とってもグロ&ホラーな第9話。
でも、これまでで一番涙がにじみっぱなしの回でした。
こんなに視聴者に退屈さを感じさせないドラマって、今あるでしょうか…。
9話の始まりは、またもや狂人のような目をした放心状態の羽村先生の表情から。
それもそのはず、第8話の終わりで二宮家を訪問した羽村先生は、繭と繭の父親とのただならぬ「絆」を知ってしまったのだから。
バスローブ姿の父親と全裸の娘という異様な家族風景の中に飛び込んでしまった隆夫…。
父親に・・・
父親と・・・
なんで彼女は・・・
彼女は僕と・・・
そんな問いは夜が明けても途絶えることはなかったでしょう。
翌日はさすがに繭も学校を欠席したものの、その翌日はちゃんと登校。
その神経すら、羽村先生は嫌悪してるように見えました。
前話で若林志穂さん演じる教育実習生にハメられてカンニングの疑惑がかけられて、追試を受けることになった繭。
2人きりの実験室では、羽村先生もたまらず一昨日のショックをにおわせて。
答案をその場で採点する羽村先生の赤ボールペンのインクが切れて、自分の赤ペンを貸す繭の姿は、相変わらず献身的に愛を注ぐ一生懸命さが漂ってます。
羽村先生はその赤ペンを返しに繭に近づいてきたとき、
「誰か、力になってくれる人…(いればいいのだけど)」
と言いかけ、繭に赤ペンを返す。
(僕には、その役割はできない)
そんなふうな心の声を、赤ペンのやりとりで表現するとは!!
「もう学校には来ないかと思ったよ」
追試が始まる前に、そんな言葉で繭のことを少し責めたように見えた羽村先生。
「先生、あたしのこと、
いっぱい嫌いになったよね」
野島さんって、「いっぱい」を
時々変なふうに繭の台詞に使ってきます。
でも個人的には「いっぱい」って発音する桜井幸子さんの表情がすごく好き。
野島さんも、もしかしたら同じなのじゃないでしょうか。
「でも、もしかしたら先生は…(助けてくれるんじゃないかって)」
「だから頑張って来たの…!」
「でも・・・いやだよね」
そこで振り向いて繭を見つめる羽村先生は、
(そうじゃなく・・・!!)
と、ものすごい苦しそうな表情。。
「さよなら」
ずーっと何があっても先生を追いかけてきた繭の恋は、繭のほうから終わりにしてしまった。
校門に向かう繭を、かすかに肩で息しながら実験室から見下ろす隆夫。
繭がいつものように振り向いてくれることを願ってるのか願ってないのか、体は拒否するけど心は愛してるという状態なのでしょうかね。
でも、実験室で見つめ合う繭と羽村先生を見てたら、なんだか泣けてきたのでした。
この2人は前世でどんな因果があってこんな苦しい結びつきとなってしまったのだろう、って。
誰もが抱えるややこしい事態って前世からのカルマなのかしらと思ったら、いくらドラマとはいえこの壮絶な2人の関係に泣けてきてしまったのです。
この9話は藤村先生が主役でもある回でした。
繭は相沢直子の家でビデオを見てるのだけど、(しかもちょっとHな)
そのラブシーンのあまりの濃厚さに、繭は直子がいない隙にほかのビデオに変えようとする。
そんでそのとき発見!!
テレビ台に置いてあった本が、なんと「愛の星うらない」
持ってる持ってます!結城モイラさんの。
やっぱあの頃持ってた人は多かったのかな。
そんで繭が変えたビデオが、例の視聴覚室での直子と藤村先生の強烈なシーン。
ジュースを持ってきた直子はそのグラスを床に落とし、誰にも言わないで!と泣き叫ぶけど、
「赤ちゃん…」
とつぶやいた桜井さんの決意溢れたお顔はとっても美しかった。
繭はなんとか視聴覚室に忍び込んで、藤村先生のロッカーを壊してテープを押収。
恐ろしかったのが、直子のほかにも同じ目に遭ってる生徒がいることをうかがわせるビデオテープ2本。
その奪ったテープは新庄先生と羽村先生も目にすることになり、即、藤村先生のもとに向かう2人。
「野蛮な人だ…」
「野蛮なのはどっちや!」
「藤村先生の行為のほうが僕には野蛮に思えます」
「野蛮だなんて心外だな、美しく撮れてるのに」
と、3人で野蛮さのなすりつけあい。
藤村先生は、
「これを公にしたら生徒の一生はどうなる?」
などとぬかすけれど、新庄先生も怒りながらやっぱどうしようもなくて。
そんで剣道部顧問として部活に顔を出す新庄先生に、直子が「遅い!」と一喝。
「ごめん、ごめん!」
心は泣いてる赤井英和さんの精一杯の笑顔もまた泣ける!
