柔軟宮物語「お母さん、娘をやめていいですか?」

U-NEXTでNHKを見れるのも今月いっぱいなので、前から気になっていた「お母さん、娘をやめていいですか?」を視聴しました。2017年放送。

すごい引き込まれて、8話を2日で一気見。

当時も話題になったと思いますが、斉藤由貴さんが異様に娘離れできない母親役。
波瑠さんも母親に依存気味だったのが、やがて真に自立する成長物語でもあります。
波瑠さんって方はまたいろんな役をされますが、1話では自分の色を持たず、なんでも母親に委ねる無難な個性の教師役で、2話以降自我が芽生えてどんどん変わっていくんですよね。
でも強烈な母親のもとでは、自立心に揺り戻しが起きる。その不安定さとかもすごいうまいです。

これまた柳楽優弥さんですよ!
柳楽さんが出るからにはぐっと人の心に踏み込むだろうなと。
ぐぐぐっと踏み込む役でしたが、これがまた優しげ…こんな人と出会いたいものです。

ドラマの監修に臨床心理士の信田さよ子さんが関わられてますが、私も信田さんの本を何冊か読みましたけど、本に出てくる臨床例がちりばめられたようなドラマ。
あれこれ極端な描写に見えても、小さな兆候は自分や周囲のどこからでも見いだせそうなリアルさがずっと漂ってました。

ドラマを見てて、「柔軟宮家族だ」と気付きました。
波瑠さん双子座、斉藤由貴さん乙女座。そして父親役の寺脇康文さん魚座です。

もちろんドラマなので実際の家族とは違うはずですが、ある程度の「っぽさ」も役者さんやドラマの人間関係から漂うとして、柔軟宮ってやっぱりこうなるのかな…と、星的先入観込みで思ったりしました。
家族の誰かが「これってあんまよくない状態…?」と気付きつつも、「ま、こんなもんかな」ってスルーしてウン十年とか。ぶつかるくらいなら自分、その時々で対応していきますわ、と。
あとドラマ的柔軟宮パターンとして「約束」が果たされにくいことですね。
「きっとよ」「決めたから」、これがうやむやになって何度も振り出しに戻る。
家族の問題って確かに揺り戻しを繰り返さないとなかなか好転することはないはずで、だからよりリアルだったんですよね。

この柔軟宮親子のまろっとした雰囲気をぶち破るのが活動宮・牡羊座の柳楽さんと。よくできてる!
柳楽さんは本当に素敵でした。
波瑠さんの早瀬一家が家を新築することになり、その施工担当者が柳楽さん演じる松島。
「壁紙、これとかどうです?」とサンプルを見せると、波瑠さん演じる美月は「いいんじゃないかな?」と思うものの、母親を見ると「いまいち…」という仕草。
母親の好きそうな壁紙サンプルを選んで、パッと表情を明るくした母親にほっとする美月。その2人を見ている松島。
松島は美月に興味持ってぐいぐい距離詰めてくるけど、実は母娘の異様さも気にかかってる。
それは自分も母親との関係が特殊だから…この過去に陰ある感じがまた柳楽さんうまいんですよねぇ。
そしていずれ2人は交際に発展。美月が家を出る決意を促し(活動宮っぽい)、少しの期間一緒に暮らす。
得意料理はチャーハン。美月に家事なども期待しない。素敵!


NHKオンデマンドより)

牡羊座は強引なんですよ。セリフでも「僕は強引なんです」と言ってた。
空気をがらっと変える。その場をぱっと燃やして、気分転換を促してくる。
この少年っぽさに何度も救われました。柳楽さんの照れ笑いの犬歯が愛おしい!

