男女7人夏物語最終回

「男女7人夏物語」の最終回をやっと見ました。

 

大竹しのぶさん演じる神崎桃子が海外転勤へーー

という衝撃の最終回。
この展開は昔も今も珍しいと思う。
せっかく今井良介と想いを確かめ合えたのに。

 

なぜ海外へ行くかというと、マイケル・ジャクソンのワールドツアーにライターとして帯同し、いずれその経験をもとに1冊の本を書く素地を鍛えるため(同僚から誘われた)という理由だったと!カッコいいですね。
記憶から完全に抜けてました。

良介に一刻も早く海外転勤の相談をする桃子

 

この最終回では「海外行くなと言ってほしい」「海外行かないと決めてほしい」という本心を相手から引き出そうとしつつ素直になれない桃子と良介のやりとりがずーーーっと続く。
もうこれから旅立つという空港でも!!

空港といえば2人の熱いキスシーンからの、桃子のエスカレーター後ろバイバイが名シーンですが、その直前、「もう行くね」と決めたときの大竹しのぶさんの涙には泣きました。
あれがしのぶさんの演技なんだよなぁ…子どもと大人を同居させたような。

 

このドラマは1986年の夏物語ですが、同年4月に男女雇用機会均等法が施行されてたんですね。
女性がつきあいたての男性との恋より仕事を選ぶという新しさ!

だけど桃子の親友・千明がまた古い女で、「だめよ!桃子は良介さんのお嫁さんになるのが一番幸せなのよ!」と猛反対。
余計なお世話だし、桃子も「あたしのことバカにしてる」と言う。
言うんだけど、桃子だって迷いに迷うんですよね。
女性にとって結婚がいちばんの幸せとされていた価値観がすんごく揺さぶられたドラマだったんだな。

特に千明は両親の不和を見てきたからこそ恋愛に不信感がある。
自分の何かを桃子に託すように、猛烈に海外行きに反対するんですよね。
そしたら心の友・貞九郎まで東北転勤が決まったと!

「行かないでよ…貞ちゃん」

転勤阻止女か!と思ったのは一瞬で、心にずっと鎧を着せてた千明が感情を出せてよかったです。
そのあと貞九郎とおそろいエプロン着てたので、おそらくカップルとなった模様。

 

驚いたのが奥田瑛二・賀来千香子カップル。

この2人がどうだったか、とんと忘れていましたが、最後成就したんですね。
めちゃ濃厚な成就シーンだった。

11歳で見てたときは、とにかく色気のある悪い男と思ってましたが、今見ると野上はやっぱかっこいい。
男女が7人で飲んでれば、時にいさかいが起きる。
最初は面倒そうに距離を取るけど、なんだかんだ「ま、楽しく飲もうぜ」と空気を変える。
その転換のタイミングとか表情がめちゃかっこよかった!

あといじけやすい貞九郎をフォローするときとかも「お前の料理、うまいぜ」とか、友情を大事にするんだな、野上!
貞九郎の転勤が決まったときは、良介と野上が必死で料理したりとか、あのころのドラマは「新しさ」や「価値観の転換」をすごい促そうとしてたのかな。

そんな野上が本当に悪い男なわけもなく。
野上が恋愛にまじめになれないのも両親の不和ゆえですが、特に女手一つで野上を育てた母親に頭が上がらないようで、実家暮らしだったと。
香里と一晩過ごさないのも、母親が厳しいから。
なんだよ野上!!

野上と同僚の女性が妊娠したらしいことを知った香里が、女の勘で「嘘に決まってる!」と女性を呼び出し問い詰めたら本当に嘘だった。おそるべし直感。
そこから「野上をこんなに愛せるのは自分しかいない」ということに自信を持つ香里は美しさまで変化したようで、野上も目を留める。そんで徐々に力関係が逆転するんですがね。
香里ってのは本当に「女」だなと。見ていて窒息しそうでした。

最初、香里を軽んじてた野上は、香里が来てるとわかってるバーに女性同僚を伴ったり、桃子とデートの約束をしたりイチャイチャしたりする。
それを見る賀来さんが怒り心頭で怖かったですよ。
そのあとベロベロに酔うんだもんな。
転んで腕から出血して泣いて。あーやだやだ。

さすがの野上もそんな香里を放って実家に帰ることはできず一晩一緒にいる。
香里としては「野上さんと一緒にいられた!」ってことがめちゃ幸せで、野上は自分のことをそうまで想ってくれる女と出会ったことなかったのかも。
「なんでそんなに俺のこと好きなんだ?」と何度も聞く野上は、そこから何かが崩壊というか瓦解というか変化していくんだけど、香里の答えがすごかった。

