夢千代さん

今、BSプレミアムで「新 夢千代日記」の再放送されてます。
来週日曜日が最終回ですが。

10年ぐらい前に再放送で見たとき、「夢千代」の世界に深くハマりこんで、オープニングで出てくる余部鉄橋目指して1人旅をしたというのは前にも綴りましたが、そのあとも再度余部鉄橋訪問。
舞台である湯村温泉にも訪れたほどで、その土地・舞台込みでこんなに惹かれたドラマはほかになかったです。

今回は再放送が始まってることを知ったのは途中話からで、すべてを録画できてないことがとても残念なのですが、それでも実家に帰って1話1話見るたびに、エンディングが終わってもすぐには動き出せないほど重い何かを引き取った心地になります。

というのも、やはり「夢千代日記」という物語のベースにあるのが、広島の原爆であるからかなと思います。

吉永小百合さん演じる夢千代さんは、お母さんのお腹で体内被爆したため原爆症を抱え、「新 夢千代日記」ではもう余命も2年ほどということでした。

夢千代さんが広島を訪れる回があるのですが、原爆資料館では夢千代さんが原爆投下時のジオラマの前に佇んで、原子爆弾投下後の火球を表す赤い球をじ…っと見つめている。
と、突然その赤い球がピカッと光って…。
・・・それは夢千代さんの想像の中で放たれた光だったのですが、その光に顔をそむける吉永小百合さんの表情は、それこそがこの物語の主題なのだということを訴えているかのようでした。
そしてまたお美しくて…。

吉永小百合さんが、もうとってもお美しいのです。
余命いくばくもないという役を、本当にそんなふうに演じられていました。
だけど恋をしてしまう。
松田優作さん演じる記憶喪失気味の男性に。
ただでさえはかない夢千代さんの恋は命懸け。
「命が長くない女が誰かを想うなど可笑しいでしょうか…?」
確かこのようなことを夢千代さんは雪上での吐血後に松田さんに告白する。

松:おかしくなんてありません!
夢:(命を落としかねない)船には、もう乗らないで…(あなたを失いたくないのです)
松:わかりました、もう乗りません。
夢:(・・脱力・・)

「・・・間に合いました。」

想いが遂げられた夢千代さんがまず胸に抱いた言葉が「間に合った」とは!!
ほっとした夢千代さんは松田さんの背中に安心しきった脱力状態でおぶわれ、雪降り積もる背中からは、死ぬ前に愛で命をぱっと輝かせられたのだという喜びや、ゆだねられましたという温かみのある幸福感がポッポとあふれてました。
「船に乗らないで…」と松田さんにもたれかかる夢千代さんの姿は、物語全編通して初めての「女」の仕草だったのじゃないかな…。

吉永小百合さんといえば太陽星座:魚座の方です。
ホロスコープを出してみたならば、なんと月星座も魚座の方!
すでにこの世のものでもないようなはかなげな吉永さんの演技に納得です。
演技なのか、何かに憑依されたような迫力なのか。

いつでも夢千代さんは、じ…っとその対象物を見つめ、人の顔にしても、鼻やおでこや頬に目線を移動させるなんてこともなく、相手の瞳をそらさず見つめています。
相手に吸い込まれて同化してしまったっていいという覚悟みたいに。
単に近眼なのかなぁ。
じ…っと見ているのにふわふわしたはかなさが本当に不思議で、だからこそ惹きつけられます。
芸者として踊るときも、心ここにあらずみたいなふわふわ感…いやいや、芸に集中しすぎて全身全霊傾けてるとも見えなくないか…。
確かに具合が悪いときって、一点見つめることしかできないくらい頭がぼーっとしています。
吉永さんは病弱な夢千代を、常に微熱気味みたいに演じてくださったのでしょうか…。

その他、夢千代さんの魅力
→声が低くて小さい。
そして頼み上手です。

夢千代:ご飯の支度は私が…。
小夢ちゃん:うちがやりますけ。
夢千代: …じゃあ、お願いね。

夢:おばさん、ずっとうちにいて、またご飯作ってちょうだい。
おばさん:ご飯ぐらいなんぼでも…(涙)…まだ作れる元気ありますで…。

↑↑
実はこのとき、自殺も考えていた母親の親友を、こんなさりげない温かさで救った夢千代さんなのでした。

吉永さんは火星が水瓶座で、水瓶座持ちといえば愛と平和=Love&Peaceの活動をする方がとても多いです。
終戦の年に生まれた吉永さんは「夢千代」以降も反戦の活動を朗読会などで続けてこられていますし、火星はどんなことを生きる上での原動力にするかというところでもあって、「母べえ」でも戦争によって引き裂かれるような体験をした母親役を演じてましたねぇ…。

夢千代さんに吉永さん…あぁ…PCの前にいるとエンドレスに綴ってしまいそうなので、ひとまず今回はここまでにしておきます。

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