寺脇さんがまた…。
寺脇さんを魚座っぽいと思ったことはありませんでしたが、役を通して見ると「魚座ってほんとこんなな!」と思うばかりでした。
「俺は戦うから!」と2、3回宣言してたけど(職場と戦う)、何回宣言してんだってほどあんま事態が変わらないんですよね。
あと「俺が守る(妻を)」
どんだけ説得力無いんだってくらい何度も突っぱねられたりとか…。
魚座ってのは薄いんですよ。本人の中ではこんなに濃厚なことないってくらい愛にあふれてるかもしれないけど、周りからすると「濃厚?正気ですか?」ってくらい熱意がわかりにくい。
そんで、斉藤由貴さん演じる顕子がなぜこんなに娘に寄りかかってしまったかというと、寺脇さんが妻と向き合うのを随分前に諦めてしまったからだと思うんですよね。
信田さんに寄せられる悩み相談でも多くの文面からにじむ「父親不在感」にこそ問題があるといつも指摘されています。
逃避する父親。「愛してる」だけでオールOKなわけもなく。

寺脇さんもついに柳楽さんにまでブチ切れられるという。「何やってんですか!!」と。
美月がせっかく自立の意思を固めて「もうお母さんとは会わない」と家を出たのに、顕子が死にそうなほど落ち込む姿を見て「やっぱり私がそばにいる」と戻ってくる。
「美月、家に戻ってきたんだよ」と、柳楽さんに報告する寺脇さん。
いや、あなた、何やってんすか!!とブチ切れる柳楽さん。娘を思う父親なら戻しちゃダメと。
「あ…」と我に返る寺脇さん。遅い遅い!ここコント?

 

なんたって斉藤由貴さんの怪演。さすが乙女座です。
実家に帰るたびに「はね駒」の録画消化に努めてるのですが、松浪先生が大好きなさっぱりおりんちゃんはどこにもいない…そりゃそうなのです。でも「吾輩は主婦である」のみどりはちょろっとのぞきます。
斉藤由貴さんってコミカル天然演技も絶対うまいはずなんですよね。
美月を「ねぇねぇ」って追いかけてテンション上がりまくりの斉藤由貴さんは鼻息が荒くて可愛い(笑)
でもなんと、「吾輩は主婦である」でみどりのお向かいに住むヤンキーやすこ・池津祥子さんとタイマン張ってるシーンがあるんですよね!モンスター母対決として。
笑っちゃわなかったかなって余計な心配しました。当時も話題になっただろうか…(なってないだろうけど)

池津さんの娘役が石井杏奈さん。いつも寝てるか保健室行くかのやる気なし少女。それは母親から虐待まがいの扱いを受けてるから。
石井杏奈さんって陰ある役が多いですが、従順に耐えてる役より強気な健気少女がぴったりと思いました。

池津さんは蠍座、石井さんは蟹座で、このドラマは水星座人口もなかなか多いです。
1話の冒頭で波瑠さんと水族館デートを楽しんでるのがなんと眞島秀和さんだったんですよね。蠍座。
波瑠さんの恋人役だったんだ!と思ったら、速攻フラれてた。また、ぐいぐいくるうっとおしい先輩教師でした。
美月にフラれた途端意地悪になるという、まぁ水星座的にヒステリック男なわけです。
眞島さんってつい最近までこういうトホホ役多かったですよね。

でもたぶん、美月が自立しないまま眞島さんと交際してたら、お母さんの二の舞になってたと思われます。
実は支配的な男で、結局女がおとなしくて可愛い年下だったら優しくしてくれるけど、美月の自立心を見て取ると潰そうとする。
「あんまり焦んない方がいいんじゃないかなぁ」とかネガティブアドバイスばかり。
「でも、いいんです」という美月の決心に眉をひそめるとか。

柳楽さんだけじゃなく、火星座の方がいつでも空気を変えてきます。
斉藤由貴さんの親友役が麻生祐未さん。獅子座。
麻生祐未さんはまるで臨床心理士みたいに「問題がどこにあるか?」をわかってる。
親友でありながらも、「顕子、それは過剰じゃない?」とはっきり進言したり、家出した美月をかくまったりもする。
でも美月への異様な執着が強まるばかりの顕子に「絶交よ!」と勢いで言ったりもして、これはわかると思っちゃいました。
頭でわかってても許せないことがある。絶交宣言するくらい感情に振り回されるという描写は、なんか救いでもあるというか。みんな過ちをおかしながら前進するんだよなぁと。

