「男女7人夏物語」の録画、7話まで見ました。
オープニングはおなじみ、「キキーッ!」という車のブレーキ音と「Baby…」という男の誘い声。
Oh no,I Wanna Dance My CHA CHA
石井明美の声色真似てから早送りする。
正確には、CHA CHA! → ディディ・ディディディ…まで聴き届けますね。
もしくはシンクへ洗い物に立ちながら「街ぃ〜でぇ…」と悶える明美ふうに口ずさむ。
これがなんたって気持ちいい。
夏物語の主題歌「CHA-CHA-CHA」と秋物語の「SHOW ME」どっちが好き?という問いを人生でなんべんもしましたが、決着がついてないですね〜。
きのこの山とたけのこの里くらい悩める問題と思う。
ただカラオケで歌うなら「SHOW ME」でしょう。
だって「CHA-CHA-CHA」冒頭の男女二役を1人でやるこっぱずかしさをいつでも乗り越えられるわけじゃない。
あとエンディングの「チャチャチャ・チャ!」の難易度。
「SHOW ME」は冒頭の「YOU」と、二度目の「ェン YOU」が歌いたい欲をそそりますね。
歌いたいのは秋で、聴けば胸アツになるのが夏かな。
聞いてないって??
夏物語は私が11歳の時のドラマですが、その後も再放送で見てたはずなのに、覚えてないことがとても多い。
だけどなんて完璧なドラマだろうと感動しました。
セリフや筋、心もよう、立ち位置などの演出、独身男性の部屋の汚さとかすんごい細かいとこまで完璧に設定されている。
そりゃ確かに偶然が多い。
偶然が良介と桃子を結びつけたことは否めません。
そもそも桃子がバー「サンタモニカ」で出会った良介と意気投合して、酔っ払って良介の部屋に泊まったのが事の始まり。
桃子が友達に仕事先で出会った人を紹介する(合コンする)というメンバー内に良介がいたという偶然。
良介と桃子は清洲橋を挟んだあっちとこっちという住まいの偶然の近さ。
ご近所だから、コインランドリーでも定食屋でもスーパーでもしょっちゅう顔を合わせる。
私の記憶だと、ただ素直になれない2人が10話かけて恋人になるドラマ、その他5人の恋愛模様という感じでしたが、もっとずっと複雑だった!
良介と千明がまず惹かれ合ってキスして寝てんですね。
このドラマにおいては良介が一番まともで、そりゃ過去は女と色々あったけど良識もあるし、どうやらツアーコンダクターになってから人間性が磨かれたよう。
同棲してた女がうっとうしくなって野上に誘わせて破局…という流れはあまりにもひどいけど、それでも「あいつもええとこあったよ…」と未練を残す良介。
そこが野上とは決定的に違うとこ。
野上は女性を本気で好きにならないし、なのにほとんどの夜を女と過ごす。
「一度寝たからってうっとうしくなる女、苦手なんだよな…」
香里のことです。
賀来千香子さん演じる香里はマジ反面教師として強烈に刻まれた記憶。
一度寝た野上を自分のもののように追っかけて、野上の職場、野上の実家に電話をかけまくる。
野上が目の前で他の女と親しくすれば露骨に不機嫌になって酒を煽り、1人じゃ立てないくらい酔っ払って野上に叱られて泣く。
そんで転んで出血して野上に送ってもらって、「朝まで一緒にいてもらう」というかねてからの願望を果たす。
「やれやれ…」といううんざりを隠さない野上。
今の私から見てすごく輝いてるのは、池上季実子さんと鶴太郎さん。
千明と貞九郎ですね。
池上さん、ほんっとに美女!!
しかも情に厚く、友人思いで人間性が素晴らしいですね。
雨がひどい夜には、前から雨漏りの心配があった桃子の家に来て必死で養生してたりとか。
ただ、好き嫌い分かれそうですね。
千明の登場はいつも「おっす!」
元祖サバサバ系。
正義感というのか母性というのか長女性が強すぎて、「あんたにあの男は合わないわよ」「あなたには主婦が向いてるのよ」「あの子を傷つけないでね」とか、ほうぼうで忠告しまくるという。かなり余計なお世話ですよ。
「人のことより自分の心配すれば?」と言うのは野上。
野上と千明は、両親の不和ゆえ幸福な恋愛ができないところがよく似ている。
でも色気同士って案外恋に落ちないんですね。
というのは千明、あんな美女なのに「女」を出してこない慎重さがある。
良介と寝ても、恋愛のスイッチをすぐ切ってしまう。
香里はスイッチ入れすぎて漏電気味。
桃子はすぐにスイッチ入れそうでいて、タイミングをすごく見極める実は受け身の女。
貞九郎がまた回を増すごとに愛おしくなってきます。
あのころの鶴ちゃん、可愛い!