相沢直子が実家でもあるスナックに帰宅したら、なんとカウンターから、のそっと藤村先生!!
あ~ホラー!!
そんですぐさま直子に暴力をふるい続ける。
このシーンは本当に見ててつらいのだけど、藤村先生はさらに果物ナイフを素手で握りしめて、
「君を殴ったお詫びだよ」
と、握った手の中でナイフを滑らせる。
もうそれだけで勘弁…!なのに
「今度は僕たちの赤ちゃんの痛みを感じるよ」
と、自分の腕をぎりぎりと切りつける。
そして直子は失神して藤村先生の胸に倒れ込む。
「そうだ…それでいい…やればできるじゃないか!」
映画並みのグロさです。
翌日は、通学途中に新庄先生は直子を見つけて声をかけるものの、元気のないその表情をよく見ると顔に大きなあざ。
もうここで新庄先生のスイッチが入りました。
新庄先生は藤村先生を殴り、そして藤村先生も隙あらば逃げる。
いつもスマートな藤村先生と、よぼよぼで逃げる姿のギャップにぞっとします。
それは直子のいる教室へ、そして屋上へ。
新庄先生の怒りは噴き出す。
「死んじゃいますよ!!」
羽村先生の叫びでようやく体を離した新庄先生。
血みどろの藤村先生は「おぅ…」と吐きそうな声をあげて唾を吐き…
本当にグロい回です。
でもこの後の京本さんの長い独白がまた美しいとすら思ってしまった。
悩める人は言葉を吐いて感情を吐いて、吐いてこそ憑き物のような何かが落ちるっていうのはわかる気がする。
藤村先生は、この「前と後」では、きっと見える景色は違うのだろう。
新庄先生は、
「俺も教師である前に1人の人間や」
「俺が助けてやらな、誰が助けてやんねんと思ってな」
と、まぶしいほどのまっすぐさで直子を救おうとしている。
その言葉は羽村先生の胸に突き刺さり、帰りの電車でリフレイン。
そして常に大事に持ち歩いている繭からの「助けて」メッセージ!を、またじっと見てみたりして。
そんで、部屋の中では電気もつけず、
椅子じゃなくって床に座り込んで、
壁に背中つけて人形のように
ぼーっとひたすら放心状態。
いいよ、いいよ。
そうなるでしょうよ、そりゃ…。
けど、何かを決意したときの羽村先生はとにかく行動力あるのです。
二宮邸では繭にべったりな父・耕介。
そんな空気を邪魔するようにチャイムが鳴る!
何かの気配を感じて玄関に駆け出す繭。
扉を開けると・・・
どしゃ降りの中迎えに来た羽村先生!
くぅーっ!!
「荷物をまとめるんだ」
そんでまた誠実な羽村先生は、きちんと父親に繭を連れていく旨を伝えちゃう。
「一体君に何の権限があるんだっ!」
「僕は彼女を…愛している」
耕介は隆夫を殴って、でも隆夫も耕介を振り切って突き飛ばす。
その姿に一瞬ひるむ繭だけど、
「その男はお前を愛してなんかいないぃぃ!」
と、不吉な叫び声をあげる耕介。
あぁ・・・みんなおかしい。
みんなおかしい道を歩みだしてしまう。
いや、社会にとっちゃおかしいけど、愛にとっちゃぁただ一つの正解なのかもしれない。
正解だけど、すぐゲームオーバーを迎えてしまうような。
でも行き止まりがあるとわかって勇敢に突き進むその姿は、カルマ解消条件クリアとカウントしてやってもいいでしょうよ…(え?)
家を飛び出してしばし見つめ合う隆夫と繭は、久々にとっても幸せそう。
だぶだぶのトレーナー着ておどける繭も、ベタ!なのだけど、こんなグロ&ホラーの回ならベタも大歓迎です。
誠実な羽村先生はビジネスホテルに泊まることに。
(嫌悪感からかもしれないけど)
繭はちょっと寂しそうだけど、隆夫ねこを隣に寝せたならそれだけで幸せそう。
(前話で耕介は隆夫ねこを屑籠に捨ててたけど、拾ったんだろうな…。)
生まれて初めて、愛しているという言葉を口にした。
あの時の僕は一方で君に、まだ拭いきれない嫌悪感を抱いていた
やっぱりそうでしたか。
ドラマもあと10話と11話でおしまい。
この後はやっぱりまだまだホラーは続く。
純愛→ホラー→グロ→純愛→純愛→ホラー→グロ→純愛・・・
確かこんな流れ。