「対岸の家事」おもしろいですね。
よくできたドラマだなぁと思う。
全体的にはコメディーだけど、すごく重いものが問題提起されている。
今まで気づかなかったわけじゃないけど、言語化できないモヤモヤがクリアになっていくような爽快感は、逃げ恥に似てる。同じ制作陣なのかなぁ。

(写真は「対岸の家事」HPより)
多部ちゃんは本当、いろんな役をこなせるのですね。
それでもクールな女性が多かった印象。
今回は人と人をつなげるハートフルな専業主婦役。
多部ちゃんが専業主婦とは!
水瓶座って、仕事ができる合理的な役が多い印象。
しかも、この詩穂という役には魚座っぽさを感じる。
詩穂の隣に越してきた女性は礼子(江口のりこ牡牛座)
詩穂と育児仲間になるのが中谷(ディーン・フジオカ獅子座)
メインの3人が太陽固定宮なんですよね。
江口さん(礼子)は2人の子を抱え、夫は出張がちでどんどん追い詰められていくところを、詩穂が気にかけるとこから友情が育まれる。
とはいえ専業主婦vs育休明けのバリキャリ女性という対立構造がちょいちょい浮かび上がるとこがスクエアっぽい。
ディーン・フジオカさん(中谷)の上から目線がいかにも獅子という感じで面白いです。
育休中の父親役。
厚生労働省勤務というエリートですが、妻もエリートで海外出張中なので、ディーンさんがたった1人で育児に奮闘中。
すんげぇ嫌な役だけど、それがまたぴったり!
多部ちゃんとオポジション同士で、互いの問題点が互いの存在で浮き彫りになって開眼していくさまが見事なんですよね。
固定宮はこの3人だけじゃない。
多部ちゃんの夫:一ノ瀬ワタル・・・獅子座
江口さんの夫:川西賢志郎・・・水瓶座
江口さんの部下の今井:松本怜生・・・牡牛座
多部ちゃんの心の母(友達):田中美佐子・・・蠍座
多部ちゃんと江口さんはともに固定宮夫婦。
江口さんの部下・今井まで固定宮。
このドラマが描き出す閉塞感は半端なく、どこに救いを求めればいいのか?どこに風の通る道があるのか?と、四角い箱の中をぐるぐる回るしかないような絶望感は重い。
私自身、固定宮のスクエア持ちですが、トランジット惑星でグランドスクエアやTスクエアが形成されてたころ、確かに閉塞感の日々。
T土星がアスペクトに絡むと特につらかったですね。
「出口がない!」と感じるんですよね。ないことに慣れるしかない。空気の薄さに耐性をつけるしかないみたいな。
江口さん演じる礼子は、1話ですでに出口のなさに適応しようとしていた。
なんとかギリギリ日々をこなして、少しでも「あっ!」と息が荒くなると、空気が足りなくなって命の危機に陥る。
詩穂はお隣さんの苦しさにいち早く気づき、ノックして「大丈夫ですか?」と気にかけたり、閉塞感をぶち破ったりする。
スクエア関係の多部ちゃんに出会ったからこそもたらされた新展開っぽく。
詩穂も専業主婦だからって毎日がゆったり余裕幸福感というわけじゃない。
誰か大人と会話したい!
