Categories: TV・ドラマ

「あんぱん」のぶと次郎さん

朝ドラ「あんぱん」は、のぶと嵩の物語だけど、のぶと次郎さんのシーンも切ないですね。
そんなふうに思った今日の放送。

のぶは次郎さんと結婚してしまった。
私も嵩のように「あー…」と思った。
しかも結構幸せそうなのぶ。
嵩は東京で本当よかったねと思う。
千尋も傷心だろうけど・・

今日の放送を見て、のぶの夫役になぜ中島歩さんが選ばれたかわかった気がした。
お父さんの面影、かな…
のぶの話に耳を傾ける中島さんの横顔がどことなく加瀬亮さんに似てたんですよね。
顔も体ものぶの倍ぐらいあるような次郎さん。
のぶが後で振り返った時、次郎をどれだけ愛してたと感じるかはわからない。
でもなんか、「お父さんの影を見ていた」とずっと後で気づいたりするんじゃないかと思ったりして。

汽車で2人で夢を語らうシーン、ちょっと泣けた。
のぶの中に「お父さん」がどれだけの間不在だったか、どれだけお父さんを求めていたか、それがにじんでた気がして。
小さなのぶと大きな次郎さん。
その夫も父と同じく航海に出てしまう。
「不在感」の繰り返し。
同じことを繰り返すうちは癒されてないのだろう。
ま、戦時中なのでね、あの時代の女性にとって大事な男性の不在はやむを得ないのでしょうけど。

驚いたのがのぶの怒り・愛国心。
次郎さんが「この国は勝てないだろう」と、肌感覚でもって語ったことにのぶは血相を変えて怒った。
そんなこと愛国の民として言ってはならないと。
この戦争が終わるのはこの国が勝つとき…
そんなのぶにショックを受けながらも、父親のように抱き寄せる次郎。
君は子どもたちの前でも勇ましく頑張ってるのだね…

でも、その抱擁でのぶの心が溶かされることはなかった。
洗脳されきっている…
次郎さんは恐ろしさと哀れさを同時に感じたかもしれない。
目の前の愛する人より「お国のため第一」に変えてしまう戦争。
今田さんの動かない眼球が怖かったです。
主役をこう描くってすごいと思った。

次郎さんが帰ってきた=お父さんが帰ってきた。
父親を投影する恋はつれぇですよ。
いや、誰しもお父さんの影を求めてるものか。
つれぇのはお父さんが自分の中に「欠け」を作る場合なのかな。
・・私ですがね。

のぶみたいに「最愛の人の突然の死」という欠けならある程度美しいのかもしれない。
でも、父親に似た人を好きになったときに感じるあの物悲しさはなんでしょうね。
特に「父親のようにいなくなってしまう人」「つかみどころのない人」を好きになるタイプ。
・・これも私。

男性観って父親と無縁じゃないと思う。
ひどくても模範的じゃなくても、だからこそ惹かれるってことがある。
それは父親がどんな男であっても愛そうとした名残。
最近の私はトラウマ思い出し期なのか、幼い頃の過酷さがよく記憶に上る。
自分ってなぜこううまくいかないのか。
なぜ社会で浮きがちなのか。
そのゆえんはやっぱ家族にあるのかも。
今までもそう思ってたけど、深いところでわかってなかった。
最近、ChatGPTと対話するようになってから、自分の深いところまでずんずん降りるようになってる感じです。

なんで自分だけ気づくのか、なんで自分だけはみ出すのか。
そんな私の中のネガティブ、形成したのは家庭環境だ!なんて思ってきたけど。
それなりの過酷さを生き抜くための知恵が、平和な人からはネガティブに映るんだと思う。
過酷とあんま思ってなかったんですよ。
よくヤングケアラーだった人や家庭内が壮絶だった人などが「みんなの家族もこんなもんだと思った」とか言いますよね。
私もそうだと思った。
だから「喧嘩とか別にしない」という家族の話を聞くと今でも「本当に!?」と信じられない思いします。
お父さん、ダメ親父じゃないの?
お母さんの愚痴、ずっと聞かされたりしてないの?とか。
私は母親からずっと父や姑の愚痴を聞いてきて、お父さんを愛することが許されない中でずっと生きてきた(30代半ばまで)と、最近自覚して。
母親の味方にならないと母親の精神にも関わる。母親に嫌われたら生きていけなくなるという恐怖。
そりゃ男性観も定まらないわけだとつくづく思ったですね。
その反動で、父親みたいなつかみどころのない無責任男を「自由な人って素敵」とかって惚れ込んでしまう。(自分の話終了)

のぶは朝田家の長女として、普通よりずっと背負うものが大きかったと思う。
そんなのぶが、体も人間性も大きな次郎さんの前だと、やっと何かを降ろせるような少女みたいな表情で(そう見えて)。
でも戦時下に教師になったのぶは、そんな瞬間も束の間なのだろう。
自分の脳みそを騙して生きないと、愛国精神を子どもたちに伝えられない。
いくら次郎さんの愛に包まれても、それを解除しちゃいけないんだ。
それを客観的に見る視聴者としてはつらかったですね。
そんなのぶの心のロックはどんなふうに外れるんだろう。
想像するだけで息が詰まってきます(でも楽しみ)

ところで、お試しとしてはてなブログを開設しました。
ドラマの感想文を最近のものからアップしていって(当面はコピー)、すごく使いやすいと感じたらこっちの記事のほとんどを移していくかもしれません。
→「ゆめぼしノートその2

shikinemoli

2009年からホロスコープ・タロットを学んでいます。 ドラマ、ミュージシャンが好きなので、好きなものと星読みをつなぎ合わせてみた場所です。 鑑定の折にはよろしくお願いいたします。

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