料理が得意で、お菓子やゼリーとかにも挑戦しちゃうんですよね。
千明にまっすぐ惹かれてしまうけど、他の誰かを好いてると気づけば、千明の少しの変化にも気を配る優しさ。
「あたし、貞ちゃんだーいすき!」
なら、貞九郎と恋しろよ!と言いたくなるけど、貞九郎の前でのびのびしてる千明も私は結構好きです。
父の浮気を責めつつ依存する母みたいになりたくないと心に誓いつつ、同じ重さを秘めてることもよく自覚してる。その露呈が怖くて恋に飛び込めない。
良介に本気で惹かれてるのに、嫌われるのが怖い。
不安症というやつですね。
しっかり者は概して失敗を恐れすぎます。
なんで最初、良介と千明が惹かれ合うのか謎だったんですよね。
なんなら良介の方が露骨にデレデレしちゃって。
でも7話でわかった。
千明はやっぱ美しいし性格もいい、なんたって自立してるので、男性からしたら「あんな素敵な人と付き合えたら」と思うものなのかな。
そんな美人から電話もらったり誘われたりすれば、「もしやイケる?」と思うでしょうよ。
でも良介は千明と一晩ともにした途端、複雑な気持ちでいっぱいになる。
「あんな人あこがれやけど、あの人とおると緊張すんねん」
本音の吐露、そして桃子の存在。
でも最初の出会いから、顔を合わせれば罵倒し合ってんですよ。
「お前なぁ…」「最低の女や」「あんたなんて大っ嫌い!」
こんな男女が大恋愛しますかね?と不思議に思うものの、あのころの恋愛ドラマって主役が本当素直じゃなかった。いがみ合いつつ本音と率直さをぶつける。「心を裸にしていく」ってことが重要な時代だったかもなぁと思い返されました。
ただ良介と桃子は、バー「サンタモニカ」で意気投合したというあそこから運命が始まってたんでしょうね。
「気が合いますなぁ(ふんっ)」って描写がとにかく多い。
でもなぜ気が合うかというと、それが少し語られたのが5話あたり。
良介のふるさとは大阪で、実家近くには大きな川がある。
桃子も岐阜の大きな川のそばで育った。
「岐阜か!長良川やろ?」「ううん、もっと小さな支流」
このシーンの2人はやたら素直だった。
2人がなぜ隅田川沿いに住んでるかって、故郷を思い起こすからかな。
心のベースのようなとこが共鳴してるからこそ、くだらない会話や罵倒も楽しめる。
いやぁ、これは新発見でした。
男女7人は、90年代のはじけた恋愛ドラマとは一線を画すような真心がある。
脚本の鎌田敏夫さんは「29歳のクリスマス」も手がけられたんですよね。
あれもギバちゃんと山口智子・松下由樹の関係性が見事にあたたかな物語でした。
また、素直になれない良介と桃子にピンチが訪れたりするんですよ。しかも立て続けに。
コインランドリーで変な男に絡まれてる桃子を守ったり、桃子の家の雨漏りを心配して駆けつけたりする。
千明は、「送るよ?」と言われても「ううん、大丈夫よ」と振り切る力が強い。
本当に大丈夫そうな女。
野上だけは「大丈夫じゃない女」ということを見抜いてるけど、並の男は「そうでっか」と引き下がる。
隙がない千明よ…恋愛法則が詰まりまくってる!!
・人の世話に奔走してはダメ
・なんだかんだほっとけない女がモテる
・ほっとけない女=男がいないとダメな女ではない
・どうやら自立は必須(金銭的&精神的・たとえ強がりでも)
・「帰りたくない」「朝までいて」の連発は禁句(強がり女の「ここぞ」にしか許されない)
・無防備&無邪気な自分を見せられる相手は貴重!
香里は照明の仕事に励んでるときなかなかかっこいいいのに、なんであそこまで男に埋めてもらいたがるんだろうね。
しかも野上になぜあんなに入れあげるのか。
ただねぇ、奥田瑛二さんは確かにかっこいい!!
セリフがないときのちょっとした仕草とか全部男前ですよ。
そんな男が自分のこと興味ありげに近寄ってきたら、惚れるよね…
しかも魚座には、頼めばなんだかんだ応えてくれる優しさがある。
心こめなくていいならやりまっせという非情なとこもある。
その点さんちゃんは蟹座らしく、非情の手前でブレーキをかける。
鶴太郎さんは山羊座。「そんなのダメだよ!」「女連れ込むとか、何なんだよ(僕なんて…)」というお堅い常識人。
池上季実子さんも山羊。どうりで完璧女史です。
賀来千香子さんは天秤座。「誰か」を常に意識する麗し担当。
しのぶさんは蟹座。さんちゃんと何もかもがシンクロするわけです。