「高校教師」~第10話ぼくたちの失敗~

「高校教師」もあと2話と思うと、
見るタイミングをむやみに延ばしてしまいがちです。

楽しみが一つ減ってしまうのを
受け入れたくないというか…。

けど、「あのシーン、まだ来てないな」というかすかな記憶として残るいくつかの場面は、
きっとこの2話の中に詰まってる。
それを早く確かめたい!

再生オン!

前話の終わりで、羽村先生は二宮邸から繭を連れ出して、やっと2人きりになれた幸せは感じられるものの、
先の見えない不安とか、2人だけの問題じゃ済まない事情とか、あと、拭えない嫌悪感とか、
いろんなものを抱えながら一人、ビジネスホテルで眠れない夜を過ごした隆夫なのでした。

朝になればホテルから自宅にいったん戻るんだけど、とある日には鍵も開けっ放しで、玄関には男物の靴があって、
緊張した面持ちで入った自室にいたのは、赤井英和さん演じる新庄先生。
「二宮なら、外してくれ言うて出てもらってな」

いろんな事情、もう了解済みです。
繭と父親との関係も、新庄先生に相談してる模様。

繭の父親の話題には、そりゃ羽村先生は敏感で、新庄先生との会話でもムキになったり激高したり、
精神が不安定な隆夫…。

「疲れ切った顔しよって」

疲労感が顔に出るような恋は、
幸せな恋とはやはり言えないのでしょうかね。

繭は近所の公園で時間つぶし。
小さい子と砂場あそびしてる。
その子のお母さんが迎えに来て、
繭は一瞬ひとりぼっちになって、
でも帰ってゆくその親子と入れ替わるようにして公園に迎えに来たのは、
羽村先生。

「来るって知ってたよ」

そんな表情の桜井さんに萌えました。

羽村先生のためにどこかで花を買って、
それを先生に早く渡したくて走り出す繭。
そんな2人の幸せそうな光景が、
砂場に置かれてた家型のモニュメントを通して
フレームみたいに捉えられてる!

こーれは初めて気づきました!
ニクい!
そんで羽村隆夫のポエム風独白。

「あの時の僕たちは、
ただそこに砂の城を築こうとしていたんだね。
ほとんど人の来ることのない、
小さな公園の片隅に・・・」

砂の城、砂上の楼閣、絵空事…。
なんか俳句みたいになってしまったけど、
2人が幸せそうであればあるほど、
それは永遠に続かないと言われているようで、
この短い時間だけなら、許しましょう…
と、天の高い所から猶予を受けているようで、
でも、そんな儚さ
羽村先生もわかっていることでしょうね…。

いや、本当にわかっているのは繭のほうかな。
羽村先生は、認めたくなくて
もう10話ではもがきっぱなしです。

羽村先生がとある日に向かったのは、新庄先生にボコボコにされた藤村先生が入院している病院。
新庄先生への告訴を取り下げるようお願いしに。

前話であれだけ感情を吐露したのだから、
藤村先生の心持ちも変わってるだろうと思ったら、たいして変わってませんでした。

「新庄先生への告訴を取り下げたら、僕が殴られるようなことをしたって認めることになる。」

(は??)
羽村先生もびっくりしてる風。
でもまだ続く藤村先生の独白。

藤村先生は、本気で相沢直子を愛していたという。
正気じゃなくなっていくのがわかるほどに、と。

「本気で人を愛すると狂いますよ。
理性やモラルなんて何の歯止めにもなりません。
例外なく、人間はね・・・」

そう言ってみかんを握りつぶす藤村先生を見つめる羽村先生は、
狂人のような目で、
たぶん己のことを考えていた。

そして純愛・純愛と来て、
待ってました、ホラーシーン。
お部屋で少し勉強する羽村先生にコーヒーを入れる繭のかいがいしさは
とっても微笑ましい。けど、
電話のベルが鳴ると、2人の顔は一気に曇ります。
それは繭の父親からの電話であるから。

留守電に吹き込まれた峰岸さんのメッセージは、ずっと聴いてたいと思うほどの大仰なセリフです。
「あの男は、お前を本気で愛してなどいない」
「ごほっ、ごほっ、うー・・はぁ…
お前がいないと・・・
節制する気にもなれないからねぃ…」

(怖い!)
繭は声には出さないものの、そんなふうに表情をゆがめて羽村先生の胸に飛び込むんだけど、
(いけないよ…)
一応まだ教師である羽村先生の理性が許しませんでした。
抱き合えない2人かぁ~。

ビジネスホテルに向かう隆夫を駅まで見送りに行く繭。
その道のりの会話は高校生の恋愛のようです。

「先生、あたしとのこと、いつからそんなふうに
(ちゃんと)考えてくれてたの?」
「雪の日かな、君にチョコレートをもらった。」

「いつ?」との質問に
「雪の日」と答えるとはっ!!
うぁ~いいなぁ・・・。

羽村先生は、近いうち教師をやめて、どこかの研究室で働くために
勉強を一生懸命してることを知った繭は本当に幸せそうで、
なんか「普通の幸せ」に手が届きそうにも思えて。
「(先生が教師辞めたら)ずっといられるもん」
「…そう簡単にはいかないさ」
「え・・?」

