「恋のツキ」1〜3話

リアルタイムでも見ていたテレ東深夜ドラマ「恋のツキ」
Netflixに入ってるのですね。
「愛の不時着」「梨泰院クラス」に続いて他の韓流…と思ってもどうしても手が出ず(とにかく1話が長いので)、かといってネトフリ解約するにはためらいがある…ということでもう一度見てみました。

 

2018年の作品。
たった2年前なのに、捉え方がずいぶん変わってしまったみたい。
今見ると、ものすごい「暴力」があふれてる物語だなと。特に第1話。主に「言葉の暴力」
「暴力」という言葉は強すぎるけど、この作品を非難する意味ではまったくない。
主人公のワコが生きる世界はなんって暴力にあふれてるのだろうということ。

4年同棲しているふうくんからは結婚も面倒がられ、就職や料理のことで感じ悪く責められる。
かつ自分勝手な性行為。
2人目を妊娠中の姉は、正社員じゃない未婚のワコに「40代なんてあっという間なんだから」となぜか説教モード。
ワコの職場の後輩からも、「30で会社倒産しちゃうなんて…」と同情されるどころか、「あたしは同じ道を歩まないように考えなきゃ」との決意アピール。

確かに2年前も自分とワコを重ねた。
現状が非正規・アラフォー独身というマイノリティの自分だとしても、いつかは…と「結婚」「正社員」へのマジョリティ参入模索途上での「だめじゃん」という他人からのジャッジ。「早くしなきゃ!」という急かし。
マジョリティ参入者との会合に行けば、すんません、考えてるんです…みたいな、しなくてもいい反省と言い訳。
2年前は「わかる〜」とか悶えながらも、ワコと15歳イコくんのイレギュラーな人生転換をわくわくしながら見ていた。

今見て思うのは、なぜあんな暴力を「生きてく上でしょうがないもの」として受け入れてたのかということ。
自分だけの話じゃなく、ワコも私の知り合いも。
一緒に暮らしてる男(ふうくん)があんなんだというのはリアルなのかな。
なんで家事全般、なんで料理批判、なんで性奉仕。
それもこれも、近いうちに結婚が見えるなら耐え忍ぶべきこと。ほんと?
・・って牙むくようなモードですみません。
結婚制度に疑問を抱いてるとかではないのです。私もマジョリティ参入模索をずっとしていた。
ただ年をとってしまったというだけ。

ワコとふうくんを知る女性先輩が、「女は結婚・出産にリミットがあるんだから(ちゃんと考えてあげて)」とふうくんを叱った。
ふうくんは「いつかは〜と俺も思ってるんですけどね」と言う。
その「いつかは」はそう責めることでもないように2020年のいま感じました。
むしろ「リミット」という言葉の強さがすごくひっかかって。

そりゃリミットはいつか来るだろうけど。
でもhitomiは44歳、華原朋美さんは出産45歳でしたっけ?
それは芸能人だからだよ!と、バカを見る目で言う人はいる。
でも私の職場には41歳以降出産の女性がとても多いので、たぶん常識の枠にとらわれなければそのうち医療の進歩で50近くまで可能性は広がるはずと思う。
よっぽどたくさんの子どもが欲しいというわけじゃなければ、20代30代にとってそんな焦ることもないリミットと思ったりして。
ただ、私なんかがむやみに前向きなことを綴ったところで無責任さが際立つ一方かもしれない。
でも私も45年前という時代に母39で生まれた子ですからね。

ただ、今は昔みたいに労働力や跡継ぎのための子どもを産むとか、普通はそういう状況に迫られてないのだから、子どもをもたないという選択するのだって自由です。
「リミット」という言葉でどれだけ苦しんだり焦ったり、状況(言葉の暴力)に甘んじんてる人が多いかと、そこが2020年の今、すごく浮き上がったように思った。

「不安を煽るマウンティング」がとにかくはびこっていて。
本当に愛ある関係なら目の前の人が幸せに賭けることを応援すると思うのです。たとえリスクが大きそうでも。
物理的に卵子的に早い方がいいに越したことはないとしても、人のタイミングに口を挟んでいい時代じゃないですよね。
だのに30過ぎた女の周りにいまだにはびこるその手のマウンティング。
男もそうかもしれない。
男性のタイミングだっていろいろある。
ただ、時代が進むごとに女性と男性のタイミングや認識がどんどん乖離していると感じるのも確か。
人生の選択肢が多いんだからしょうがないんだよ、もう…

でも、ワコが「大いなる普通」に傷ついたり翻弄されるのは1話だけ。
2話からはイコくんとの「普通じゃない」方面へ大きく舵を切ります。

「暴力」と感じたのは主に言葉ではあるけれど、もちろん「性」のことでもある。
マウンティングをいっこも感じない性ってあるのかな。成立するだろうか。
今の私はもういっこもマウンティングを受けたくないのです。
ワコがふうくんに押し倒されるシーン、ワコは苦痛に顔を歪めながらも「左手でして…」とふうくんにお願いすることで折り合いをつける。
右手骨折中のイコくん。
屈辱の中において、「イコくんとしてる」と変換するワコ。
つらい・・つらすぎる・・でも女はこういう順応性でもって強く生きてきてるんだな。
ただ順応性が強すぎるあまり、どんなクズ男にも自分を差し出しすぎてしまった。
2018年ですら気づかなかった歪みが、今ビシバシ感じられた。

第3話でワコとイコくんが想いを確かめ合うという一見スピード展開ですが、15歳のイコくんとの恋愛に強引さを感じないのは、ためらいがちょいちょいリアルだからなんですよね。
ラブホテルのベッドの上で、まだ何も始まってないワコとイコくん。
互いに携帯を気にして、ワコは「親御さんに連絡したの?」と言うなんかババくささとか。
イコくんも、「すみません、予定あったんですよね?」と言うと、「あ、なんか、中止になっちゃって」と嘘を言うワコ。
せっかくベッドの上にいるんだからさ、「…約束なんてどうでもいい…」とか熱く体を投げ出せばショートカットになりそうなもんなのに(ドラマ的にもエロ的にも)、こういう善良なもたつきが見ててほっとするのです(笑)
とかいって、ほどなく濃厚シーン始まるけどね。

ワコの冴えなさと官能性がまた魅力。徳永えりさんが本当にすごいです。
イコくんと初めてデートするとき、たぶんわざとババくさく歩いてたんじゃないのかな。
釣り合うように虚勢を張るんじゃなくて、ともすれば「他人」にも見える距離感でぎこちなく歩く徳永さん。
すごいという陳腐な形容しかできないのだけど、うまいなぁと。
だからこそふうくんにもリアルな嫌悪感を抱くのだし、周りの攻撃性も本当に受けた気になっちゃう。
また、出ました。ワコもふうくんから「選ばれた」、その立場を捨てきれない本音。
「ふうくんと別れたらもう私を選んでくれる人なんていない」
32歳女子にそう思わせる世の中って絶対間違ってると思う。
とかいってイコくんからの選ばれにも乗っちゃうんだけどね!

ふうくんから告白される回想シーンでは、「今まで出会った人の中で一番幸せにする」とかまさに選ばれたワコでしたが、未来において大きく出るやつはやっぱり信用できねぇなと思った。
一番幸せにするとか、ただの決意じゃん。わかんないじゃん。幸せにするどころか好きの搾取しまくりじゃん。
吠えてばっかりですが、全般ひっそりとした暗さのわりにどうしようもなくえぐられるドラマです。
おすすめです。

 

ワコのこの性癖がもう普通じゃないんだよ。

このカーテン、理想的。生活感が可愛らしいドラマでもあります。

 

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