私の母親は要介護度1レベルの認知の衰えがある。
と話すと、ピンとくる人もいるかもしれない。
私は「〇〇症」という言葉がちょっと苦手なので、母のことを話す折には「認知の衰え」と言っている。
そのうち、なんでもなくなるのかもしれないけど。
今見ているドラマの年配者が、同じようなタイミングで認知の衰えが目立ってきている。
「虎に翼」の百合さん
「かぞかぞ」の七実の祖母
「新宿野戦病院」のしのぶの母
人によって症状の表れ方はそれぞれと思うけど、私の母は「野戦病院」でしのぶの母を演じる藤田弓子さんに似ているかな。
藤田さんの演技を見ると「別になんも忘れてないじゃん」って見えるけど、日常は本当に普通なんですよね。
会話は成立するし、やたら感謝する性格にも変化はない。
ただ、「やらなくちゃ」ということができなくなっている。
掃除や料理、整頓などの家事ですね。
百合さんはせん妄のような症状が表れていて、美保純さん演じる七実の祖母は徘徊が始まっている。
2人ともお料理を作れるのがすごいなと思うけど、「私はまだまだできるんだから!」という人もいるでしょうね(実際は手順や味付けなどが衰えていても)
私の母のように「腰が痛い」などの身体的理由で自然と台所に立たなくなった人も多いのだろう。
そして私の母は作ってないのに「作った」と思うタイプ。
私の作り置きを自分が作ったとヘルパーさんに言ってるらしい。
まぁそれは生活に何の支障もないことで。
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母は今年88歳・米寿。
80代前半から「あれ?」と思うことはあったけど、普通に生活こなしてたし、週2回のコーラスに電車で通っていた。
明らかに認知の衰えを感じたのはコロナ期。
コロナ明けに久々コーラスへ通っても楽譜に追いつくのが難しくなったと言い出し、コーラス仲間から復習用のカセットテープが届いても放置している。
そのほか気になることが少しずつ増えて、その年の暮れに兄と話し合って要介護認定の申請に踏み切りました。
少し前からは、百合さんのように「ご飯炊いてないじゃん!」ということも目立つようになっていました。
米を洗ってない…ということもあれば、スイッチを押してないことも。
それを指摘すると、「じゃあ今からスイッチ押せばいいだけの話でしょ!」とキレ気味になる。
今はヘルパーさんが週に2回、1時間だけ来てくれて、デイサービスとリハビリに週5日通って何気に忙しい日々。
掃除、洗濯、調理はほとんどしないけど、それらから解放された今は怒りやイライラがほとんど見られず幸福そうです。
腰を痛めてからは1人で外出をしなくなったので、それは家族からすると安心できることの一つ。
とにかくデイサービスとリハビリが楽しそう。
コーラスに行けていたときは、帰ってきて不機嫌だったこともあった。
「みんなに馬鹿にされている気がする」
とよく言っていた。
周りの中で自分だけできないということがつらかったんじゃないか。
デイサービスは「みんな何かしらを抱えてて、それがとても優しげな雰囲気」と言う。
いいところに通えているんだとも思う。
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母の介護に入って2年。
まだ2年だけど、精神的・肉体的に大変な中、いろいろたくさん考えました。
貴重な体験なのでどこかに書きたいと思いつつ、なかなかまとまらなくてね…
徐々に頭の中も整理されつつあるし、何より私の中で大きく変化したのは幸福観。
ミッションをやり抜いた!というあの達成感はダイレクトに自分の幸せにつながるもので、その勢いでまた何か発信できればと思います。