モテるタイプの変化

「星降る夜に」の一星=北村匠海さんはとても魅力的。

でも何かの説明で「若さゆえの積極的なアプローチ」というのを見て、ちょっと違うんじゃないかと思った。
というのは、今の25歳ごろって「若さゆえの積極性」とかないんじゃないかなと。

45歳のディーン・フジオカさんがとてもエアリーに描かれてますが、むしろこの世代のほうがぐいぐいと思う。
ま、ディーンさんの役は過去に妻と新生児を同時に亡くしたつらい過去があるので、ぐいぐいするメンタルにはなれないでしょうけどね。

 

私は現在、男性9割のとこでも仕事をしてますが、Z世代とゆとり世代も9割。
このZとゆとりが、まぁガツガツさゼロ。
昭和50年代より上とは明らかに違う熱量。全部の熱が違う。仕事・人間関係・怒り・笑い・コミュニケーションなどなど。

そりゃ仕事は熱心だし男性同士だと盛り上がってますが、何の話で盛り上がってるかったらゲームキャラの話か、こじらせの共感。
もしくは本当にひっそりしてます。おとなしい。
それがわりかし顔の綺麗な男性までそんな感じ。
男性9割とはいっても女性もよく出入りしてるけど、時々出没する女性を明らかに意識するのも昭和世代。
一星みたいな人、いるんかね?

 

ま、いるでしょうけどね。
それに一星は早くに両親を亡くした人恋しさもあるだろうし、聴覚に障害があることで、コミュニケーションの工夫度合いも飛び抜けてる。海外もあちこち旅してきたそうです。
そういう納得設定もあのドラマのすごいとこ。

 

それにしても、私の高校までと大学以降のモテタイプって大きく変化した印象。
それは1995年前後。

私が小学生〜高校生までは、「境界破り」みたいなタイプがモテてたんですよね。
男性なら不思議な待ち伏せ。
女性なら「来ちゃった」、ひょうきん女子なら後ろから肩たたいて人差し指を相手のほおにプニ。
スキー場や修学旅行なら「部屋何号室?」
近所なら突然のピンポンで「おすそ分け!」
携帯を手に入れたらおっちょこちょいなしつこめの留守電。

おぅおぅおぅ…と迎え入れる側は戸惑いつつ、ペースを乱される=心が乱される → このドキドキって恋?
そんな恋愛パターンが定番だった記憶です。
それに昔は住所録とか普通に出回ってたので、バレンタインデーとか積極的に電話かけて呼び出してましたよねぇ。
男子も女子も、「ぐいぐい」を目指してた。
どんな消極っ子も、めちゃ勇気出して深呼吸ひとつ、受話器を上げた経験があるはず。
やっぱドラマの影響なんでしょうか。
男女7人とか東京ラブストーリーとか、あのころのドラマには無数の境界破りがあった。

 

私が大学生のとき、いしだ壱成似のゼミ後輩になつかれたことがありましたが、ゼミ合宿で彼が私の部屋の前で待ち伏せしてたんですよね…
それはさながら、「未成年」でいしだ壱成に待ち伏せされる桜井幸子の心地。

しかし私は当時警戒心もあって、ゼミ後輩を無視してた。
幸子のようにスタスタ歩けば彼が後をついてくる。
今の時代だとコワすぎですが、まんまと心が揺さぶられたわけで。
高校の彼氏は、待ち伏せしていた後輩に心を奪われたし、境界破って、欲しいものを手に入れた時代でした。

 

大学に入ると、「ウザい」という感情とワードが急に世に浸透しだした。
私の勝手な体感だと、それは神奈川出身者からもたらされた印象。
埼玉とか地方出身者にはまだ境界破りが効果的なアプローチでしたね。
免許取った人が「近く走ってるよ」とか連絡くれたりするのはまだ全然嬉しかった。

ところが麻生区とか練馬の男は「ウザいの無理なんだよね」とかはっきり言ったりする。
好きじゃなくても振られた気分。
それこそが新しいモテ。境界死守時代。

「こっちに入ってこないでね」「これ以上聞かないで」と言われると、真逆の心理になるもんで。
どうしよう、知りたい・近づきたい… → これって恋?
でも新時代のモテタイプからはストレスももたらされましたよね…