「好きになるのに理由なんてないけど、強いて挙げれば最初のキスかな」

あの初めて会ったときの・トイレ前の・あのキスから…!
うすうすそうかなとは思ってたけど、なんてぇ女でしょうね。

香里はよく「みんなにふしだらと言われる」「男にだらしないとみんな言ってるのは知ってる」と言う。どんだけ!!!
みんなが言うほど何をしてきたのでしょう。
だからなのか男性人脈はあるらしく、野上の前で別の男性といちゃついてみたりする。
これは復讐してやったそうです。こえぇ。

ところが、この復讐が相当野上に効いたらしく「あいつと付き合ってるのか?」「あいつと幸せになるのか?」と、「あいつ」との関係性をやたら香里に問いただすように!
そんな野上は見たくなかったけど、案外単純な奴とわかってホッとしました。

しかし香里の復讐はこれだけにとどまらず!!

野上が自分に夢中になってる実感を得ているはずなのに、最後ベッドの中で。

「今からお母さんに電話して、私と一緒にいること言ってよ」
「朝までいるから帰れないこと、言って」

強烈S女のような目ヂカラで言う香里。
野上は小刻みに震えながらもベッドサイドのダイヤルを回し、1コール、2コール…

そんで香里が電話の白いとこ押して(電話切)、「ごめんなさい!!」と野上を後ろから強く抱きしめる。終わり。
どんなプレーだよ!!とツッコミがいがありましたね。
ってか、野上ってマザコンだったのかな…
いや、、、女(母親)に与えることに疲れ果てた反動の恋愛不良だったのかもしれません。
無条件に愛をくれた初めての女が香里だった、のかも。

 

小川みどりさん演じる美和子は、貞九郎とは結局何もなく、最終回ではお見合い相手との結婚が順調に決まったようでした。

「あなたと付き合ってみてもよかったかも」

とか言っちゃう美和子は最初から最後まで失礼な女でしたが、美和子が率直に愚痴ったり幸せを求めるシーンはなんか癒やしでしたよね。

「食べることしか幸せないもーん」「そりゃ太っちゃうよねー」「痩せなきゃー」「あーどっかにいい男いないかなぁぁ」

ってことばっか繰り返してた美和子。
最終回では、お式の料理は中華がいいか、どこのホテルがおいしいかとか、お色直しのことで頭がいっぱいのようでした。よかったね。

 

それにしても最終回は桃子と良介がほんっと素直じゃなくていささか疲れましたが、あのやりとりがあんなにおもしろかったのも奇跡と思う。
あの2人じゃなきゃこうはならなかっただろうし、何より桃子というキャラクターが強烈で、でも「めちゃ可愛い!」と思えたのも大竹しのぶさんだから。

休日には川岸でシャボン玉吹いてたりする。
そこに良介が通りかかるという奇跡。
定食屋でもコインランドリーでもよく鉢合わせしてましたが、あの2人なら「今日いそうだな(会いたい)」という期待で行動しそう。
そんで「いたんだ」とか言ってみたりする。
「おぅ、いるよ」とか。
「あたしと同じもの食べないでね」
「俺が先に来たんや。俺と違うもの頼めや」
とかとかね…始まっていく会話。
さんまさんを彼氏にしたいとあのころの私でも思ってたかも。
「あっぱれ大先生」もよく見てたけど、おもしろお兄さんとしてじゃなく、「男子」として興味津々で見てた気がします。

 

あのころのドラマは「素直じゃない」「激しい喧嘩」が2大モチーフだった。
その素直じゃなさを最終回近くまで引っ張るのですが、三上博史と浅野温子の頃にはもう飽き飽きしてましたよね。
あと「必要以上の介入」
お節介な友達がよく出てくる。
「あの子、大事にしないと許さんからな」とか、「あの人はあなたに似合わないわ(別れなさい)」とか。
恋愛のみならず仕事や家庭のことまで忠告しまくりで、今見ると疲れますね。
でもドラマにならって現実の人間関係も築いてきた自覚はあり、私自身も介入しまくったり忠告されて揺れまくったりしてましたね。そんで友達と喧嘩。
そういうもんと思ってたけど、「喧嘩と介入」は昭和・平成と過剰だったですよ。
ほんとなんだったんだろうと思うものいっぱいある。
今度、そういうの書き連ねたいです。

 

名場面の一つ、カレーライスシーン。
ガラステーブルが懐かしい!

 

 

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