大人になると、恋することすら2人だけの問題じゃなくなってしまう。
好きと好き同士で一緒にいられるって思う繭は、決して幼いとかじゃなくて、
社会のややこしさを、ただ想像もできないってだけなのかな。

さて、記憶に残るシーンのひとつ来た!
電車の扉越しのキス・・・!
桜井さんが本当可愛い。
羽村先生も、もう人目を気にするダサさゼロです。

繭は1人で帰る道々、好きな人が乗っていく電車を見届ける幸せを味わってる。

帰ってくると、繭はベッドで
キスする隆夫ねこと繭ねこのイラストを描いてます。
だからちっとも寂しくない。
けど!訪れる峰岸ホラー。

ウイスキー瓶片手に、相当酔っぱらった耕介が羽村邸の前まで来ちゃってます。
ここから二宮耕介独演開始です!

「ばゆ~・・・」

「・・・そうだ!なんなら先生も一緒にうちに住みませんか?
そりゃいい!とってもいい!!」

一体何を言ってんだか…。
この人は3人で住む図をどのように描いているのか、この幼さというか異常性というか、
それとも卑猥さなのか?
こういうセリフが書ける野島伸司さん、もう尊敬します。

酔っぱらってフラフラな耕介は、滑って転んで割れたウイスキー瓶で手を切ってしまう。
ってか、自分から切りに行ってる風にも見えるけど。

「参ったなぁ・・・
血が止まらない・・
傷口、流しで洗わせてくれないかなぁ。
破片が入っちまったようだ・・。」

そんで、血があふれるこぶしで流しのガラス戸を割って…。
「もうすぐ、行くからね・・・」

のぞく目のいやらしさ!
峰岸さんって、すごい!

そんで警察に連行されてしまうんだけど…。

さて、もう一人の異常メン
→藤村先生。

直子は、新庄先生の告訴を取り下げるよう言うために、
わざわざ藤村先生のいる病院に来ました。

「君は、さらしもんにされるよ。」

「あたし、負けたりしない。
まだ人生長いし。」

松葉づえで歩くも、転ぶ藤村先生がまた無様でね…。
峰岸さんといい、京本さんといい、
こんなスターないい男を惨めにつまずかせるなんて、
そういう罰の与え方ですか…ほぉ…。

「君もやっぱりそうだった!!
本当には愛してはくれなかった…。」

どこまでもエゴが漂ってます。

「先生、
女の子は、もっとちゃんと好きになるよ。
男より、ずっと真剣してるよ。」

来ました!
待っていた名シーン。

ホントです。
男より、ずっと真剣してるのです。
直子の背後に、そうやって大きくうなずく女子がずらっと並んでるまぼろしを見た気がしました。

羽村先生と繭の久々のデートシーンは、
今までと違う感慨が湧きました。

水族館でいつの間にかちっちゃい子たちに囲まれてる2人。
何人かを交代で忙しそうに抱っこする羽村先生。
その光景は叶えられない将来のよう。
夕暮れ時の川沿いでは、
じゃんけんぽん、ぐ・り・こ。
じゃんけんぽん、ち・よ・こ・れ・い・と。

最後のデート先は学校の体育館。
存分にバスケをする2人だけど、
ふいに繭は
ゆうべ羽村邸に来た父の話をする。

「げっそりしてた・・・
たぶん、なんにも食べてないの。
先生、やっぱり・・・」

「いつからなんだ?」

「いつから?」って、あー禁句…。

「俺と出会ってからもずっと関係は続いてたのか?
実の父親に抱かれるなんて。
君は、ただそこから逃げたくなって
僕と寝たんだ。」

あー取り返しのつかない禁句…!
繭は体育館を駆けだしていく…。

これ絶対言っちゃいけないNGワードだけど、でも、こんな事情抱えた2人が、
こういう衝突なしにずっといくわけはない。
これが父と娘という事情でなければ、
嫉妬とか邪推とかってことでどうにでもやり直しはききそう。
けど、父と娘という事情が2人の壁である以上、「いつから?」に正直に答えたからって、
「逃げたくなって寝た、とかじゃないよ」って必死で訴えたって…。

じゃあ、どうすればいい?
どうすればいいんでしょうね…。

ここでまた、楽しみにしてたシーン来ました!
スナックでカラオケ歌う直子と繭!

