東京ラブストーリー令和版

Amazonプライムで「東京ラブストーリー」を見てます。
4話まで視聴済み。

平成版とはずいぶん違う物語。

これはいろいろ考えさせられるドラマです。
とりあえず思ったこと。
・リカ役の石橋静河さんがとても魅力的
・令和版三上はクズで病気だと思った
・ドラマ制作陣はさとみを嫌いなのではないか
・カンチを母の目線で見てしまう

東京ラブストーリーっていうより、武志のアナザーストーリーという感じです。
「武志」とは、伊藤健太郎さんの朝ドラの役。
そして「リカ・カンチ・三上・さとみ」という呼び名があってこそのドラマなんだなとつくづく思った。
4人の名前と「東京ラブストーリー」という栄光の看板があるから、もう1話見てみようと思える。
カンチのキャラクターが特に看板頼みで、「あのカンチ」というところを知ってるから「今回もやっぱり朴訥なのね」と思うけど、その「朴訥」以外の魅力がちょっと感じられないような…。

平成版は朴訥といえども、結構やらかしてたんですよね。
リカに失礼なこと言ったり鈍感すぎたり、リカをからかったりしてたような。織田裕二さんの魅力、あれなんでだっけ。なんであんなに輝いてたんだろう。
令和版カンチはすごくまともで、東京に慣れてない…というムードはうっすら出てたけど、戸田恵梨香母のボケに「なんでやねん」と全部ツッコむあの優秀な武志にしか見えなかった…。
しかも伊藤さんがリバーサイドを走る姿は、ストイックな大学サッカー部員のよう。
「カンチ、セックスしよ」って言われたときの表情を、おばさん心境で直視できなかっただけかなぁ。
それでも伊藤さんと石橋さんの熱いベッドシーン、その伊藤さんの背中は魅力的でした。

 

4人中なんと3人が蟹座。
石橋さん、伊藤さん、さとみ役の石井杏奈さん。
三上役の清原翔さんは水瓶座。
あと和賀部長役が眞島秀和さん!蠍座。
眞島さんという方はどうして薄っぺらい役がこんなに似合うのでしょう…
眞島さんが薄っぺらいわけじゃないと思う。
でもいかにも横恋慕(片思い撃沈)、いかにも話のわかる上司、いかにも独身貴族の役がうまい。
令和版では妻子と別居中でした。(リカに入れあげたため)
「おっさんずラブ」では攻撃的で濃厚な役でしたが、あれにはゾクゾクしました。
いい人よりも、超ヘンな役で眞島さん主演を近いうち見てみたいです。


東京ラブストーリーHPより

石橋静河さんの笑顔や振る舞いがとにかく魅力的でした。
やっぱり赤名リカなので、ああいう女上司に目をつけられたら大変だよ〜って周りが苦笑いなムードはよく出てたけど、気分がころころ変わるそのゆえんも、石橋さんの繊細な表情ですべてつながる。

「半分、青い。」での律の妻役としてあまりいい描かれ方じゃなかったけど、その頃から惹かれるものはありました。
それは原田美枝子さんと石橋凌さんが両親という自然な期待以上だと自分では思うけど。表情がとにかく好きです。
その朝ドラ中に石橋さん主演のシーナ&ザ・ロケッツのドラマが放送されたのは、偶然だったのかな。
朝ドラですずめとユーコがしょっちゅう歌ってた「You May Dream」。
シーナ役が石橋静河さんで、不思議な放送のタイミングでしたが、あの辺からとても注目してた。
また声が低いので、CMでちょっと出ててもすごい印象を残す。
この間の「スイッチ」でも、無邪気な弁当屋の顔と真犯人の暗さのコントラストがお見事でした。
4話ではまだリカは幸せの絶頂だけど、このあと涙の連続と思う。
石橋さんの陰と陽の落差の表情を堪能するために、やっぱり最後まで見ようは思うけど。

令和版の三上はちょっとひどすぎるんじゃないですかね。
平成版の江口さんも、女と見れば腰に手を回す軽さはあったけど、それでもさとみに特別な思いを抱いてるんだという熱さは感じられた。
令和の清原さんがさんざんさとみを不安がらせたあとに言うセリフ、「俺のこと信じるんじゃなかったっけ?」「俺が自分から会いに行く女はお前しかいないんだぞ」
教祖…?と戦慄が走りましたが、さとみにとってはそれが一番欲しい言葉だったよう。うそ〜。
清原さんのパーマ頭が渡部に見えてきて、実は最後まで三上に耐えられるか不安です。
それにしても清原さんと病院との縁が深すぎると思った。
水瓶座の無機質感と白衣が似合うってことかな。

