岡村靖幸「操」

この2ヶ月で結構CD買いました。

・岡村靖幸「操」
・中村一義「十」
・フジファブリック「アラカルト」「フジファブリック」「CHRONICLE」

CDってやっぱいいですね。
壮大なドラマって感じです。
ここ数年、よく知らないミュージシャンのアルバムを買うこと自体ハードルが高くなってしまった。
買って聴いて気に入っても、一度BOXに入れたら何ヶ月もそのままということも多い。
何度もコンポにセットするCDは宝とも言えます。
この3月4月で買ったのはどれもそんなアルバムでした。

岡村靖幸「操」

ジャケットは会田誠さん作です。3作目。

先月末の関ジャムについに出演した岡村ちゃん。
推薦者がなんと寺岡呼人さんと川谷絵音さんということで。
川谷さんとはここ数年とても仲が良いことは知っている。
岡村ちゃんのラジオにも出演したり対談したり、川谷さんのコラムで岡村ちゃんとの飲み会の詳細が明かされてたりして、想像以上のパリピっぷりに少なからずショックを受けたこともあった。

岡村ちゃんは2016年に、12年ぶりのアルバム「幸福」をリリースして、それはそれは夢のようなアルバムでした。
「今の岡村ちゃん」が鮮やかに感じられる仕上がりで、昔の「モテないんだよ」という上目遣いは今、スーツでひとまず胸張って見せる可愛らしさそのままで引き継がれていた。
ところがこの「操」は!!

驚いた。パリピっぽさやリッチ感が少なからず漂っている…
絵音め…

いや、変化の主な理由の一つとしては運転免許初取得ということでしょうね。
大きなものを一つ「持った」というさらなる余裕のムードが漂います。
関ジャムでは「毎日レンタカーに乗ってる」と告白して横山くんに「そんな人初めて聞いた」と笑われてたが。

掃き溜めで明らかに寂しくて浴びる程飲んだり

1曲目「成功と挫折」

サウンドのせいなのかタイトルの効果か、「掃き溜め」がどうも六本木という感じがします。
いや、「浴びる程」から感じられる高級な堕落感?まだバブルのさなかにいるような。
ま、岡村ちゃんといえば「カルアミルク」(1990年)
昔から六本木の香りを漂わせる人であります。
それでも「寂しくて」というワードから、やっぱりファンを置いてけぼりにしない人だ…というニクさもある岡村ちゃん。

シャンパンワイングラス割ってじっとしてみよう
…聖なる蜜を生み出してごらん 今

2曲目「インテリア」

何やってんのかな…?
タワマン内の男女に思えてちょっと寂しくなります。
ま、岡村ちゃんといえば「どんなことをして欲しいの僕に」でも歌っているように、昔から高層階在住感があった。

階は7025 見知らぬ留守録
(どう僕の部屋 一緒に暮したい?)
弊害を愛情で 赤く薄めて飲み干せる女

「どんなことをして欲しいの僕に」)(1989年)

今でもゾクゾクする曲!
「702」だとただの7階ですが、「7025」というところが不思議にタワマン感。
それでも昔はこの「何やってんの?」という盛大なツッコミどころがあった。
「操」の曲では隙もないようなね。(←でも実はちょいちょいある)
描かれる女性も六本木の高層階に住んでそう。

半年ぶりのベッドでセクシーヨガ汗ばんでる
エジプシャンな猫も反応してる
男性の嘘にちょっと疲れた生活でも
ベリーダンスの様に動いてよ

4曲目「セクシースナイパー」

エジプシャンな猫…
岡村ちゃんの曲の女性って時々、風水を積極的に取り入れてそうな黒髪セレブのにおいがします。
でもこの曲は最近の岡村ちゃんっぽさが詰まってる。
すごくかっこいい曲。

そうかと思えばこんな女子も歌われる

くせのある妙な話し方 寂しさをどこか隠してる
メガネとったら めかし込んで
ローラースケートのドライブしよう

5曲目「少年サタデー」

この子は六本木ではなさそう(ほっ)
「自分みたいな存在も見てくれてた?」とも思える。そう思える曲は実は珍しい。「パラシュートガール」くらいかも。

このアルバムの中で特に好きなのが、8曲目の「レーザービームガール」
とてもポップで、それこそ「パラシュートガール」進化形のような感じもしました。

流れ星に誓えば二人でリング買いに行けるかな?

