「東京家族」

今日、放送してましたね。
「東京家族」。

山田洋次監督の映画では、いつも涙腺が緩んでしまう。

最近では「母べえ」とか「おとうと」とか、
あと「学校」シリーズ。
特に「学校Ⅱ」ですよねぇ。
永瀬正敏さんに泣きました。
吉岡秀隆さんにもね。

「東京家族」は、物語の中にそんなに色々事件があるわけではなく、ずいぶん淡々としたストーリーで、
一体何に泣けたんだか、きっと次に見たときには思い出せないようなところで
ほろっと来た気がする。

山田洋次監督という人が描く物語は、
世間でつまはじきにされてる人にいつでも寄り添っている。
「ばかじゃないの」「面倒くさい人だ」
そんな冷たい視線を浴びせられる人の
「へへっ…」ってバツの悪い照れ笑いとか、
本人も気づいてないようなキラリ光る純粋さとか、それをいろんな情景や人と対比させて浮かび上がらせるのが
とても上手な方。

不器用だけど実直に生きてる人。
山田洋次監督の描くそんな人が大好きです。

妻夫木聡さん、光ってたな~。

妻夫木さんを初めて見たのは「カバチタレ!」で、
その役がまたよくてね~。
若手俳優の中でも特に好きな方ではあったけど、それ以降どれも
ハマってる!と、いまいち思えなくて。

あ、「ウォーターボーイズ」はよかったです!
あれは平山あやさんもよかった。
あと「ジョゼと虎と魚たち」。
これはもう妻夫木さんの代表作であろうと思います。
ってか、もしかしたらこれを超えることが難しいという思いが、妻夫木さんの中にも少なからずあるんじゃないかなと時に思える。
あ、「ランチの女王」はよかったわ!
すごくよかった。
あるある、結構ありました。
ハマってる役と、そうでない役が極端なのかなぁ。
ま、すべてチェックしてるわけでもないけども。

妻夫木さんは、本当にそうなんだと思うけど、
「いい人顔」で、あと存在がメジャーすぎて、
だからか悪役とか、おバカすぎる役が私はあんまり好きじゃなくて、
でもこの「東京家族」ではピタッとハマってた。
山田洋次監督の演出に合ってるのかな。
それに、やっぱり「妻夫木君」は
社会の波に乗り切れないナイーブな役を演じるのがとっても上手い方なんだろうと思う。

要領がよすぎても気弱すぎても多分だめで、
この「しょうちゃん」という役が、
程よくダメで程よく優しくて、それなりに現代っ子で、きっと山田洋次監督が求める「しょうちゃん」像を
正確に演じられたんだろうなぁと感じました。

そういえば、おととし見に行ったNODA・MAPの「エッグ」でも、妻夫木さんと橋爪功さんって共演されてました。
この舞台、かなり難解でついていくのが大変だったのですが、妻夫木さんは超楽天家の私の好みではない役(笑)
舞台で輝き放ってたのは、橋爪功さんだったなぁと思い返されました。
一番お年なんだけど声量がすごくて、色気があった!
大倉孝二さんもかなり存在感あったな~。
あと仲村トオルさんの胸板の美しさは芸術品のようだった!

そんで橋爪功さんは映画で、東京に慣れてない役がもう本当、「そういう人」でした。
おじいちゃんって、受け止めきれないほどの情報を得ると、ああいう顔しますよね。
常に口開いて「かぁ~…」って吐息が漏れ続けてるような。
感動してんのか?って様子もよく読めないような。
聞くと、「うん、感動した、うん」って口すぼめて言うんだけど。
自分の父親の晩年が思い返されました。

林家正蔵さんのこにくたらしい役も笑えたな…。
「僕ばかだもーん」って自分で言っちゃうようなとこが腹立たしいけど、愛らしくもある。
でも素直、人は良い。
「めんどくせ、ケケッ」
みたいなことを言っちゃうんだけどね、中嶋朋子さん演じる奥さんは特に反応もせず。
東京の人の優しさって、とある世代とか出身地の方からすると冷たいように映るかもしれないけど、
ま、ちょっと薄情かもねってなぐらいで、優しさは誰にでもそれなりに備わってる。
移り変わりの激しいこの街で生きるからには、浸ったり思い至らせたりするのにも「ロス」を勘定しちゃいがちで、
「で、どうする?喪服とか」
と、気持ちの切り替え早く、なんでもさっさと手続きしないと、だってどんどん遅れちゃうから、時間に…。

世知辛い世の中でぃっ。

寅さんは今もういないけど、でも「寅さんだったらきっと…」なんて思いを馳せたりする人が結構いるんだから、
山田洋次さんも渥美清さんもほんとすごいお方です。

山田洋次さんのホロスコープを見てみると、乙女座に星が多い方です。
太陽・水星・金星・海王星が乙女座。
乙女座が強調されてる方は、やっぱり世間から取り残された青さとか屈折を抱く人をとても見事に描かれる。
宮藤官九郎さんも乙女座に金星と冥王星があって、乙女座が強調されてるホロと言えます。
私のかすかな夢として、もし子どもを育てることがあったら、将来、山田監督や宮藤さんみたいな大人になるように接したいというのがありまして、ヘンな夢だけど、でも、自分が自分の成長できない部分をいつまでも大切にしたい、なんて思い返されるからかな、お2人の作品に触れると。

あと山田監督の作品は、俳優の背後に映る、日常生活を営んでる人の描き方もお見事!
ただ通り過ぎるだけ、ただ犬と戯れてるだけ、ただ洗濯物干してるだけなのに、
そこに感情があるのかないのか、
「関心がない」ということの残酷さとか、自分以外の人はこんなにも幸せそうに見える、とか、
想像力を刺激されるのです。

あと子どもの甘え方とかね~。
あれは監督の演技指導がたっぷり入ってたりするのでしょうか。
入ってるならそれでもよい。
だってあの男の子の甘え方は本当に「そんな感じ」で、自分の幼いころ思い出してはにかんだりしちゃうほどでした。

こう長々と書いてると、やっぱりどこで泣けたのかもう忘れつつある。

吉行さん演じるお母さんが、次男のしょうちゃんと他愛ないお話ししてる時の「うん、うん、それで?」って好奇心とお茶目さあふれさせた感じとか、
で、その感じがまたあとあと思い出されてきたりとか。
なんだかんだいろんな人に愛されてる「しょうちゃん」とか。

結局、「しょうちゃん」こと妻夫木さんに惹かれっぱなしだったってことで。
あ、でも正蔵さんが取った明け方の電話での感じとかも、
その「よくある・ありうる日常」は、
なぜだか胸を熱くするものでした。

冥王星が蟹座にある山田洋次監督の作品は、いつでもハートフルで、
誰のルーツも基本も家族にあることを教えてくれる。
「実」でも「虚」でも「仮」であっても
家族みたいなコミュニティはやっぱり重要で、
「どうせ人って孤独でしょ」
なんてぇ方に傾きつつあった気持ちも、この2時間半で随分丸くなっちゃったんだけど、
こんなほっこり、いつまでキープできるかなと
月曜日の重さがやってくる前に寝てしまおうと思いました。


 

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