そう願っても、街に出ればみんな忙しそう。
夫が帰ってきても疲れて会話にならなくて、ひどく孤独を感じることもある。
そんな折、公園で出会いがある。
それが育休中の中谷。
専業主婦の詩穂をあからさまに見下しつつ、強引に振り回したりする。
詩穂は振り回されたくない意思を表明して距離を置こうとするんだけど、実は中谷も相当追い詰められていた。
なんでも合理的に処理するクセがつきすぎて、突発的な子どもの体調変化にパニックになってしまう。
そこで詩穂に助けを求めて、詩穂に一目置くようになる中谷。
ところでディーンさんの妻役が島袋寛子さんだったことにウィキペディア見て気づきました。
誰だろう?と思ったんですよね。片瀬那奈さんっぽくも見えた。島袋さんは牡羊座です。
専業主婦の詩穂という「余白」に中谷も礼子も救われた第1話・2話だったけど、第3話はその余白感に盛大に疑問が呈された。すごく重い回でしたね。
誰かを頼るのも本当大変な時代になってしまった。
「私、引き受ける余裕ありますから大丈夫ですよ」
そういう人はどこかしらにはいる。ご近所さんでも職場でも。
「持ちつ持たれつ」のバランスが取れていた時代はよかった。
・・けど、過去にバランス取れたと思ってたことって本当だったのかな。
誰かが無理をしてたことに気づいてなかっただけじゃないのか。
今、SNSなどで「無理!」という声を表明しやすくなったから、いろんなことが問題提起されるようになった。
でもその分、余計に八方塞がりみたいなムードが強まってるように感じる。
だからといって、無理してた側の声を従来のまま抑えていいことにはならないけど。
第3話は、礼子の部下・今井に光が当てられた。
この今井って、「おむすび」の風見先輩だったんですね!今頃気づいた!
で、その今井は、礼子が早退したり休んだ分の仕事を引き受ける立場にいる。
今井はいまどきの若者っぽく、自分が休む権利などを訴えるけど、「いまどきの若者男性」という設定にしないと、かなり角が立つからじゃないかと感じた。
礼子と同年代の女性などが仕事を引き受けることになると、その女性のため息などがすごくきつく描かれがちになりますがね。そうはしない配慮を感じましたよね。
礼子は子ども2人ともおたふく風邪になり、1人目のときは今井も快くOK。
「お子さんの健康第一ですよ」みたいな声かけを礼子にできる余裕はあった。
でも翌週に2人目もおたふくになると今井はいつになくキツく「予定通り有給取りますからね!」と言い放つ。
実は今井にも事情がありそうなことがドラマでチラッと描かれて、あそこで閉塞感がぎゅっと詰まりましたよね…
礼子の親は飛行機の距離に住んでいて、夫は出張中。
詩穂に子どもを1週間見てほしいと現金携えて頭を下げるけど、あの場面では確かにあれしか方法がないように見えた。
でも、「礼子が休む」→「礼子の会社がその事態をなんとかする」という方法じゃだめだったんだろうかと、結構モヤモヤしましたよね。
もしくは「親に飛行機乗ってこっちに来てもらう」
礼子からは、詩穂が「毎日余裕のある(暇そうな)主婦」に見えているのだろう。
「我が家の多忙さを抱える余裕だってあるのでは?」と思ってるっぽいとこにすごくうわーっと思った。
詩穂は仕事と家庭を両立できる自信がない、自分はそういうタイプじゃないとわかってるから専業主婦の道を選んだ。
その詩穂の潜在的な余白に「両立したいんだ」という人が入り込んでくる。
詩穂のキャラからして、そういう事態も込みでいくらか余裕のある生活をしてるんだと思うし、詩穂みたいな人が近くにいる奇跡的なバランスでなんとか成り立ってる部分があるのはわかる。
ただ、「礼子はもうキャリア、しょうがないじゃん」と思ってしまった。
今井がもし「自分のペットの余命が短くて…」と、礼子の余裕のない時に告げてたら、「子どもとペット並べる?」という話になるのだろう。
それがわかってるから今井は誰にも伝えなかった。
でももし、今井のペットがあの期間に亡くなってたら…
あのドラマは優しげなので、礼子をそこまで追い詰める展開にはしないだろうけど、そういう展開になった時に誰も責められないというのは痛いほどわかる。心の中で「比較」して、自分の主張が「弱い」と感じたら引っ込めるしかない。