 

待ち伏せとか境界破りが「本当にヤバい」となったのは、実際殺人事件とかが起きて以降とは思いますが、距離が近い(ぐいぐい)=キモ・コワっと即なるような排除感も、むしろ真正ストーカーを生み出しちゃう気はする。
距離感を少しも間違えられないという怖さは、時代を経るごとに強まってるし、即メンヘラ認定されたら逆上する人もいると思う。
境界のあたりの丁寧な教育・啓蒙活動って急務なんじゃないですかね。

そんでLINEの登場ですよ。距離感高度テクを求められるやつ。
LINEを知る前と知ってからでは苦しみの度合いが違う気がする。
うっかり長文送っちゃったときの取り返しつかなさ。
またそれを取り消したときのメンタルの露呈。
「何が正解かわからない」というとこで悩んでる人はすごく多そう。
それでも正解をたたき出す人がいて、そういう人がモテてんでしょうけど、実際は「どんな距離感でも受け止めるよ」と言える人こそモテるんだと思う。
長文LINEに引いたりしない。
未読・既読の駆け引きもしない。
でもそんな人ってどこにもいないように思えてしまう。

 

「星降る夜に」は、あのころのぐいぐいがいい感じで実を結ぶので、見てるだけでなんか満たされます。
脚本が大石静さんだからか、恋愛ドラマ全盛時代の名残がそこかしこに見えて楽しいんですよね。周りの人のちょいエロなお節介とか。

そこへくると「舞いあがれ!」は、めちゃ距離感と節度を大事にしてます。
なんたって舞ちゃんが貴司とは友達距離感でいいんだと宣言してしまった。
五島の一太は、旅行に来た女性に即惚れたのに、長いこと気持ちを温めてきょうやっと告白。
その女性も「あなたのこと全然知らないから…」と突き放しといて、それはNOではないと。
どっちやねん!という礼儀正しさは、「これからよろしく」という交際OKのポーズでした。
長濱ねるさんはやっと遠距離を実らせて「むっちゃん」と結婚したようですが、いまだむっちゃんは登場せず。距離感あるなぁ〜。

目黒蓮さん演じた柏木学生はわりとぐいぐいタイプでしたが、貴司は今っぽいですね。
ウザがるってことはなさそうだけど、突然旅立ちそうな、つなぎとめられない感じがあります。

 

星で言えば、昔は牡牛・蟹・獅子・蠍タイプがモテてた感じするんですよね。
・じーっと見る
・とにかく近寄る
・情熱的
・ひたすら待つ(待ち伏せ)

いま全部キモいかもしれないですよね・・

でも好きな人からのこれらは大歓迎なんですよ。
なのに好きになるのはそういうタイプじゃないという永遠のチグハグ。

 

新時代のモテタイプは双子・乙女・射手・魚。
あれ、柔軟宮だ。
・さらっとしてる
・節度がある
・カラっとしててすぐいなくなる
・ふわっと合わせられる

「本気度が低い」というのが今のモテの鍵に思えてきました。
こっちまだ本気求めてないから、というニーズをわきまえてる人というか。
そういう意味では天秤もモテるでしょうけど、「テキトーに言ってんでしょ」と責められそうなうわべ感がある。

牡羊・山羊・水瓶が、もしかしたら新時代でもウザがらない懐深いタイプじゃないかという気がしてきました。
佐藤健さん牡羊、井上真央さん山羊。
あのドラマで2人は真剣にぶつかり合ってて、懐かしい気もするけど新時代的な節度も感じる。
鈴木亮平さん(牡羊)にウザがられたらもう寝込みそう。
しかし鈴木さんは昭和58年生まれなので、ぐいぐいの名残があると信じたい。

水瓶の人気者はたくさんいるけど、例えば川口春奈さんとか有村架純さんとか。
カラっとしつつも熱い正義感で大事な人を守り抜くような気概も感じられます。
どれもこれも個人的な感慨。

 

 

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