おっと!!
ちょっぴり切なくなりました。
結婚っぽさを感じたからかな。
でも岡村ちゃんのことだから、リングを買いに行く=結婚という意味じゃなさそう(そういうメンズは無数にいる)

ほかにも切なくなる歌詞がちょいちょいあります。

だだっ広い未来をていねいに見出そう
毎晩話したいよ 家のベッドシーツの柄見たいから
楽しもうよ 愉快な生活で満たそう

9曲目「赤裸々なほどやましく」

遠慮無く愛してよ 彷徨う都会の2時なら
レストランで話しても 最果ての孤島にいるようなあなた

6曲目「遠慮無く愛してよ」

前作の「幸福」では、ここまで「誰か」を感じさせる曲は多くなかったように思う。
だから短絡的なファンとしては、「いよいよ家庭を築くイメージ湧きつつある?(そんな相手出現?)なんて、ほっこり1割がっかり9割ですが、よーーく歌詞を見ると、実際の2人の描写というより、すべて岡村ちゃんの願望、心の中のナイスアイディアという感じがじわじわ立ち上ってくるのです。

「リング買いに行けるかな?」「ベッドシーツの柄見たいから」

買いに行ってないんですよね。ベッドシーツも見てない。

「あり金もハリガネも花びらも触り方しだいさ」
これも触ってない!
触り方しだい…のところで思案か妄想か…

いわば交際0日目の夢・希望・悶々。
告白前夜?1人ベッドで描く楽しいコト。
昔と何も変わってない!!!

いや、でも「幸福」が告白前夜だとしたら、「操」はやっぱ進展した男女の気がする。
そう思わせる巧みなテクが岡村ちゃんにはあるとも言えます。

 

このCDが届いたのが、コロナでいよいよ緊張感が高まってきたころ。
そのとき、中村一義やフジファブリックを夢中で聴いてました。
正直、「操」のリッチな世界に最初乗れなかった。

でもやっと緊張感に慣れてきたようなここ数日。
改めて聴くと、「操」はバブルを体験してない若者特有の不安定さや前向きさと全く異なる、酸いも甘いも底も絶頂も知ってる人の色気・優しさ・あなた次第、な余裕がなんとも感じられる。
バブルのかおりとも言えるでしょうか。
ジャケットを手がけられるのは、やはり同い年の会田誠さんでしょうねとも思います。
このアルバムは、初めて手にしたときの感触から日に日に重さが感じられてくる。目で感じる重さ、岡村ちゃんという歴史が感じられるような重さというか。
何よりサウンド・旋律が素晴らしい。
ライブが楽しみです。
この間奏でデンスだろうなぁとか、こんな表情するかもなぁとか。

 

最後に・・
ライムスターとの共作「マクガフィン」は、歌詞を見れば見るほど個性の違いが感じられる。
それで詞と星の関連もちょい見てみました。

岡村ちゃん →「罠だもん」「あなたのせいで深く深く水没してしまう」
魚座ぶりっこ&相手まかせの天秤!
(太陽獅子、月魚、金星乙女、火星天秤)

宇多丸さん →「さながらヒッチコックのサスペンス映画」「北北西に進路を取ってスピードアップ」「だが我慢も限界 欲望が決壊 誰もが秘密を携帯する現代」
映画評論家ならではのカルチャー感&言葉の魔術師&詰め込む詰め込む!
(太陽双子、金星牡羊、火星射手)

Mummy-Dさん →「上辺ばかりで中身はなくたっていい」「キツく抱きしめるほど増すユウウツさ」「オレだけの無邪気なBITCH」
エロ〜どんだけエロい女を知ってるのでしょう…と思わざるを得ない!
(太陽牡羊、水金火牡牛)
宇多丸さんとMummyさんの月は、蟹と獅子の境目でした。

あとやっぱりDAOKOとのコラボ「ステップアップLOVE」は最高です!
アルバムには新バージョンが収録されてます。

 

追記:やっぱ岡村ちゃんほど「アルバム」らしく作る人はいないんじゃないかと思える1枚。
この曲順は、大いなるサブスク時代においてもシャッフルなどせず堪能してもらいたいものです。
最終曲「赤裸々なほどやましく」の、壮大なエンディング感に改めて感動しちゃいました。
岡村ちゃんの「今」がどんななのかわからないけど、とにかく「操」というストーリーをこの1枚に込めた。
それはまるで映画や小説のように。
甘く切なくハラハラするストーリーでしたよ、操。
でも最後は「フラジャイルな気分がふっとんだ
…何よりじゃないですか…
人と人が向き合う上で一番恐れるのがフラジャイル=壊れやすさ…なんじゃないでしょうかね。
壊れるくらいなら向き合わない。
それがこれまでの岡村ちゃんのような気がするし、そんな人たちがリスナーだとも思うのだし。
あと「レーザービームガール」の歌いやすさにも改めて感動です。
今の時代の曲はとにかく旋律が覚えにくいですからね。
プリテンダーのサビ以外のとこ、何度聴いても歌えない・覚えられない!
あいみょんの曲はあきらめました。
「レーザービームガール」
80年代の曲みたいな親しみやすさでもってすーっと入ってきた1曲。
音楽をアルバムごと楽しんでた10代20代のころを、岡村ちゃんのアルバムはいつも呼び覚ましてくれる。

 

中村一義さんとフジファブリックについてもいずれ綴りたいと思います。

 

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