男女7人の年明け

「男女7人夏物語」が絶賛再放送中です(チバテレビ)
今日最終回だけど(19時半〜)


TBSテレビより)

さんまさんの「もう遅いねや」って、秋物語の名台詞と思ったら夏の初回から言ってた。しかも2回とか。
つまり今井良介の口癖だったということですね。

しかし今見ると諸々ダイレクトすぎてエグいです。
品定め・容姿いじり・恋愛至上主義。

だって合コン相手の仕事先に電話しちゃうというあの頃。
しかも「連絡くれないから、こっちからしちゃった…」って賀来千香子がとにかく重め。
池上季実子は「香里(賀来千香子)を傷つけないで」と奥田瑛二に電話する。
明石家さんちゃんは「知らん女(しのぶ)が俺のベッドで寝てんねん」と奥田瑛二に電話する。
そんな奥田瑛二は電話しながら女子社員に「今晩、ヒマ?」と声かける。
仕事しろよ!!

奥田瑛二と賀来千香子のキスのタイミングとかもびっくりですね。
トイレ行くタイミングが偶然同じなんだか狙ったんだか。
昭和版エグモテキという感じ。
いや、平成のラブドラマは男女7人の恋愛がひな形となってるはず。
ドラマだけじゃなく、昭和生まれのラブバイブルですよ。

・クラシックコンサートには「イイ男」がいるはずなので狙い目
・長靴型のビールをうまく飲める男はイイ男に決まってる ←今井良介
・あなた色に染まりたい女より、振り回してくる女がモテる ←神崎桃子
・しっかり者で義理堅い女より、ルーズな女がモテる ←神崎桃子
・運命の相手とはコインランドリーと定食屋で再会の偶然が続く ←良介と桃子
・素直になれない2人はどしゃ降りの中で告白するしかない  ←良介と桃子
・不倫相手と別れるなら、相手がシャワー中にルージュで鏡にメッセージを残す ←賀来千香子

昭和生まれは永遠にバブルとユーミンの恋愛聖書を胸に抱くのかもしれません・・

賀来千香子さん演じる香里の重さがまた際立ってました。

不倫相手と別れてすぐに野上=奥田瑛二を呼び出し、手を重ね、キスの続きを濡れた目で期待する。
野上は誰も愛したことないような低温の目つきで(さすが魚座!)、ただその期待に応える。
あーー・・・

なんとなく、世の中がこうも不倫に厳しいのは、香里のような女をイメージするからかなと思った。
いい男と見るや自分をピュアめにアピールしまくり、重めに電話攻撃で、もの欲しさを隠さない。
隠してんだろうけどあふれ出てる。
不倫相手と別れないのも「性の虜になってるだけかも…?」と言ったりする。
それ女友達の前でしか言わないやつ。罪悪感をマウンティングで隠すやつ。

著名人の不倫報道でいつも女がたたかれるのは、香里みたいな女が自動的にイメージされる、そういう世代がバッシング記事を書いてんじゃないかなって思った。そういう世代が一番憤慨するように・あえて。
不倫する女は香里みたいに隙だらけに決まってる。性の虜になりやすく、男のいいなりになる…
不倫する男は野上みたいに来る者拒まずに決まってる。女なら誰でも良くて、優しいだけの無責任男…
おっさんの偏見と嫉妬が的外れなスクープ記事となり、まんまと読者をあおる、ただそれだけの気がしてきた。
編集部とかワイドショーの出演者、テレビマンのほとんどが平成生まれにならないと、この傾向は変わらないんでしょうね。
だってやっぱあのドラマを見たことがあるのとないのとでは、何かがすんごく違う気がして。

あれを青春期に見たならそりゃ恋愛のハウツーが刻み込まれるし、見たことないなら下心の効果的な発動方法なんてわからないよね。

「”いいな”という印象だけで声かけたら下心丸出しじゃないですか!」

だからそんなことできない!と言ったのは知り合いの平成生まれ男子ですが、それが恋愛の始まりじゃねーか!と乱暴に思う私が正しいわけでもない。ただ乱暴なバイブルがしみついてるだけ。

また男女7人は恋愛だけじゃなく、「友達のあり方」も見せてくれる。
見せてくれるったって薄っぺらいもので、でも自分らは中高からあのコピーをやってたわと思い出した。
例えば友人と好きな人がかぶって、しかも男がどうやら自分に気がありそうな場合。
「千明に電話してあげて」とか言ってみたりする。

男女7人は桃子と良介の恋物語だけど、千明(池上季実子)も最初惹かれるんですよね。
そりゃ7人もいれば恋心が複雑に絡み合います。
良介がどしゃ降りの中、「俺はお前が好きやねや…好きやねや…!」と告白する現場に遭遇する千明。
桃子は良介に「千明に悪いわ」と言う。
これがまたクソ正解ですわ。
良介は友達思いの桃子をさらに愛おしく思う。
そんでまた桃子が上目遣いで言う。
「いっぺんくらい素直な気持ち言うわね……大嫌い」

か〜っ!!

