「花束みたいな恋をした」

U-NEXTに早速入ってきたので見てみました。

「コントが始まる」「大豆田とわ子と三人の元夫」が掛け合わさったみたいな配役ですね。
この映画について肯定的なことはあまり言えない。
途中で「無理かも…」と何度か見るのをやめかけました。
でも、わりと早い段階で2人の間に切なさが漂い始める。
幸せの絶頂の中の切なさ。恋愛物語で何がおもしろいって、やっぱり「下り坂」ですよね…。
(ネタバレあります)

 

「カルチャーでわかり合う2人」の描写に好みがあると聞くけれど、私は「カルチャーいらなくない?」と思ってしまった。それじゃ意味ないかな。恋愛部分だけで十分濃いと思うのに。
菅田さんがこだわり強い役というのはハマる感じはあるけれど、有村さんとマイナーカルチャーってどうも合わないような?
でも有村さんといえばやっぱ「恋の切なさ」ですね。
幸せの絶頂から下り坂、あきらめへと向かう有村さんの表情には確かに引き込まれました。

 

最初の押井監督のところで結構引きましたよ。
あそこ感じ悪いと思う。
花束の2人は、自分の周囲の言動をいちいちダサ判定してるんじゃないかと気が気じゃなかった。
また2人の周りの人が結構雑というか下品というか。
でも「わかる!」という部分もある。
言いたいこと・ツッコミどころもたくさんあります。

菅田将暉さんに業界はなんでも負わせすぎと思う。
イラストレーターを目指す菅田さんはとても「っぽかった」けど、営業マンとして理不尽さの中で日々を生きる(そして結婚しようと持ちかける)男の役は、どうなんだろう…と思ってしまった。
私は菅田さんは学生時代から「普通」でありたくないと思ってたんじゃないかと感じる。
役者はみんなそうだとしても、菅田さんから特にそれを感じるのです。
ぶっ飛び路線でも、あえてのダサい髪型でも、若い頃から成功しまくってきた自信や自負が隠しきれてない。
2人が結ばれるシーン。カルチャーどっぷりでまだ「男」が中途半端にしか芽生えてないような21歳の麦にしては超色気すぎと思った。イケてる菅田さんが出ちゃってたよ。

有村さんは普通っ子役がすごいうまいと思う。でも自分のことまぁまぁ可愛いと思ってる普通の子。
そのあたりが一番モテるとわかってる女子のあざとさがうまい。
水瓶座にしてはとても普通なのです。「渋谷パルコ」というワードがどうも有村さんにハマらない。だから、過去の有村さんは「私ってたぶんこの先もこんなだろうな…」って一度ガクッと落ち込んだことあったんじゃないかと感じる普通さがある。
でも少し大人っぽい衣装だとぐっと美女の潜在性あふれさすから、「ダメな子(失敗続きの)」という役だとちょっと嫌味なんですよね。やっぱり自分の潜在性を誰よりも「知ってたよ」という程度には成功体験を重ねる女子ですよ。(誰だよって)
この映画が菅田さんと小松菜奈さん主演だったらおそらく「勝手にやってろ」で終わってたと思う。
でも有村さんなのですよ。メジャー級の有村さん。それでいてガッキーでも綾瀬はるかさんでも成立しない何かが、確かに有村さんにはあると感じる。女は自分をちょっと高く見積もった像と重ね合わせたいんですよ。有村さんにはその絶妙さがある。でも時々「あたしもっと女としての奥行きあるんですわ」と突き放されるような孤高さもあるよね…。

実際の有村さんは、カルチャーで世界を狭めるなんて愚かなことはしないと思う。そんなことしたらモテが逃げるから。なぜそういうカルチャー女子が生まれるかというと、モテないからなんですよ。もしくは恋愛をくだらないと見なす何かがあったはずの子。「自分」がまっすぐ評価されない、こんなはずじゃないと、すごくすごく痛感したことある、とかですね。恋愛以外でトンがってでも「上」の顔してたい。松岡茉優さんがそういう役すごいうまい。
有村さんはそんな回りくどくトンがったことしなくてもモテてしまう人という感じ。でも女性ブロガーの言葉がつきまとうモノローグにはぐっときました。