「津軽海峡・冬景色」を歌う持田真樹ちゃん、かなり上手いです。
桜井幸子さんは「翼の折れたエンジェル」
大人っぽい桜井幸子さんも上手いです!
んでまた色っぽい。

中村あゆみさんが歌う「翼の折れたエンジェル」にいつの間にかBGMがスライドして、
少女が真夜中の街をじゃれあって帰るシーンも、記憶に焼き付いてる場面です。

「なお。あたしさ・・・
友達はなおだけだったよ」

「おぅ」 「おぅ」

なんか泣ける!
そして、もう会えないってことの伏線?
遺言にすら聞こえます。

帰り道、どこかの噴水のど真ん中に座る繭。
水をふくんだときの桜井さんもまた、
なかなかホラーなお姿です。

羽村先生は、その日は新庄先生の家で飲んでいて、
繭にあんなことを言ってしまった…
って苦しい胸の内を新庄先生にこぼしてる。
そんで今度は新庄論の始まりです。

「もうやめたらどうなんや。
そんな2人に何の未来もあれへん。
二宮もいずれ違う男と出会うて恋するかもしれん。
お前といるより幸せなんちゃうか?
鏡見てみ、こんなにやつれてもうて…」

普通の恋愛に対してなら
じんわり受け止められる新庄先生の言葉だけど、
現実的な常識的なアドバイスなど、何一つ今の羽村先生には意味をなさなくなっている。
かといって誰もGOサインを出してくれるはずもなく、孤独を深めていくのだな…。

違う、違う・・・
僕たちはもっと・・・

またもや狂人のような目で、かすかに震える羽村隆夫。

なんかもう今回描かれる男性達、
安部公房の作品みたいな異常さが光っててまぶしい!

新庄先生の部屋で見た羽村先生の夢は、ベランダに繭が洗ってくれたシャツがたくさん干してあって、
部屋には繭が買ってきてくれたお花が輝いてる。
そんな夢に少しだけ希望を抱いて家に戻るんだけど、
部屋に繭はいない!

そんで、割れたガラスに貼ってあるのは新聞紙じゃなくて、
繭が描いた隆夫ねこと繭ねこのキスシーン漫画!
いじらしい!
けど、ちと怖い!

隆夫が見つけたのは、家に帰りますとの繭の書き置き。

花はしおれてて…
ハンガーにかかってるのは繭の純白のセーラー服のみ。

この事態にうろたえながら、セーラー服をしわくちゃに抱きしめる隆夫…。
いよいよやばいぞ!

そしてすぐ二宮邸へ。
やっぱ活動宮は行動力あります。

けど、二宮邸では何やら引っ越し作業。
その引っ越しを指揮する耕介のマネージャーらしき男性が隆夫に、
「手紙、預かってますよ。」とのこと。
突然の耕介の行動に振り回されて愚痴を言いながら引っ越し作業をするこの男性は、
彫刻道具をバラバラと落としてしまう。
単に、この男性のイライラを表してたんだっけかなと思いきや、
違う!
恐怖の伏線・・・。

今までになく不穏な音楽が流れて、タクシーを成田空港まで走らせる隆夫。

成田・・・
やばいよ、やばいよ!

「先生、あたしは今、急いでこの手紙を書いています」
から始まる繭の手紙きたーっ!
繭の独白開始!

14のとき、そう、14のとき、
あたしのお父さんは、お父さんじゃなくなった。
不思議なことに、
そのときはとっても漠然としていて、
ただおっきな波に抑えつけられているようで、
どこか自然な流れのようで
いつかふいに歪んで見えて。

普通の恋がしたかった。
時々はやきもちもやくの。
ちょっとずつ、2人の間に同じ雪が積もる冬が来て。
ばかだね
自分は、ちっとも普通じゃなかったのにね。

あたしは、お父さんと…
あの人と遠くに行きます。
あの人には少なくともあたしが必要なの。

人が周りにいないからじゃなくて、
自分をわかってくれる人がいないから
寂しくなるんだね。
先生も時々寂しそうだったね。
できればあたしがずっとそばにいたかったな。

いつか先生に恋人ができたら、
きっとあたしのことは忘れちゃうね。
けど、あたしは忘れないでいい?
ペンギンや朝顔の話、忘れないでもいいよね。
さよなら、
さようなら、羽村先生。
(with猫イラスト!)

繭も直子も
普通と異常さに翻弄される女性だった。
近親相姦に強姦。
決して許されることではない、異常性の極みをゆく行為。
だけどなぜそうせざるをえなかったか、
ただ嫌悪して背を向けて無視しただけでは、誰も救われないのかもしれない。
「そっち」に行ってしまう苦しさ、みんなと同じようなチョイスをできない悲しさ。
男たちの独白を聞くと、
とにかく「愛」が欲しいのだと言う。
確かな愛が欲しいために暴力行為に出るのだけど、
ただただ悲しいスパイラルに陥る一方だってこと、わかってるはずなのに。

空港で顔を合わせてしまった隆夫と耕介。
2人は近寄って・・・
「うっ・・・」

あのとき彫刻道具が散らばらなければ…。

事態の第一発見者は繭。
でも繭の表情からはなんにも見えない。
繭に気づく羽村先生。
泣き笑いの。

いつか、君と僕は
同じ一線で結ばれた優しい放浪者だった。

どういうことだろう。
優しい放浪者って。
罪深い放浪者じゃなくて、優しい?
君のために
あたしのために
先生のために
お父さんのために…?

野島さんって魚座生まれなんですよねー。
魚座の深さは時に理解できないほどで、
だからその世界観に惹かれていくのかもしれない。

あーいよいよ最終話!

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