高校教師4話です
冒頭から事件発生!
出てくる人たちの気持ちのアップダウンの激しさとせつなさ。
とりわけ羽村先生の一言です。
「我慢…か」
親からすれば自慢の子どもで、我慢すればきっといいことある、そう信じて一生懸命頑張ってきたけどレールからはみ出せない人間になっていた…。
羽村先生は、繭に好意を抱いてる女キャプテンから「羽村に襲われた!」というシチュエーションに陥れられて、そのあと授業にやってきた生徒にも、それを知った先生方にも、そんな疑いの目で見られ。
赤井英和さん演じる新庄先生に飲みに誘われて行った居酒屋で漏らした一言だったのでした。
そのあとの新庄先生の
「優しいんや…」
にも、ぐっときました。
我慢か、優しさか。
日本人って、そんな人が本当に多いですね…。
いろんなことグッと飲み込んで我慢・調和を選んでも、時々なんの仕打ちかと思うような出来事で心折れたり、なんにも報われないじゃないかと思えるような厳しさを感じたり。
けど、我慢はすればするほど噴き出すものは激しくなるし、人にも我慢を強いたりする。
このドラマや羽村隆夫に思いを寄せる人の多くは、そんな羽村先生の耐える姿にシンパシーを抱き、我慢が爆発して、異常性発するような行動にすら輝きを感じるからじゃないのかな。
この女キャプテンへの繭の仕返し、これまたグッときました。
何度見ても、顔に吐きかけた唾の角度に惚れ惚れします。
けど、そのあとまた復讐で塩酸かけられちゃう。
かけられそうになった羽村先生を、繭が守ったのだけど…。
持田真樹ちゃん演じる直子と藤村先生との関係は、仕掛けてあった2人の行為ビデオを盾に、「僕が呼んだらいつでも来るんだ」と、危険な状況になってます。
2話で持田真樹ちゃんはそのことに絶望して、そして新庄先生の「ラーメン食うか?」というあのハートフルなシーンから2人のふれあいは始まるのだけど、ラーメン手にした持田真樹ちゃんがポロポロ流すあの涙は、何回見てもうなってしまいます。
たとえ目薬だとしてもいい。
持田真樹ちゃんがたまに見せる奇跡のような表情も、楽しみの一つなのですよ。
あと、新庄先生の息子役の男の子も演技が上手!
個人的には、新庄先生のとこにかかってきた元妻、たかひろくんのお母さんからの電話を、新庄先生が勢いよく受話器を置いた時のたかひろくんの顔。
電話の、チン!の音と同時に、ラーメン食べながらびくーん!となるたかひろくんのシーンは、何年越しに見ても胸打たれる箇所です。
あと、持田真樹ちゃんのギャグにけたけた笑うとことか、なごむ…。
そういえば、2話・3話でも相当ショッキングなことがたくさんあったんですよね。
・藤村先生に襲われて強姦シーンを撮影される直子
・繭VS千秋こと渡辺典子さん → そんで繭が千秋をエスカレーターから突き落とす
・入院した千秋を見舞った羽村隆夫が目撃した、千秋と同僚(黒田アーサーさん)とのキスシーン
・バスケ部女キャプテンからの陰湿なしごき&部室閉じ込め
・父親役の峰岸徹さんからの陰湿なマーク
・羽村先生と繭との2ショット写真を燃やしてしまった父
・それに激昂して父親を突き飛ばす繭
・そんな繭のふくらはぎにすがりつく父
このときの峰岸さんの全身のよがり具合にぞわぞわが止まりませんでした。
でもその演技に感動して震えたとも言える…。
そのほか羽村先生と千秋とのラブシーンがありますが、あのシーンも何年も忘れられないシーンの一つです。
千秋は繭に「隆夫さんのSEXは幼稚なの」と言ったり、羽村先生にも「SEXは子作りのときだけにしてほしいの」「愛なんて信じてないの」なんて言ったり、保母さんらしからぬ自分勝手さを方々で振りまく。
でも、暗い部屋で水槽が青く光る隆夫さんの部屋での2人の抱擁は、それなりに隆夫さんもリードしててとてもロマンティックに見えるのです!