独身にも守りたい大切なものはあって、「その訴えを社会に対して上げるなんてとんでも…」と、ただ気が引けていた自分の奥底の声が今井によって浮き上がった気がしたんですよね。
私の職場は9割女性で、独身と夫婦2人世帯と子持ち世帯がそれぞれ3分の1くらい。
20年前はほとんどが独身で、同僚の急な休みも長い産休も、深夜・土日の仕事も「いいっすよ」で引き受けられたのは、「いつか自分も」という持ちつ持たれつの先払いみたいのを感じてたからかも。
でも実際、あのころ共に仕事をしてた仲間はみな疲れ切っていた。
休日は一日寝てやっと疲れが取れる。出会いどころじゃない。
「独身・子なしは余裕がある」と見られがちだけど、出会いや仲間づくりの場を削って仕事に費やしたら、結婚につながる機会なんて生まれない。
パートナーと安定した関係を育むにも体力がいる。
生活がギスギスすれば、「全部自分のせい」と思って日々を過ごすしかなく。
「そりゃそうだ」と言われればそれまでだけど、結婚した友人や先輩に「まだ相手いないの?」みたいに言われるから分断って生まれんだろうなと思ったり。
「早くこっち(子持ちのほう)へ来なよ」とか言われても、あのころ閉塞感の中でどうすればいいかわからなかった。
数回飲み会に行ったからって人生が大きく変わることなんてない。
継続的に誰かと会ったり、そういう元気があったり、人に興味を持てるほど自分に余裕がなければ、そもそも出会いなど生まれない。
独身だって、そういう継続性が仕事によって失われたりする。
そういうの全部ひっくるめて「自分には魅力がないから」ということにして、仕事に邁進する。
「子どもがいる」というのは圧倒的なパワーと正当性がある。
子育ては命懸けとわかってるけど、だから自分はその選択をしないという人が増えてもおかしくないこと。
なのに独身や子がいない人、専業主婦は、楽そう・余裕そう(自分のことだけ)みたいなレッテルを貼られやすい。
ただ貼られやすいだけで、閉塞性はみんなみんな同じなんじゃないかと思いますよね。
余裕を感じる余白のない日々の中で、「持つもの」が少なそうな人が軽んじられやすい。
それはしょうがないんだと思う。
それでも「目の前でいま困ってる人を助けたい」と思う。
そんな日々が続くばかりじゃ報われなさを感じるのも事実で。
独身だって専業主婦と同じように、「余白のある状態」を大事にしている。
余白を守りたい、だなんて社会的に説得力がないように感じちゃうから、引け目をどうしても感じてしまう。そういう人もたくさんいると思うし、軽んじられていいはずないんだ。
私が礼子に「キャリア捨てるしかないじゃん」と思うのも正常じゃないはずで、どこに穴を開ければすーっと風や水が通るのか?というのをすごく考えさせられるドラマなんですよね。
やっぱ「社会の整備」がまずい。これに尽きるんじゃないかとは思うけど。
でも国が絡むと即効性は期待できない。
みんな、今の問題を即解決しなきゃならない事態に追い込まれてて、「即」の先が多部ちゃんだったり今井だったりするから、「今」だけを考えればしょうがないんだけど、今・今・・その積み重ねで何年やってきてんだと。
その問題を積んだままにしてる政府の責任は重いけど、選挙を何度繰り返しても大枠は変わらないし、何したら世の中が変わるのかわからない。余裕がないから。
そんな空気の中で窒息寸前の人があふれて。
その皺寄せが女性や子ども、若者…今はそれだけじゃなく。
キャリアでもそうじゃない男性でも窒息寸前ということが可視化されたようなドラマ。
「監視の目」とかもいくらか育ちそうです。
ところで多部ちゃんはパーソナルに魚座天体はないけど、ドラゴンヘッドは魚座。
あと現在のプログレス太陽が魚座だった。
「どんな人にも手を差し伸べますよ」という役がいつからか増えてきたような?
しかも月が乙女で、テイルとコンジャンクションっぽい。
これは「社会に声を上げられない人に光を当てる」ような役が巡ってきやすいと思う。
金星は山羊、火星は牡牛。
なんだかんだ生活も思考も地に足ついてる多部ちゃんの安心感は半端ない。
太陽は火星とスクエアで、「はぁ!?」みたいな怒りと驚きの展開が現状をレベルアップさせる。
今後の展開も楽しみです。