そして松島の上司役に壇蜜さん。射手座。
壇蜜さんはちょっと怖かったですね。松島と昔関係あったっぽくて、「私とは遊びだったんだ…」と、あのねっとりした視線と口調で柳楽さんに投げかける。
でも壇蜜さんが「あの母娘、やっぱり変よ」と気づくところで「これで安泰!」というまやかしの平和感が崩れたり、顕子に違和感を口にしたりするから、この率直さは火星座っぽかったです。

あと、乙女座斉藤由貴さんと最後まで和解できなかった母親・大空眞弓さんは魚座です。
母親が魚。夫も魚座とは、星的にこのオポジションはすごいなと思ってしまいます。
「本当に向き合わなきゃいけないこと」から目をそらし続ける間は真の幸せは訪れないんでしょうかね。
またオポジションというのは、ネガティブなターゲットにされると本当につらいと思います。
顕子は母親からずっと「あなたって本当だめね」「育て方を間違えた」「私の理想通りに育たなかった」と言われ続ける。
自己肯定感の育たなかった顕子は、娘の美月にすべてを懸けるのですが、「美月を誰よりも大事に思ってる」「美月のこと全部わかってる」と言うその「美月」は、なれなかった幻の自分自身だったと。
だからコントロール性を帯びるし、そのことに気づかずにすべて親の愛、「よかれ」の行為と思い込む。

波瑠さんはドラマごとにご自身の色をクリアにしてくるというか、深刻な役、恋愛どっぷりの役、どんなタイプにも美しく染まれる方で、美人なのに普通っ子やネガティブな役が多い。感情移入とてもしやすいです。
月は獅子か乙女かわかりませんが、異様なことへの巻き込まれやすさからすると乙女のような気がします。

また顕子が夢中で取り組む人形づくり。その等身大の人形が不気味で、いつでも美月を思いながら製作。
でも「どれも私に似てない」と言われて気づいたのは、結局少女の自分を作ってたということなんでしょうか。
ドラマはどん底も描かれつつ最後はとても理想的に終わったけど、現実はぶつかり合うことで果たして理想に向かうものだろうか?と思ったりもします。
コントロールしたがる人は本当聞く耳持たないんですよ。そこに大いなるつっかかりがあるわけで、もしその人がドラマみたいに相手の言うことを聞いて受け入れたら、実際にはショックで死んじゃうかもしれないと、そこまでして相手を変えるのは自分にはできないと思いますよね。変わってもらいたいけど、死ぬまで変わらないんじゃないかという闇の深さ。
ドラマでは美月もそれが怖かったから「私が帰るね」と白旗を上げた。
自分が柔軟になるしかない。やっぱそうなりますよね…。
でもそこでまた柳楽さん!
「お母さんのそばにいる間、君はずっと自分の意見を引っ込めてる。自分を生きてない」
「僕とはどうなりたい?」

鍵はやっぱりお母さんなのです。
でも最後は母・顕子が自分で自分の道を決める。海外で事業を始める寺脇さんについていく決断です。
オポジションは前向きにつながれれば良き相棒になれるはずで。
これから顕子の相棒は娘ではなく夫。なんというハッピーエンドでしょうねと。
ここでやっと娘に本心から「あなたの自由に生きなさい」って言えて、美月もそれが本心とわかるから大いにほっとして。
それまでも何度か「自由になさい」ってLINEするんだけど、全部フェイクだったんですよ。そう送れば美月が会ってくれるから。ぞー。

「家族」ってまとまってこそ幸せみたいに思っちゃうけど、本当の家族の幸せは「あなたが幸せに生きてたらそれでいい」って思えることなんじゃないですかね。
石井杏奈さんと池津祥子さんも、互いの幸せのために離れることを決めた。
家族という言葉に縛られて、一緒にいようとか仲良くとか、それにこだわるうちはとにかく険悪、そういうことばかりです。
離れててもみんなきっと元気に生きてる、そう思えることがどれだけ幸せかというのは私自身、最近感じたばかりで、だからなおさら沁みたんだな。
NHKオンデマンド解約が惜しいです。家族といえば「阿修羅のごとく」も見たくなってきた。

 

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