良介だって恋愛をこなしてきた男ですから。清洲橋沿いに住むツアーコンダクター。
いろんな人間見てきてるわけで。
「たまには素直になれよ」とか言えちゃうくらい勝算はある。
プンっ!と桃子は背を向ける。これまた正解。
「男に振り回されない」ってことがどんだけ正解か鎌田敏夫はあんなに教えてくれてたのに、桃子のように振る舞うってのはどんだけ上級レベルかと腕組みしちゃうわけです。

あの中で一番「いい女」風格なのは千明でしょうね。
ショートをオールバックにして、タバコをふかす超絶美人。仕事は為替ディーラー。
蓮舫さんにはいまだにああいう感じが漂ってます。
でも友達思いだし、かち合えば必ず相手に譲る。
こんなにいい女でも報われないってことまであのころ警鐘鳴らされてた!!

なぜ報われないかというと「自分より他人」だからですね。
「あの子を大事にしてあげて」「この子のために男紹介しなさいよ」「今井さんのこと好きなんでしょ?」
誰よりも筋が通ってるがゆえに幸せをつかめない。
そこへきて桃子はというと、良介を部屋に入れれば、水漏れ修理をしてもらったり、良介の部屋から沖縄や網走に長距離電話かけたり、コインランドリーで他人の洗剤をこっそり使う良介を泥棒呼ばわりする。

これから好きになりそうな予感のする男に、これはなかなかできないですよ。
しかも友達のためにコンサートチケット取っておいたのにすっかり忘れてたりするんだから、嫌われ要素もある桃子。
大竹しのぶさんがまたあのころのナンバー1美女とかじゃないのがニクくてですね。
でも可愛い〜!一番可愛い。
なぜなら自己中で天真爛漫だから。
「とにかく自分に正直に・自分第一」
これまた一番大切なメッセージ・・・

なぜ女はいとも簡単に香里や千明、はたまた自虐に走る美和子(小川みどり)になっていくんでしょう。
桃子みたいに生きたいのに。

千明も「桃子はいつも一番いい男の隣にいる」と妬む。
「天然女が一番モテる」というのを最初に可視化したドラマだったですかね。
そんで常盤貴子が生まれ、綾瀬はるかへと引き継がれるという。
でも大竹しのぶさんの末恐ろしさはやっぱ誰とも違うんだよなぁ。

というのは、さんまさんとの掛け合いがとにかく冴えててですね。
あのツッコミやボケは天然じゃできないですよ!
常盤さんや綾瀬さんみたいな「平和幸福感」みたいのが大竹さんにはあまりなくて、あるのは「毒」ですね。
あんな可愛らいしのに「バッカじゃないの?」と口に出すような。
しかも汚いものを見る目つき。
「俺のことそんな目で見んな、アホ!」と言うさんまさんのツッコミが光る光る…

またあのドラマを境に、「笑わせてくれる男」が付き合いたい相手トップに躍り出てきた記憶。
それまでは奥田瑛二タイプが1位だったのでは?
鶴太郎さん演じる貞九郎は恋愛に良い記憶がない今で言うこじらせ系ですが、武田鉄矢さんの死にましぇんの時代到来を予感させます。その前にギバちゃんとか布施博がクッションになってたっけ。バブルに流されずに生きる「心」重視の温かい男。

また2話とちょろっとしか見てないんですよね。

あのころー!と興奮することもあるけど、ドン引きするようなとこもたくさんある。
ってか、何か大きなものに長らく洗脳されてきたんだなという自覚。
今、NHKでも朝ドラ「ひらり」が再放送されてますが、26とかでやっぱ売れ残りみたいに言われてる。
ひらりはバブル崩壊直後だからか、「恋愛至上主義・結婚こそ女の幸せ」という風潮に真っ向から異を唱えるムードがある。
「推し」へのまっすぐ女子礼賛という、時代の先取り感もありますね。
しかし、そんな石田ひかりさんがその後「あすなろ白書」で重めになるのが許せなかったんだよな。
そういえばあのころの天然女王・常盤貴子さんの1代前は石田ひかりさんだったかも。
そんな記憶まで掘り返されました。

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