日、母親が語り始めた。

「お母さんは戦争に絶対反対」
「このままだとどんどん戦争に向かっていく」
「戦争を起こしかねない政党に票を絶対入れるわけにいかない」
「9条を守らないといけない」

両親は戦前生まれで、戦後がこれまでとどれだけ世の雰囲気が変わったかを肌で感じた世代。
日本国憲法がうたう民主主義の素晴らしさを親も教師も熱く教えてくれたことの喜びを、今でも母は語ったりする。
私は30代になってやっと母の言葉を受け止められた。
たぶんずっと前から繰り返し同じことを言ってたんだろう。
おかげで私の基準も母踏襲というか、「戦争を絶対させないこと」が自分のベースの主義となる。

そうすると、政党がどこに向かっていこうとしてるか感じられてくる。
安倍総理は特にわかりやすかった。
「これやばくないか?」
昔だったら絶対手に取らなかった政治誌を本屋で読んでみると、「やばいんですよ!」というあれこれをライター・記者が必死で訴えている。
そうすると急に野党の面々までくっきり分かるようになり、野党各党のカラーも自然と浮かび上がる感じ。
日本維新の会が躍進したときも、わかりやすい流れを感じた。
橋下氏、松井氏、吉村氏が出てくるとチャンネルを変えてしまうほどに。


2016年までテレ東で「田勢康弘の週刊ニュース新書」という番組が放送されていて、毎週見てたんですよね。
サブMCが大江麻理子アナで、スタジオに猫がうろついている。
毎週、政治家・大物実業家が1人ゲストで来て、田勢さんがいつもズバッと斬り込む。
その質問や意見が私にもすごくわかりやすかった。
ニュースでは悪党に見えてた大物政治家も、猫の「まーご」を前にすれば相好を崩しつつ、本音を漏らしたりする。
ナベツネですら、まーごを前にした姿は温かみがあって泣きそうになった。
ただ、橋下徹と小沢一郎は猫NGだったのか、まーごはうろついてなかったような…

政治に関心が持てるようになると、選挙期間中と通常時との乖離がなんかにおってくるようになりますね。
与党の議員は急に庶民の味方ぶったり、庶民的なランチ食べたり。
野党も実現可能なのか?という公約を掲げる。
あれもどうなんだろうと思う。
田勢さんの番組は、集団的自衛権に批判的な番組やキャスターが一掃された時期にもれなく終わりを迎えました。
今は、玉川さんがわかりやすく斬り込んでくれるなぁと思います(主に田崎さんに)。


「選挙に関心がない」ということに罪悪感を抱く人がいたとして。
関心持たれないような教育がずーっと続いてるからしょうがないと思いますよ。
「若者は政治に関心ない!」とか怒る人いるけど、若者だけじゃない。
私の世代でも政治家、誰も知らない人は珍しくない。
意見や疑問を持たないように教育された成功パターン、そういう時代に育ってしまったから。
政治を能動的に面白がれる教育なんて、なんもなかったじゃないですか。
この同調圧力が強い空気感の中。
野党的な意見を言う人がものすごくマイノリティーみたいになる。
「批判は良くない・見たくない」というムードにしても。
野党が圧倒的不利になる世の中にどんどんなってしまっている。


今、心がしんどいという人は、抑え込んでる部分がかなり多いんじゃないでしょうか。
「抑え込むのがよきこと」という空気感の中で真面目に生きてきて、でもやっぱり抑え込まれたくない本来の激しさが噴き出している。
それはまったく悪いことでもおかしいことでもないのに、多くの人が自分を責めてしまう。
生活も追い込まれやすくなる一方で。
でもそれ、「政治のせい」にできることと思う。

「今の政治」だけに問題があるわけじゃないけど、やっぱり従順な労働者が多ければ多いほど都合がいい政党というのはずっとあるわけで、本当の本音をうまいこと隠してコントロールだけは巧みになってる政治家がこんなに幅を利かせちゃってさ。
明日は選挙、この苦しさを自分だけで抱える人がもっと増えてしまう世の中になるのか。
政権が変わって、少しは(いい方向への)変化は起きるのか。
災害など大きな外からの何かでどうしようもなくならないと、希望は見えないのか。
私は今の政治は本当に腐りきってると思うので、「一縷の望み」を1票に込めてきます。

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