下着姿になった千秋を引き寄せる羽村先生は、その手しか画面には映ってないのに、待ちきれない熱さがあふれてて何か泣けてくるほどでした。
そのあと「始まりはどうであれ、僕は彼女を…(愛していた)」という4話のクライマックスシーンでも涙ながらに語っているように、そんな隆夫の溢れる想いと、そのあとに待っている悲しい出来事を知ってるからか、あぁこのとき確かに羽村先生は幸せだったのだという感慨まで、熱く抱いてしまう!なんて、感情移入しすぎかな。
またプチ萌えポイントを挙げるとすると、繭の羽村先生への母性あふれた上から目線。
3話では、羽村先生と一緒にハンバーガー食べてる繭が、すーっと立ち上がって背後から先生の口元のマヨネーズを拭き取ったり。
これは桜井さんのすっとした身のこなしももちろん褒めるべきとこですが、やっぱり真田さんの子どもみたいに「拭かれる」演技の絶妙さに感心しきりです。
4話では羽村先生が、何度か繭に聞きかけたけど、ためらってなかなか聞けないことに、繭が「なんだったの?」と聞いた時、羽村先生は「僕の、どこがよかったのかなって…」と恥ずかしそうに言うのだけど、繭は「なんだ、そんなことか」と軽く扱う。
「そんなことって…!」
とムキになる先生。
そして、そんな先生を射止めちゃうぞ!的な繭からの「バーンッ!」
そんでそんで、羽村先生の
「うっ…」というどんくさい!けども結構うまい演技!
繭は、先生のそんなとこが大好きなんだなぁーと、なんかもう羨ましくなりました。
その笑顔は羽村先生の気持ちを大きく揺らしたに違いなく、
「明日動物園行こうか」
なんて、夢のようなお誘い!
しかも反対側のホームの繭に向かって。
しかも電車が入線してきてかき消されて。
「行く!!」
ほかの人の目など気にしない、ささやかな喜びを心から感じ尽くす2人の姿はすごく正直で純粋。
職員室であんなに毎度毎度、誰が見てるかわからないのだから!と言われてるのに、でも、常識の皮かぶったあの醜い世界のことなど忘れるほど、羽村先生は正直に心が求める「一歩」を踏み出してしまったんだなぁと、ささやかだけど確実に未来を変えたシーンだなと思えるのです。
それにしても職員室での会話はひどい。
ホテルに行った日をメモしてた手帳を見つけられてしまった生徒の退学がすぐ決定したり、とにかく保護者保護者と、羽村先生が本当に生徒を襲ったかどうかはどうでもいいんです!と言ってのけて、とにかく保護者の目が!と怒る教頭や、ほんとはどこまでやったの?とこっそり聞くゲスな主任。
でも野島さんは、この世を俯瞰した時に見える社会はこんなだよと、そういう縮図を描いたんだろうな。
大人はみんな汚くて、でも大人になっても本当はみんな愛が欲しくて。
そんな気持ちを出さないように押し込めたなら純粋さは歪む一方で、もう誰もそんな弱さに「大丈夫だよ」なんて言ってくれない。
じっと我慢してたっていろんな人に振り回され、優しさみたいな曖昧さですべてを受け入れようと努めてみても、そんな曖昧さは人をイラつかせるばかりでどんどん踏みにじられ、そして何にも残んなかった…。
4話の最後は、「高校教師」ナンバー1ともいえる、不忍池らしきとこで2人で泣くシーン。
その日の羽村隆夫の一日は、裏切られて侮辱されて暴れて、人生で一番絶望した日。
「すべて、失ってしまった」と嘆く羽村先生のこれからは、もっと怖くて悲しいことも待ち受けているけど、それを「転落」とは言いたくない。
本当に欲しいものは、要領よく出る杭にならずスマートに生きたいと願ううちは、手に入らないのかもしれない…隆夫と繭の行き止まり感をいちいち自分に当てはめてしまう!