有村さん演じる絹が菅田さん演じる麦と別れを決意したのも、オダジョーから「女」として見つめられて、近いうち誘われるという勝算があったからと思う。
誰が3ヶ月もセックスレスの彼氏と流れで結婚しようと思うのか。
おそらくあのころの絹ちゃんは、麦から見てもこれまでと違う輝きを放ってたのだと思う。
「別の男の気配」という輝き。「好きなこと仕事にできたからね」と、絹は余裕でかわすけど。
そうすると男は独占に走る。結婚という独占。
恋愛感情や交わしたい言葉もとうにないのに、「結婚」をぶら下げれば女は喜んで飛びつくんだろ?と思う男になってしまったのかよ、麦。
私はファミレスで麦が「子ども2人くらい産んでさ…4人で手をつないで多摩川の土手歩こうよ」と言ったときゾッとした。絹ちゃんもあそこ、すごいクールだった。仕事ってそんなに男を平坦に変える?
子ども産むのは女なんだけどね。2人分のブランクは何年で済むだろう。
男はなぜワンボックスカーCMのような円満な一枚を切り取るのか。母親があの明るさに至るまでには心理的負担に不安、体力とかメンタルとか脱毛、社会的ポジションの焦り、いろいろ乗り越えてのキャンピングスマイルと思うよ。あんなに絹を気遣ってきた麦のセリフとは思えなかった。

しかし、もし2人がとってもうまくいったまま30代を迎えたとして。

それはそれでトンがったカルチャー夫婦になってたと思う。
世間のダサに超敏感なのに、自分たちは町のパン屋でビニールに包まれた焼きそばパンを愛する。メゾンカイザーじゃないとこに幸せを見出す自分たち。
わかるけどもね。でもイケてるカップルがただでさえイケてるのに素朴の領域までやってきて息を吹きかければ何でも世界観作っちゃうとか、つらすぎるわけです。イケてない自分だからこそ許されるトンがり、ダサへの愛着、見苦しいほどのこだわり、だったはずなのに。
「モテキ」も幸世やいつかちゃんが惨めの極みを体感するから成立するトンがったあれこれ。
長澤まさみと結ばれる映画版の幸世が感じ悪かったのは、「イケてる」に手が届いてしまったから。

 

しかし、こうも共通点あるかね?というくらいカルチャーの何もかも相性ぴったりの2人でした。
そこでホロスコープを出してみる。
内側が有村さん、外側が菅田さん。

双子??ってくらい星が同じとこで重なり合ってる2人でした。
というのも、2人は生年月日が8日違い。月と太陽以外は同じ。
一目惚れレベルで引き合う役が巡ってくるわけです。

有村さんはやはり月ー冥王星合だからか、ドラマチックな役の方が輝くと思う。
幸せ絶好調時代と、夢破れるどん底時代。両方描かれるような。
金星ー火星スクエアなので、恋愛がうまくいかない描写でまた魅力が放たれますよね。涙の演技がいつもとてもリアル。こっちまで本当に悲しくなる。
「あまちゃん」でも辛酸なめる時代が続きました。
菅田さんとのラブラブシーンとか、同棲生活でのTシャツチェックパンツルックとか可愛らしかったな。
でも気は強いはず。
ゴキゲンなときは余裕でうっとりなのに、「は?何言ってんの?」って相手の言質取るときも余裕。
つまりいつでも余裕。優位に立てる女でした。
ラブラブ期が過ぎて、あと必死で愛を絞り出すような忍耐ポーズも余裕。
菅田さんはご飯を作ってあげたり、アイスコーヒー入れてあげたり、「ゲーム、音出してやっていいよ」と譲ってあげたりとにかく優しい。しかしこういう男が怖いのは、いつか必ず「してあげてる」が漏れ出すところ。
麦:じゃあ、いいよ、行こうか
絹:じゃあって何?…ここんとこ、”じゃあ”が続いてるよ…