しかし一番の見どころはさとみなのかもしれません。
「東京ラブストーリー2020」で検索すると「さとみ 怖い」と出てきますが、平成版でもずいぶんなバッシングを背負ってしまったかのようなさとみ。
でも有森也実さんは、カンチを振り回すにしてもどこか「本当はやっちゃいけないこと」という自覚があったように思う。
やっちゃいけないけど今は胸の空虚さを埋めたいの…という自分勝手さがバッシングされたような。
令和のさとみは、ツンデレの三上にLINE攻撃。
「これから洗濯するよー」「洗濯終わったよー」「勉強頑張ってる?」「おはよー」
この文字の羅列は一見ゾッとするけど、でもこれくらいどのカップルでも当たり前のように行われてる光景…なんですよね??
そのLINEに一切の感情を見せないうえ既読スルーの三上がさとみに「俺を信じられないの?」と迫るとこは、ちょっとした洗脳シーンのようで。

このドラマの制作陣は、さとみをちょっと雑に描きすぎと思うのです。
ってか、さとみはそりゃ家庭的で、愛媛っぽさをどこか残した純朴真面目な保母さん。
カンチや三上は2DK以上在住、さとみはコーポ。
しかもコーポ感がいやに強調されてるように思うのは気のせいかな。
確かに現代の保母さんは収入が少ないということを日々訴えられてますが、そういうところはやけにリアルなんですがね。

東京ラブストーリー最初のキモと言える、リカと夕飯の約束をしていたカンチがさとみに呼び出されて、リカの約束をドタキャンするところ。
リカに嘘をついてさとみに会いに行った帰りは奇しくもどしゃ降りで、カンチは自分の折り畳み傘をさとみに渡す。
「風邪引いたら困るから」
「ありがとう」ってさとみは受け取って、びしょ濡れで帰るカンチを一度見やったものの普通に歩を進める。
あれ?と思った。
「永尾くん、駅までこの傘で一緒に行こうよ(でないと永尾くんが濡れちゃう)」というのが私の中のさとみ像。
なのに、ここはさらっとしてた。
いきなり呼び出しといて傘借りといて、さらっとしてんな、というまず違和感。

あとリカが鎌倉のお土産をキッチンにいるさとみに渡すシーンでは、さとみが「ありがとう、そこ置いといて」
うん??お土産置いといて?
キッチン仕事してても手を拭いて受け取るような…ましてやさとみのように真面目さと人のよさが強調されてる子ならそう描くのでは?と思ったけど、そんなこともないのかな。

そして極め付け。
4人で楽しく三上家でパーティー。
互いの幸福見せつけ合いタイムも終わり、リカとカンチを玄関で見送ろうとしたさとみがなんと!みんなの前でカンチの傘を返す…
それを見たさとみ以外全員凍りつく。

もしこれがさとみなりの三上への復讐だとしたら、それはわかるけど、さとみの無邪気さとして描かれてたような。
このあとリカはカンチを責めて走って帰る、三上もさとみを責めてさとみが逃げ帰る…
そりゃそうなるだろうね!!

と!駅で偶然出くわすさとみとカンチ。
「リカを怒らせちゃって…」と苦笑いするカンチ。

さとみ「永尾くん、追いかけなきゃダメ!」
カンチ「へっ?」
さとみ「ほら早く!」

ほら早くって、おまえがぶち壊し・・!!

