ラブシーンが苦手と気づいた

今また「空から降る一億の星」再放送やってますね。
もう物語も終盤。

今見ると何もかもが支離滅裂に思えてくるものの、さすがドラマ全盛時代の作品らしく事件が起こりまくるから飽きないなぁと。
なんたって役者陣が豪華。
特に柴咲コウさん魅力的です。
メンヘラ役がうまい!
あと金子貴俊さんの、やんちゃだけど「心」のあるよき友人役もうまいですね。

 

けど北川悦吏子さんって、いつも俳優ありきなのかな(特に男優)と感じる作品が多いような。
この男性にこれを語らせたい。このシーンをやらせたい。
かつ、「このセリフ・この情景ありき」で物語を紡いでるのかな、っていつも思う。
特にラブシーン・キスシーンを中心に据えてからストーリーを膨らませてるんじゃないかと、私からはそう見える。
というのは、いつも物語の流れや設定に強引さがあり、その違和感がドラマチックなラブシーンで強制消去されるような感覚があるんですよね。

いや、とにかくラブシーンはいつも満載で濃厚ですよ。北川さんの作品。
「愛していると言ってくれ」も正直、「見てられない」と思うほどのイチャイチャがこれでもかと描かれ、見てられないのに「これこそが恋愛」という授業で無理くり単位取ってるような心の負担感。
ラブシーンって結構心に負担きますよね。いまさら苦手かもと気づきました。

木村さん演じる涼は果たして井川遥さんをどんだけ好きなのかがとんと謎で、大して好きじゃないからこそ厨房であれこれやったりしたんだろうか。
私にはあのシーンをただ取り入れたかっただけに見えた。
キムタクにこんなことさせちゃいました的な。

あんなに友達思いでまっすぐすぎる深津絵里さんが、井川さんの恋人である涼に自分からキスしたりとか。
「私たちには何かある」「出会いから惹かれてた」
わかるんだけど、「わかるっしょ?」という制作サイドの強引さをクッと呑み込んでる感じで、深っちゃんの罪悪感とかねぇもんかな…というモヤモヤ抱えてるうちに事件が起き、そっちに目がそらされる。

 

キスシーンってそんなに大事だろうか?といまさらながら思う。
特に平成初期〜中期の映画やドラマって、それが物語のピークに描かれてて。

ドラマだけじゃなくトーク番組とかでも、仲良し夫婦がわざわざ「今でも毎朝キスしてます」「今も手つないでます」みたいなことを暴露して、肉体接触トークで幸せマウントする風潮がぶわーっと広がってましたよね。庶民の間にも。
「星降る夜に」は毎週見てましたが、あれも「見せられてる」と感じるイチャイチャがちょっと苦痛でした。
しかも最終回のラストが走って抱きついて回ってのキスシーンで、ジュリア・ロバーツかよ、キャメロン・ディアスなのかよ、とあの頃のハリウッドが思い返された。

そういうドラマがあってもいいけどさ…
私はこの風潮、朝ドラで主役同士のキスシーンが取り入れられてから主流になったと勝手に思ってます。
昔、朝ドラでダイレクトなキスとかなかったですよ。
いつからかは忘れちゃったけど、「まれ」では大胆なキスシーンだったことは覚えてる。

「半分、青い。」も、なかなかなことをやってのけた気がする。北川悦吏子さん。
律とすずめがどっかの事務所のソファーで毛布にくるまってましたね。
あの、女が毛布にくるまって男が後ろからバックハグとか、それが最上の愛情表現みたいな風潮を広めるのはやめてほしいんだよ。こじらせてるから言うんではないよ。
そんなカップルは本当に永遠ですか?ということを問いたいんだよ。全世界に。

自分たちは日々最上の愛情表現してます、とか言うのを隠しておけなくてちょい漏らすカップルほどうさんくさいものはない。
なのにまだそれ指くわえて羨ましがる市場があるようなないような。
その市場に向けてラブコンテンツを生み出す上から目線興行主。

しかし指くわえてるのは亡霊と思うよ。生きてない人たち。
それに乗っ取られた現世の人が自分の欲望と勘違いしてるだけ。
求めてるのはそんなんじゃないはずなのに、乗っかれてない自分をなんとなく急かす。
いらないけど乗っかっといたら、まぁ負けではないでしょうみたいな。
海外そんな興味ないけど、みんな行くから行く、みたいな。

「最上級らしいもの」はいつの世にもうようよ漂ってて、バックハグでしょ、あと手をつなぐにしても指を絡めるやつとか、駅の陰みたいなとこでの激しいキス(まったく陰になってない←わかってるのに激しさを増すやつ)

はたまた結婚式×お色直し回数、南の島での新婚旅行。
結婚したときに芸能人みたいにして指輪をキラリ光らせたあのポーズとかも「最上級らしいもの」でしたかね。
その幸福ビームは確かに威力がすごくて、「うっ…」とか左胸押さえるほどノックアウトされたのも事実。
最上級らしいものにまんまと地団駄踏んでた私も亡霊に乗っ取られてたんだな。

 

ずいぶん過去の通勤時。
おっさんが広げるスポーツ新聞に「キムタク・静香デキ婚!」という大見出しが躍ってた。
乗客はその見出しに静かにどよめき、その中に高校生カップルがいた。
「うちらもそのうちさぁ、キムタクと静香…だってさぁ…」
その先はモゴモゴしてたけど、概要はわかった。無避妊だろ?ということ。
それも最上愛情のベスト15以内に入ってた時代あったんだっけ。今でも20位以内に入るんかな。入ると思い込んでるトンチキ野郎のランキング。

 

あと片想い編だと、好きな人からいきなりおでこを触られ、なんならおでこくっつけられる発熱確認。
あんなのとんだ距離感ミステイク野郎の所業と思うのに、「こんな熱いのに!帰らなきゃ!」という叱責まで期待する亡霊。しかも「送っていくから乗って!」という介抱まで期待する欲深さ。
目覚めたら卵雑炊が出来上がってた最上級を体験した人は結構いるもんなんだろか。こんなのがドラマ化されるたびに、自分の日々がつまらなく思えたのも自分のせいじゃないはずなのに。

壁ドンとかDVに限りなく近いと思うんだけどなぁ。
冥王星も水瓶に入ったことだし、これからは距離感の時代と思いますよ。どれだけパーソナルスペースを尊重してくれるかこそ最上の愛情と知るような。

 

 

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