 

坂元裕二さんは何を描きたかったのだろう。
恋愛の素晴らしさを存分に描いておいて、下り坂の道のりがどんなに恐ろしいかってことのほうを描きたかったのかな。
そして結婚の平坦さ。
私はこの歳になって、平坦結構じゃないかと思う。
自分のこだわりが愛しい人と共有できるなら、確かにそんな幸せなことはないけども、それは20代のほんのいっときだけの気がする。
「社会」という大きなものの前で、やがて自分の色を決めなければならない。
染まるか染まらないか。乗るか乗らないか。勝つか負けるか。平坦かトンがりか。
染まらない・乗らない・負けでいい・だからトンがる。そう決めるなら何も問題はない。
でもカップルでその歩調が果たして合うのかな?って。
麦は絹に、「俺が一生懸命働いて稼ぐから、だから家にいて」と言った。
トンがってたい絹からすると、さぞ最低なセリフと思う。
俺は染まる・乗るしかないんだ・だって勝たないとさ(君との生活も安定継続できない)・平坦にならないよう努力するよ…
信じられないね。。(by絹)
しかし並みの女ならもう少し感動すると思う。絹ちゃんはまだまだ「女」として勝負したかったと思うよ。恋愛における女というだけじゃなく、何かに「選ばれる」「手を伸ばす」ということに好戦的でありたかった。
26だもの。「勝つ」というダイレクトな方向を目指さなくても「勝てる」、というなんらかの手段・道のりに自信がある女性。その種の人が一番、女として最強と思う。いや、坂元さんはそう描きたかったわけじゃないか。有村さんがにじませちゃったんじゃないでしょうか?(なんてね)

個人的な感慨をもう一つ言うと、この2人、猫そんな好きじゃないよね、と思った。
猫の描かれ方が雑!
別れる時にじゃんけんで親権を決めて、やったー!負けたー!とか、あっさり。
いやいや。時々猫の目線が出てきたけど、常に涙目だったのは気のせい?
私はそのうち猫が病気になって、それに気づけなかった2人の後悔…という描写が出てくるんだと思った。
いっそそういう危機が訪れた方が結束はより深まったのかもしれない。

 

うるさい感想ばかりですが、語りたくなる映画なのです。
恋愛進展させるのがすんごい怖くなりますね。
麦と絹は、どうであったらもっと交際が続いてたんだろう?
でも続くことがいいこととも限らない。
20代だもの。30代だって、一番変化の大きいとき。
悲しいけど、結婚は冷凍庫ではない。冷凍したって劣化する。
「恋愛は生ものだからね」これ言った人いたね!
あの2人は恋愛をたっぷり味わった。それでいいのでしょうね。
絹はこのあとも「で、私に何してくれる?(私もその分与えられるよ)」という余裕ポーズが崩されない人と恋愛して結婚するんだと思う。
麦は今度は、こだわりも何もなくむしろ真っ白な人にいろいろレクチャーする喜びを得るのかな。
そんで「平坦が一番」と思った矢先にまた2人再会するか、それぞれの面影宿したトンがった人と不倫するんじゃないかな。これからのカップルってそれでもいいんじゃないでしょうかね。
人は適度に平坦で、適度に燃える人生を望み続ける。坂元さんそれを言いたかったのかな。
思えば「東京ラブストーリー」にしても、うまくいかなかったカップルの物語をなんとも切なく見せてくれる坂元さんですね。「でも私たちはこれでよかった」という少しの未練を見せつつ最後笑顔…というドラマも多い。綺麗事のないカップルの宿命が映画化されたというのは、やっぱりすごいことと思えてきた。

 

 

 

 

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