令和版のさとみは確かに恐ろしいです。
でもかわいそうとも思った。「こういう女」の中にくくられて描かれてしまった感じで。
確かにこういう、いかにも家庭的でおとなしそうで男性の好意を全部持ってく女はいるかもしれないけど、三上が特別会いに行きたくなるほどの「いい女」という説得力にどうも欠けていると思ってしまった。描かれ方の雑さがどうも目立つというか。

例えば三上だったら、泥酔したさとみを介抱してた同僚のトキちゃんにも「送って行こうか?」って声をかけ、「大丈夫、ありがと」→「また飲みに行こうぜ」ってそこまで描かれる。
そこが三上のモテるゆえんだろうなということがわかるほどに。
だからさとみの描かれ方は、女子が共感できない感じにわざと仕立てられてるんじゃないだろうかと…考えすぎかな。

平成ドラマのリメイクって、やっぱりスマホやLINEをどう自然に取り入れるかということが注目されるんだろうけど、このドラマを見てると小物だけじゃなく、人のメンタリティーもあのころのまんまじゃ通用しないんだと思いました。

まず「トレンディードラマ」がもう成立しないと思う。
令和で恋愛を恋愛っぽく描くのに、シティーはもう逆効果のように思えた。
例えば東京タワーが望める巨大窓のオフィス、カンチとリカがゆうべのセックスの話をしても他人に聞こえないほとデカ広エレベーター。こういうオフィスに勤めてる人が今の若者のマジョリティ?んなわけないよね?と涙目になりそうになる。
カフェラウンジがあるオフィスでは誰も仕事してるように見えず、プレミアムフライデーを謳歌してそうなおしゃれ従業員。
カンチがリカに告白したのはゆりかもめ下の無機質な空間で、月島だか台場だかを全速力で手を繋ぎ駆け抜けるリカとカンチ。
令和の恋愛が本当にこんなだとしたら、恋愛できないという若い子が多いのは当然と思う。
そのくせカンチは「女を安心させるのが男の仕事」と言う。メンタルだけなぜ昭和!
でもたぶん、カンチが東京にも令和にもハマりきれてないから伊藤さんが抜擢されたんだろうな。
片寄涼太さんとかだったらもう知るかって気持ちになると思う。

ツッコミどころ満載です。
あと最大の謎が、雨が降る中を歩くカンチが月を見上げてリカを思い出すところ。
この雨も月もドラマに欠かせないとしても、夜のにわか雨でも月が見えるなんてことあるだろうか…
なんかところどころカットされてるんじゃないかと思うくらいつながりが不思議なところがあるドラマ。
初対面のリカを三上が飲み会後に「リカ」と呼ぶとことか。
「三上はそういう男」という意味と思うけど、ちょっと強引な気がした。
あと、カンチのキモすぎる上司について誰かと語り合いたいです。

ただ、このドラマがどこまでリアルかを知りたい。
大手広告代理店従業員だけがああいう恋愛や会食を楽しんでるとしたら・帰る場所がタワマンか高層階住人の特権がああいう恋愛や人間関係なのだとしたら、私が今の私であるのは当然なのだな。
カンチはリカに「あした何食べたい?」って聞くけど、今の恋愛シーンでも男性が女性の食べたいものを叶えてあげるスタイルなのだろうか。
リカは「あしたにならないと食べたいものなんてわかんない」と答える。
そう!普通はこうですよ。でもこれは、リカの「振り回し」カウント1なのかな。
ただ、石橋静河さんのようなリカとは友達になりたいと思った。
あの子だけは持ち物や環境で人を見ないだろうと感じる、そんな描かれ方でした。
たぶん、お気に入りのランチ場所が定食屋だからかな。
そんでガチャがどうやら趣味のよう?
大人っぽい色気を漂わす肉食リカは、次の瞬間、ガチャのゴム昆虫をカンチにぶつけて大笑いする。
無邪気と色気のギャップって、本当に今でも恋に落ちるポイントなのかな?

比べるのはよくないとしても、平成版はやっぱり「会話」が恋に落ちる決め手だった気がする。
「空にすぐ虹かけて!」
それはできないけど・・魔法なら使える・・
「どんな…?」
ってドキドキするリカにカンチキス!
あんだよそれ〜って荒唐無稽さはあるんだけど、なんで成立したんだろうというのは謎です。
美しい海や夕日の思い出+肉体関係+振り回され感が恋のスパイスみたいなのって、本当かな〜って思いをどうも拭えなくて。
あと、なんだかんだ4人とも「美形」という設定になってるとことか、令和では通じないんじゃないかなと思った。
いちいちうるさくてすみません。
令和の恋愛ドラマ成立が難しいのは、平成の麗しき恋愛シーンのアップデートが難しいからじゃないかなと思った次第です。
あのころの恋愛はまぼろし。長い夢を見てた気分です(どんな締め方)

 

三上の部屋から見える夜景。

 

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